ポケモンXYZ感想−95話目

 第95話(Z-02) 「熱血ハリボーグ! 狙われたプニちゃん!!」


 とあるポケモンセンターにて。
 前回の予言通り、プニちゃんをプラターヌ博士に見せたサトシたち。ポケモン世界のテレビ電話は本当に便利である。

 もっとも、やはりプラターヌも正体は知らなかった模様。初めて見るはずのポケモンの割に、妙に冷静だったのが意外だった。

 そんなプニちゃんだが、案外すんなりとサトシたちの元におさまっていた。ユリーカの愛が通じたのか、人間も悪いものばかりで無いと分かったのか、はたまた自分のみを守るために同行しているのか、今のところ謎ではあるが。
 で、プニちゃんはゲットされておらず、即ち、モンスターのーるには入らない。ならば何処に落ち着くかと言うと……。

 ユリーカのポシェットだった。デデンネ住処奪われた。
 ピチューが入れるくらいだし、無理すれば2匹とも入れそうだが、やはり相席は嫌か。

 それを見て、セレナが一肌脱ぐ――。


 草原の木陰でセレナの裁縫中、皆は思い思いに休憩していた。
 プニちゃんは岩の上で光合成。またも瞑想らしき行動でセルの居場所を確認し……たのだが、その後の複眼と思しきアピールは、いったい何なのだろうか。
 前回も同じ行動を取っていたが、これが全く分からない……。やはり原作未登場のポケモンは謎が多い。何かの伏線になるのだろうか。

 さて、我らが注目のイーブイは、ユリーカのブラッシングにご満悦の様子。

  ユリーカ  「どぉイーブイ。気持ち良い?」
  イーブイ 「いぶぃ」

 とても可愛い。膝の上でゴロゴロする猫そのもの。

  セレナ  「イーブイ、だんだん皆にも慣れてきたわね」
  ユリーカ 「うん。この子がんばり屋さんだもん」

 頑張り屋さんが原作のような個性として扱われるのかは微妙なところだが、ここでまた、XYZ編の特徴と言うか、欠点と言える点が……。
 いつ“だんだん慣れてきた”んだよ……。
 アニポケ内の時間経過がどの程度のものなのか分からないが、イーブイゲットから今回までの間、イーブイが皆に慣れつつあるような描写は見ていない。
 XYZ編は所謂“アニメ放送時間外”の出来事を省略する傾向があり、その最たる例が、セレナのポカロンの練習風景だ。
 話をサクサク進める点では長所にも当たるのだが、視聴者側にとって、イーブイが“いつの間にか皆に慣れている”と言うのは些か不自然に感じるので、これだけは やって欲しくなかったと言うのが、正直なところだ……。


 まぁそれは置いといて、セレナがポシェットを加工し終えたようだ。

 新ポシェットは、デデンネスペースの外側に新たに生地を縫い付け、プニちゃん用のスペースを確保している。小さくも見えるが、プニプニ小さいプニちゃんを考えれば、そのくらいで丁度良いのかもしれない。
 こう、パパッと刺繍でポシェットを加工できる当たり、セレナの女子力は本当に高い。旅に裁縫道具を持ち歩くと言うのも、セレナの女の子としての育ちの良さが伺える。

 なお、私も小学校時代の裁縫道具が現役だったりする。



 ポカロンの練習に励むイーブイヤンチャムとのコンビネーションを図るのか、今日はテールナーはお休みらしい。
 元気よく飛び跳ねる様は相変わらず可愛いが、そんなイーブイに迫って来たのがコイツである。

 なんやねんこいつ!? 

 “ツルのムチ”をハートマークにしてイーブイに迫ると言う下劣極まりない行為。しかしイーブイは“まもる”で受け流す。ひとみしりなイーブイが野生で生き延びてこられた理由が、いま明らかになったような気がした。

  ユリーカ 「“ツルのムチ”がハートマーク型になってる!?」
  セレナ  「ハリボーグは、イーブイのことが好きってこと!?」
  ユリーカ 「えぇっ……一目惚れ!?」

 イーブイは、当然戸惑う。ハリボーグは“ころがる”でアピールしてくる。
 ただでさえ可愛らしくて人見知りなイーブイに、己の感情を無理矢理押し付けるハリボーグの行為、フレア団も真っ青である。

  サトシ 「どうするんだセレナ!?」
  セレナ 「どうするって……好きな気持ちにダメなんて言えないし……!」

 セレナ相変わらず女の子らしい!
 ごもっとも、それはイーブイハリボーグの気持ちの問題なので、トレーナーと言えど、一方的にダメと言う訳には行かないだろう。
 いくらイーブイが嫌がっていても、いくらハリボーグがキモくても、まずは話し合うことから始めなければならない。
 そしてサトシ相変わらず鈍い!


 そんなイーブイを守るべく、立ちはだかるのはハリマロンヤンチャム
 人見知りのイーブイに無理矢理迫る下劣なハリボーグが頭に来たのだろう。相手は進化系、たとえ力の差があろうと、大切な仲間を守るべく、2匹は戦った!

 そうして5秒くらいで、“ころがる”の餌食となった訳だが……。もう少し粘れよ!

 ハリボーグに迫られたイーブイだが、こう接近されると(ワザを受ける訳ではないので)“まもる”は使えない。
 そこで繰り出したのが“かげぶんしん”。新ワザ判明であるが、ひとみしりなイーブイが野生で生き延びてこられた理由が、妙に納得してしまった。

 ハリボーグから逃げるべく“かげぶんしん”したイーブイ
 対してハリボーグは、一目惚れした相手が無数に増えた訳で……

 興奮して気絶した。

  サトシ 「なんなんだ騒がしい奴だなぁ。バトルはもうお終いか?」

 まったくもって同感である。本当なにがしたいんだよハリボーグ……。
 そしてサトシ、マジでこれを“普通のバトル”だと思ってたのか……!?

 気絶したハリボーグを見、「もう大丈夫だぜ!」と言わんばかりにドヤるハリマロンヤンチャムだが、当然、イーブイはセレナの影に隠れてしまった。
 落胆する2匹だが、逆に何をもってそこまでドヤ顔を決めたのだろうか。


 さて、気絶から目を覚ましたハリボーグ。
 セレナが額にのせてあげたハンカチを、きちんと頭を下げて返す当たり、割かし礼儀は弁えている。……いや、単にイーブイに自分の礼儀良さを見せようとしただけなのか。

 ハリボーグは、早速次の手に移る。持ってきたのは数輪の花。
 プレゼント作戦ときた訳だが、当然、イーブイはそれを拒否。ハリボーグ、地面を指で引っ掻いて いじける。……なんか昔ムサコジがよくやってたような印象がある。

  ユリーカ 「好みじゃないのかなぁ?」
  セレナ  「イーブイには、色んなポケモンに出会って、友達になって貰いたいけど……」

 セレナも複雑らしい。
 確かにイーブイの人見知りな性格を考えると、場数を踏むと言うか、多くのポケモンと触れ合って、それを克服するしか方法は無い。しかし、イーブイが嫌がってる相手に無理矢理仲良くなれと言うのも酷である。

 一方、一応にもハリボーグに同情するヤンチャムハリマロン

 しかし、「同情なんていらんわボケー!」とでも言うかのごとく振り除けるハリボーグ。
 そうしてごちゃごちゃ喧嘩する3匹。トラブル要員増えただけじゃねーか!

  ユリーカ 「あーもー」
  サトシ  「いいかげん喧嘩は よせよ」
  シトロン 「上手く行きそうにないですねぇ」
  セレナ  「乱暴者は、余計女の子にモテないわよ」

 とりあえず、モテるモテないの概念がアニポケに、しかもセレナの口から出てきたことに注目。
 それを聞いたハリマロンは、ヤンチャムとバトルして勝利してイーブイにアピールしようと企む訳だが、なぜ「乱暴者はモテない」と聞いてバトルする方向に進むのだろうか……。もっとこう……、別のことでアピールしようや。

 ほら、イーブイめっちゃ引いてる! でも可愛い!

 イーブイの好みとは違う気がするけど……とセレナが言うように、どう考えてもバトルじゃイーブイへのアピールにはならない。
 それでもやる気マンマンのハリボーグを見て、ヤンチャムは仕方なく、本当に仕方なくと言った感じで、バトルに応じるのであった。


  〜 観客席 〜


  ハリボーグ 「いやちょっと待てよぉぉぉぉぉぉぉ」

 とでも言いたげな言動のハリボーグ。
 もはやヤンチャムへの八つ当たりとも捉えられ兼ねないことになってしまうが、それでもハリボーグは持ち前の防御、パワー、自らの特徴を活かし、ヤンチャムを払い除けた。

 ダウンこそしなかったものの、完全ハリボーグが有利。イーブイに自分の格好良いところを見せようと全力で取り組んだバトル。たとえイーブイがバトルに興味無いとはいえ、これほどまでに熱く、的確なワザの連続を目の当たりにすれば、ハリボーグへの想いが揺らぐかもしれない。そう、そしてイーブイの反応は……


 寝 て る !

 反応どうとか以前に寝てる! これほとんどハリボーグに興味無いぞ! でも可愛い!

 そしてホルビーの顔が、全てを物語っていた。

  イーブイ 「良いお天気、なんだか眠くなっちゃったなぁ」
  ホルビー 「ダメだよイーブイ。せっかくハリボーグが君に良いとこ見せようと頑張ってるんだから」
  イーブイ 「でも、私バトルはあんまり……」
  ホルビー 「いやいや、ハリボーグは君のためにバトルを仕掛けたんだからさ。少しくらい見てあげても……」
  イーブイ 「うん。でも……眠いな……おやすみなさい……」
  ホルビー 「待ってイーブイ! あと1分くらい待ってあげても」
  ハリボーグ 「ドヤッ!」
  ホルビー 「あっ……」

 いとも容易く、こんな光景が想像できてしまった(哀)


 ショックを受けたハリボーグは、これまた八つ当たりと言わんばかりに、今度はハリマロンとバトル。
 先手必勝とも言えるハリマロンの“たいあたり”を、見かけによらず素早い動きで回避する。“ミサイルばり”も、その持ち前の防御力で耐え抜いた。

 なるほど、“乱暴者はモテない”という言葉を、このように解釈したか。相手を攻撃せずとも自分の強さを見せる方法……、それは、相手の攻撃を平気な顔で耐えることだ。強さだけでなく、忍耐力、耐久力、そして逞しさをもアピールできる方法とあり、ハリボーグ、なかなか考えたものだ。
 そうした別視点からのアプローチを取り入れたことで、ハリボーグがいかにイーブイに気に入って貰いたいかが伺える。そうまでしてアピールを続けるハリボーグの姿に、イーブイの反応は……


 あ く び !

 これもうバトルと言うか完全にハリボーグに興味無いぞ! でも可愛い!


 一方、日向ぼっこしていたプニちゃんの目の前に、プニちゃんそっくりのぬいぐるみが落ちてきた。
 当然プニちゃん、デデンネは興味津々。イーブイホルビーもつられて駆け寄るが……。

 それはロケット団の罠だった訳で、プニちゃんんぬいぐるみが破裂、中から飛び出した網に捕えられてしまった。
 どうやらロケット団、プニちゃんの名付け親になって後世まで自分たちの名前を残したかったらしい。言わば、プニちゃん以外の捕獲はオマケ。
 相変わらず訳の分からん変則口上を披露し、煙幕をはって気球で撤収した。

 それよかプニちゃんぬいぐるみは販促だったのか……。



 網の中、影が薄いながらも最近スポットが当たりつつあるホルビーが一緒だったのが幸いし、網を噛み切った。網の脆さは、プニちゃん捕獲を想定していたからなのか。
 タイミングよく下に川が現れ、みな、そこへダイブ。ロケット団から逃げ出すことに成功した。

 飛び降りたイーブイ可愛い。キリッとした表情で泳ぐイーブイ可愛い。



 さて、イーブイたちを探すサトシたちだが、相変わらずハリボーグとハリマロン、それにヤンチャムがゴッタゴタしている。
 ただでさえ いつも喧嘩するハリマロンヤンチャムなのに、このハリボーグが加わっては状況は悪くなるばかり。
 イーブイたちが連れ去られたと言うのに喧嘩するハリボーグたちは、本当にイーブイのことを考えているのだろうか。……だからこそ、サトシが彼らを叱ったのだ。

  サトシ 「こんな所で揉めるな。仲間を助けるためには協力し合わなきゃダメだ!」

 凛々しく怒るサトシ。そもそもサトシが怒ることが珍しいのだが、相変わらずXYZ編のサトシは大人である。



 そんな時イーブイたちはと言うと、脱走がバレて追いかけてきたロケット団と対面していた。
 勇敢にホルビーが立ち向かい、デデンネも“ほっぺすりすり”で加勢するが、ほぼ瞬殺。ミアレジム戦ではピカチュウといい勝負を繰り広げたホルビーだが、やはり単独でのバトルは勝手が違うらしい。それほどトレーナーの存在が大きいことを、今回改めて実感した。
 ……そう言えばチゴラス回に続き、単独ホルビーって良いとこ無いよなぁ。

 イーブイも抵抗にすることはできず、やはりここも人見知りが影響しているのだろう。“まもる”ことは出来ても、基本的に相手が怖いと感じてしまっては、なかなか動けないものだ。

 そうした中、動いたのはプニちゃんだった。

 自らのピンチでもあるが、イーブイたちのピンチでもある。やはりプニちゃん、サトシたち一行のことを仲間と認めているのだろうか。
 プニちゃんの体が輝き出し、周辺のセルと同調……すると思いきや、ここでサトシたちが登場。プニちゃんの変化はお預けとなる。
 ここからサトシが攻め切るのかと思いきや、ハリボーグ、ハリマロンヤンチャムのお騒がせトリオが またしても しゃしゃり出て、流石のサトシも呆れ顔。さっき怒ったのは無意味だったのか。

 ……と、思ったが。
 ハリボーグがサトシの言葉、「仲間を助けるためには協力し合わなきゃダメだ」を思いだす。
 そうして協力体制に入ったトリオは強い。仲間、ここではイーブイを助けると言う共通の目的を持ち、初対面とは思えないナイスコンビネーションで、ロケット団パンプジンマーイーカを蹴散らした。横から殴るヤンチャムが案外酷かった。
 ラストはハリボーグの“ころがる”攻撃で、ロケット団を弾き飛ばした。その間、約1分である。しかもピカチュウの介入が全くなし。これはこれで珍しいことだ。


 先ほど怒られたサトシに「良やれば出来るじゃん!」と褒められ、ドヤるトリオ。

 ここで、ハリボーグが何かに気付く。あらかた想像は付くが、「今のオレ、すっごい格好良かったんじゃね!?」的なことを思ったのだろう。
 森の中に入り、戻って来たその手には数輪の花が。

  ハリボーグ 「あのっ……好きです!」


  イーブイ 「ぇっ……そのっ……嫌っ」 プイッ


 ダメでした!
 ハリボーグの渾身の告白をプイッと受け流したイーブイ。でも可愛い!

  セレナ 「ハリボーグ、ごめんね。イーブイも、きっと貴方のこと嫌いじゃないと思うけど……」

 ……いや、今もほら、すっごい不機嫌そうな顔してまずぞ。


  セレナ  「人見知りなこともあって、なかなか打ち解けられないの」
  イーブイ 「いぶっ……」

 あ、神妙な顔になった。どうしてそんなに可愛いか!


  ハリボーグ 「ぅっ……うぅっ……うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 ここにきてハリボーグが可愛いと思いました。


  ハリマロン  「まぁまぁ」
  ヤンチャム  「元気出せよ」
  ハリボーグ 「うぅっ……うぐっ……」

 と言うより慰める2匹も可愛い。何だかんだで、この3匹は良いトリオだ。

  サトシ  「仲良くなって、良かった良かった!」
  シトロン 「愛情は実りませんでしたが……」

 サトシ何故そこでハリマロンヤンチャム側をピックアップする!?
 いまイーブイにめっちゃ振られてたけど……優しさなのか!? そこにはあえて触れてあげない優しさなのか!?


 で、そんなとき。

 華麗に優雅にブースター。
 野生でいることに驚きだが、ブースター♀と言うのも、何となくイメージとは違うと言うか、どちらかと言うと♂のイメージが強い。どっちにしても優雅かわいい。

 そしてハリボーグ、即座にブースターに乗り換える。
 終わった恋は忘れてしまえと言わんばかりに、サトシたちへの挨拶もそこそこに、ブースターを追いかけて行った。

  ヤンチャム 「立ち直りの早い奴だったな」
  ハリマロン 「まったくだね〜」

 そんな会話が聞こえてきそうなヤンチャムハリマロン。喧嘩するほど仲が良いと言うべきか、この2匹も良い奴らだ。


 そうしてサトシたちはまた、思い思いの時間を過ごすことになる。
 セレナはイーブイとポカロンの練習。サトシはピカチュウとバトルの特訓。シトロンとユリーカは昼食の準備。ハリボーグが去って行けば、旅の日常が始まった。

 慌ただしいハリボーグだったが、立ち直りの早さ、そこそこのバトルの実力、一応の礼儀の正しさを持ち合わせているので、いつかきっと、彼の恋が実る日が来るだろう。
 先ず、あのブースターと上手くいくことを願うばかりだ。

 あっ……。


● 総括
 これほどまでに日常色が濃い話だとコメントに困るのところだが、とにかくイーブイが可愛かった。
 彼女も少しずつだがメンバーに慣れつつあるようなので、今後ともその可愛い姿を存分にアピールし、我々を癒してほしいものだ。


● 余談
 今回ピカチュウが発した回数 : 15回。
 タイトル「狙われたプニちゃん」とあるが、どう考えても狙われてたのはイーブイである。


● 次回ひとこと予告
 → CG救急車、再登場。