ポケモンXYZ感想−94話目
第94話(Z-01) 「Z爆誕! カロスに潜む者!!」
特 別 編 「最強メガシンカ Act.4」
◇ はじめに確認
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カロス地方某所。
ここフラダリ財団では、メガシンカエネルギーの平和利用を目的とし、日夜研究を行っている。最先端の科学技術、あらゆる状況を想定した実験を行える施設は、カロスでも最大の規模を誇る。
代表フラダリは、これまでメガシンカに関する数々の実験、データ採取を行っており、特に“伝説の巨石”と呼ばれるエネルギー体の回収は、研究を大きく進捗させるものであった。
その研究に協力する、青年アラン。
もともと彼はプラターヌ博士の助手を務めていたが、メガシンカ研究および自らが強くなるため旅に出ていた。
しかし思うよな成果は出ず。そんななか知り合ったフラダリ代表から、彼の研究への協力を条件に、メガストーンを授かった。
彼の相棒リザードンは、メガリザードンXへとメガシンカ。さらに強く、最強になるため、アランは旅を続ける。
道中知り合った新人女の子トレーナー、マノンが勝手に着いてきて 仲間に加る。さらにデボンコーポレーションの御曹司ダイゴも一時同行し、前述の“伝説の巨石”の回収プロジェクトを成功させた。
しかしそのプロジェクトの裏で――、ホウエン沖では、その巨石を求めたグラードン、カイオーガ、レックウザが激突。各地方に寛大な被害を与えていた。
勿論、現地に居たアランたちも命の危機に見舞われたが、無事に帰還を果たす。
研究の進展に喜ぶアランだが、自らを強くする一方、マノンに危険な目を遭わせてしまったことを悔やみ、迷っていた。このままで、大切なものを守れるのかと――。
強く、最強になるためには、まだまだ戦い足りない。そんなアランのある意味我儘を呑んだフラダリは、メガシンカトレーナーの10人抜きを提案。もし敗れればアランのメガストーンは回収すると言う条件を付けて。
そうして始まった、アランの10人抜きバトル。場所はフラダリ財団のバトルフィールド。
某インセクターから始まり、苦戦はするものの、アランは順調に連勝していく(なぜ羽蛾の“ベノムショック”で毒状態になったのかは不明だが)。
その頃、アランとは別で財団に訪れたダイゴとマノン。
前述のホウエンの事件に関して、ダイゴがフラダリ財団を訪れた形だ。
厳重保管されている伝説の巨石をはじめ、各種メガシンカ研究について話し合いが行われたものと推測できるが、一方のマノンはアランのバトルを見物しようとバトルフィールドへ。
彼女の姿を見て、心が揺れるアラン。
もともとアランは、これ以上マノンを危険な目に遭わせまいと、黙ってホウエンを立ち去っていたのだ。ダイゴがマノンを連れてきたと知れば、きっとダイゴを憎むことだろう。
マノンはマノンで、アランと一緒に居れば強くなれる、自分もメガシンカ出来ると、一種の憧れで彼に同行していた。
そんな彼が今、メガストーンを賭けてバトルしていることに、マノンは心から心配する。また一緒に旅をしたいと言う想いもあったのだろう。
しかしアランとしては、また自分と一緒に居ては危険な目に遭わせてしまうと考える。
一方マノンは、アランと一緒なら大丈夫だと言い張る。
……彼は心を鬼にして、叫んだ。
アラン 「分からないのか……。お前と居ると強くなれないんだ!」
それを聞いたマノンの心の中で、アランが遠くに消えてしまった――、そんな風に見えた。
憧れの人に嫌われた――、まだ若いマノンがそう解釈するのは当然である。
パートナーのハリマロン“ハリさん”に席を外して貰い、マノンは一人、涙を流した。
マノンの心情を察して、彼女の傍から離れたハリさん。
施設内を探検中、“何か”の声を聞き、その方向へと進む。こっそりと侵入した実験室の中では、見たことの無い“何か”がゲージに入れられ、研究員が取り囲んでいた。
その“何か”と言うのは、ジガルデのコア1体とセル数体。ハリさんとコアの目が合ったその瞬間、実験は大詰めに入る。
特殊な波長の出力を上昇させると、コアとセルが1つになろうとする動きを見せる。そして、ハリさんの体にも異変が……。
ビームのサイクルを変更すると、ますますコア&セルの、そしてハリマロンの異変は増大し、結果、堪えきれなくなったのか、設備が爆発した。普通に大事故である。
コアを回収しようとする研究員だが、……きっとコアの悲痛な叫びを聞いたからだろう。ハリさんがコアを庇い、通風孔から外へ逃がしたのだ。
そしてハリさんは、体の異変に耐えきれず、その場に倒れ込んでしまった……。
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逃げ出したジガルデ・コアは、森を彷徨い、落ち葉の中にあった何かのスペースに入り込んだ。
実はそれ、ユリーカのポシェットだった訳で……。
ユリーカ 「うわぁっ……!」
ジガルデ・コア (あっ……)
そして逃げた!
まぁ、先ほどまで人間から酷い仕打ちを受けていたこともあり、逃げるのは当然である。変に攻撃を仕掛けなかったのは幸いだったが、逆にこのコアは攻撃できないのだろうか。
……で、さっそくコレである。
服に入り込むな! そういうことはセレナでやれ!
抵抗するコアだが、ユリーカは至って無邪気。「あなたはだぁれ?」とトトロチックな質問から、こしょこしょコアを くすぐりはじめる。
あ、笑った。
そこまで大きな抵抗を見せる訳ではないので、決して人間との関係を断ち切りたい訳では無いらしい。
さて、このコアはいったい何者なのか、当然サトシたちには分からない。当の我々視聴者も、ジガルデについては謎が多く、そもそもコアとセルってなんやねん状態である。
ここは第93話でプラターヌ博士から貰った新型図鑑の出番だ。
メガシンカ情報をも網羅していると言うGBAチックな新型図鑑。これにかかればジガルデに関する情報も当然……
えぇ、無いことくらい分かってましたよ。
けれど、図鑑の声は相当に聞きやすくなった。これまでのユリーカこと伊瀬さんの声は、恐らく機械チックに変声させたせいでとんでもなく聞きにくかったので、この変更は大きな改善だ。それか単に、伊瀬さんが産休なのでオーキドで代用したか……(なお、第87話〜93話の図鑑の声は事前収録とのこと)。
データ無しと言うことは、新種のポケモンかとサトシたちは盛り上がる。公式にも最近になって解禁されただけあって、とても新鮮な気分で今後は楽しめそうだ。
で、いつもの流れでユリーカがコアを世話することに。名前は「プニちゃん」と命名。
まさかシトロンから「ネーミングセンスそのまま」と言われるとは。やっぱり兄妹やなぁ。
ユリーカ 「デデンネ先輩よろしくぅ〜」
デデンネ 「でねねっ!」
ヌメラの時のように、デデンネが先輩ポジションになるのだろうか。それにしても今日のユリーカは子供らしくて可愛い。
その時、ドードリオの群れが猛スピードでサトシたちの脇を通過! あゝ、炎のポケモン大レースが懐かしい。
そんなドードリオを追うのは、1匹のジュプトルと、それに遅れて懐かしい顔だった。
光彦 「ジュプトル〜待ってくださ〜い……あれぇ!?」
サトシ 「ショータ?」
光彦 「ハァッ……ハァッ……お久しぶりですっ……」
どうやらショータ、ドードリオをゲットしようとして追いかけていたらしい。通行人にとっては大迷惑である。
そんなショータとの挨拶も早々に、プニちゃんが居なくなっていることに気付いたユリーカ。まだゲットもしていないし、ユリーカが育てると正式に決まった訳でも無かったが、皆で探すことになった。……まぁ、新種のポケモンだからと言う思いもあったのだろう。
一方、近くの岩山で、何やら怪しげな集団が動いていた。
……この、見るからに怪しい赤い集団。赤いグラスとか一昔前の立体眼鏡でしか見たこと無いような気がするが、彼らの目は大丈夫なのだろうか。
で、どうもこの集団、ユリーカが捕まえたプニちゃんを追っているらしく、リーダー格の女の特殊グラスで、まさに今、プニちゃんを発見したようだ。
コレア 「こちらコレア。モミジどうぞ〜」
モミジ 「こちらモミジ。何の用?」
どうやら集団には仲間がいるらしく、モミジと呼ばれた部隊も、恐らくプニちゃんを探しているのだろう。
コレア 「Z-2の捕獲、どうだった〜?」
モミジ 「逃げられたわ!」
コレア 「あーらざんねーん! じゃあお先にZ-1、ゲットー!」
……と思ったら、プニちゃんとは別のコアを探していたらしい。ここではじめて、プニちゃんことジガルデ・コアが複数存在することが明らかになり、かつ、見慣れたあのジガルデも、複数存在することになる……のだろうか。コア同士の合体が無ければ、そう言うことだと推測できる。
あとコレアの尻の書き込みに対する謎の力の入れようは何やねん。
モミジの部隊はZ-2に逃げられたと言っていたが、少し前、とある洞窟での捕獲に失敗したらしい。
こちらは見慣れたジガルデ、最近は50%ジガルデなんて呼ばれているが、これの攻撃を受けた隙に逃げられたようだ。ここは終の洞窟なのだろうか?
そんな彼女たちを指揮しているのは、昼間っからワインを啜る男、フラダリ。さっきの代表である。
フラダリ 「やはりZの力は恐るべきもの……。探せ。我がフレア団が目指す世界のために」
ここで、フラダリ財団とジガルデが繋がっていることが直接的に判明する。
メガシンカの平和利用を掲げているフラダリだが、秘密裏にジガルデを捕獲、実験し、何かを成し遂げようとしているのだ。
勿論そのことは、アラン、ダイゴ、プラターヌは知らない。唯一知っているのはハリさんだけだが、体の異変で治療中。この事実を公に出来る手段は、今はまだ無い――。
ところ変わってサトシたちは、ショータも交え、プニちゃんを探していた。
そんなところで爆発音を聞いたもんだから、じっとしては居られない。
爆発の元へ駆けつけると、案の定、プニちゃんがコレア率いる集団に捕まっていた。
サトシ 「なにしてんだお前ら!?」
コレア 「……なぁに、ぼうやたち?」
サトシ 「そのポケモンを離せ!」
コレア 「ポケモンねぇ……、まっ、そうね」
コレアの意味深な発言。
ジガルデはポケモンで間違いないだろうが、ジガルデ・コアはポケモンに非ずと言うことなのか。それとも解釈によるものなのだろうか。
セレナ 「嫌がってるでしょっ!」
コレア 「いゃ〜だ〜ウチの子をどうしようと私たちの勝手じゃない〜い?」
確かにフラダリ財団の研究所から逃げ出した子だが、ドラピオンに捕まって もがいているプニちゃんが、帰りたいと思っていないのは明らかだ。
ユリーカ 「違うっ! プニちゃん助けてって言ってる! 私には分かる!」
サトシ 「お前ら! いったい何者なんだ!?」
これがロケット団なら快く名乗ってくれるのだろうが、どうやらコレアは短気なようだ。
いきなりドラピオンに攻撃を指示、しかしすぐさまサトシ、そしてショータも動き、プニちゃんの奪還に成功。相手の実力も分からないまま、プニちゃんを捕まえていたドラピオン自身に攻撃指示を出したのが、コレアの過ちだった。
サトシ 「オンバット、“ちょうおんぱ”!」
オンバット 「お゙ぉぉ゙ぉぉぉ゙ぉぉぉぉ゙ぉん!!!」
オンバット、初参戦にて下っ端のデルビルたちの足止めに成功。群れバトルは経験値貯まるで。
直後にドラピオンも攻撃を放つが、ピカチュウの“10万ボルト”によって相殺、その隙にサトシたちは、その場から逃げ出したようだ。
プニちゃんの安全や小さいユリーカが居ることも考えれば、正しい選択しと言えるだろう。
余談ながら、ピカチュウの“10万ボルト”エフェクト変わったかな?
ともに作戦を失敗したコレアとモミジは、フラダリ財団に報告を行っていた。
しかし応答はフラダリでは無く……。
えっと……誰だっけこの男。原作ではスイッチがどうとか言ってた気がするが、名前の記憶なんぞ もはや無い。
男 「コレアもモミジも〜、ともにZから逃げられるとは〜、愚かにも程があるぞ」
モミジ 「申し訳ありません……」
コレア 「捜索を続行します」
男 「待て〜。アケビとバラにも出動命令が下ったんだぞ?」
モミコレ 「!?」
アケビ 「こっちも忙しいんだけどね」
バラ 「アンタたちの尻拭いなんて最低〜っ」
男 「仲良くぞ」
男は作戦について話を続ける。
それによると、ナメクジのような50%フォルムをZと呼び、それにコアとセルが関係しているが、アケビたちが探すのはコア。セルは捕獲済みのままだと思われる。
コアはやはり2体おり、最初に発見された――ハリさんが逃がした個体が“Z-1”。そしてモミジが捕獲に失敗した個体が“Z-2”らしい。
バラ 「じゃあこっちがZ-1いただき」
アケビ 「良くてよ。私はZ-2ね」
バラ 「最初からアタシ達に任せとけば良かったのに〜」
アケビ 「モミジとコレアじゃ……ねぇ〜」
モミジ 「うるさいなぁ!」
コレア 「Z-1は私が必ず!」
あぁ、このチームは仲が悪いのか。
現時点で言えることは、アケビとバラは仲が良くて、アケビとバラがそれぞれ対立していると言う構図か。男は知らん。
チームにおいて仲が悪いのは致命傷になり兼ねず、これは後々の作戦に影響が出てきそうだ。
……男の名前、クセロシキだ!
さて、逃げ切ったサトシたちだが、幸いプニちゃんに怪我は無かったようで、森の中の開けた場所で野宿することになった。……危なくない?
ショータに会うのは久々と言うことで、夕飯がてらポケモンたちの自己紹介。
光彦 「うわぁ! イーブイにオンバット! 仲間が増えたんですね!」
ファイアロー 「………。」
ユリーカ 「プニちゃん、みんな仲間だよ。仲良くしてねっ」
とりあえずショータさっきオンバット見ただろと突っ込みたかったが置いといて、“プニちゃん”と呼ばれる未知の生物を、皆は すんなり受け入れた。
いつだったか「なぜポケモンは鳴き声が違うのにコミュニケーションを取れるのか」と疑問に思ったことがあるが、なぜ見たことの無いポケモンを、これほどにも快く受け入れられるのだろうか。そもそもプニちゃんはポケモンっぽくないのに……。
そういうことを考えると、やはりポケモンのコミュニケーション力って、凄いと思う。
あとイーブイが意外と怖がらなかった。
そしてプニちゃん、ハリマロンに何かしらの反応が欲しかった。
ピカチュウが かぶりついたポフレの作画が妙に良かったことは さておき、プニちゃんはポフレを口にしない。木の実もダメ。
なら何を食べるのかと思いきや、光合成っぽいことを始めた。
まぁこの身なりで何かを食べるようには見えないので、太陽からエネルギーを吸収できるのだろう。
直前、プニちゃんが瞑想っぽい何かで付近のセルの居場所を確認したように見えたが、あれはいったい何だったのだろうか。見張り役か?
ところで、ショータと別れてから19話経つが、彼は合計5個のバッジをゲットしていたらしい(この間、サトシのゲットしたバッジは1個)。
ショータ、めきめきと実力を付けている。若いうちは伸びが早いと言うが、これはこれで早すぎる気がする。サトシのライバルポジションとして急成長が望まれるのだろうか。
で、問題はバッジである。
見知らぬバッジが3個……。
どうやらカロス地方もジムは8か所以上あるらしく、そこは以前から続くアニポケオリジナル要素だ。左下のバッジがカッコいい。
光彦 「これ、サイキックバッジですよね。ヒャッコクジムの!」
サトシ 「あぁ。ゴジカさん強かったぜ」
ピカ 「ぴぃかぁちゅ〜」 尻尾ピコピコ
セレナ 「ピカチュウお手柄だったもんね〜」
おいおい限りなくアウトに近いグレーゾーンを掘り起こさないでやってくれ。
光彦 「僕、次に挑戦するつもりなんです。サトシの次は?」
サトシ 「エイセツジムさ」
光彦 「エイセツと言うと……」
ショータは地図を広げ、エイセツの場所を確認。そして、途中の“終の洞窟”をオススメポイントとして紹介してくれた。なんでも珍しいポケモンが沢山いるんだとか。
……ねぇ待って。Z-2コアが居るんじゃないのそこ?
セレナがナビ端末で調べた画面を見せると、プニちゃんは興奮して画面を踏みつける。どうやらその可能性が浮上してきた。
ユリーカ 「プニちゃん、ここに行きたいんだ」
プニ 「うるるっ」 コクッ
ユリーカ 「やっぱり」
プニ 「うるるるるっ!」
サトシ 「じゃあ、行ってみるか、終の洞窟に」
シトロン 「プニちゃんのことが少しは分かるかもしれませんし!」
セレナ 「えぇ!」
本当にZ-2が終の洞窟に居たとすると、ジガルデが2体対面することとなるが、果たして何が起こるのだろうか……。
夜も更けていき、みなが寝静まった頃。
プニちゃんが何かに気付く。そして先ほどと同じように、瞑想を始める。
プニちゃんの脳裏に浮かんだのは、コレアほか数名のフレア団部隊。サトシたちのことを追って来たらしい。
この映像、木の上から見下ろすようなアングルだが、何をもって映し出されているのだろうか――。
それは、姿を消していたジガルデ・セルから見た光景で間違いないだろう。セルの見たものがコアに伝わる、ちょうどそう、ラティ兄妹の“ゆめうつし”のようなものだ。
ジガルデ、まさかこんな能力を持っていたとは……。謎が謎を呼ぶジガルデだが、これほどまでの情報量が“アニメで”初公開と言うのも、なかなか珍しいパターンだ。
さて、追手が来ると分かった以上、ここに留まる訳にはいかない。
ぴょこぴょこ慌てて逃げ出すプニちゃんだが、その際、ユリーカとサトシの顔をわざわざ踏みつけて皆を起こしている。これは、危険をサトシたちに知らせたと捉えるべきか。
しかしそれ以上に、カーディガン無しのセレナと言う貴重なシーンを見られたことの方が個人的には大きかった。
相変わらずパジャマの登場機会が少ないが、おそらく展開の都合上。
プニちゃんが逃げた先には運悪くコレア率いる部隊がおり、“タネばくだん”的な攻撃を受けてしまう……と思いきや、ここでサトシたちが追いついた。
体を張ってプニちゃんを守ったのは、ほかでもない、ユリーカ。仲間を守ろうとする勇気は素晴らしいが、生身でそれは危ない。ピカチュウとジュプトルのワザによって攻撃は相殺されたが。
サトシはゲコガシラを。セレナはテールナー、シトロンはレントラーを新たに繰り出し、コレアたちに挑む。
コレア 「やだもぉ放っておいてくれる!? ウチの子だって言ってるでしょ!」
サトシ 「放っておけないぜ! ウチの子ウチの子って、大事にしてるとは思えないぞ!」
光彦 「僕もそう思います!」
私もそう思います!
フレア団にとって、ジガルデ・コアは実験材料。名前ではなく“Z-1”と言う番号で呼んでいることからも、それが伺える。
サトシたちにとってその考えは許せないだろうし、プニちゃんが人間を不審に思ってしまうのも無理は無いだろう。
コレア 「やだもぉホント面倒くさい子たち……。“クロスポイズン”!」
部隊 「「「“あくのはどう”」」」
同じ格好!
フレア団側の攻撃とサトシたち側の攻撃が衝突し、爆発。爆風に耐える中、サトシが言った。
サトシ 「セレナ、シトロン。ユリーカたちを連れて逃げろ!」
光彦 「ここは僕たちに任せて下さい!」
やだサトシさん、格好良い。
それにしても、当時あれほど未熟だったショータが、短期間でこんなセリフを言えるまでに成長するとは、いったい誰が予想したであろうか。後輩ポジションは、案外長く続かないかもしれない。
……とは言ったものの、攻撃の衝突による砂埃で、コレアたちに撒かれてしまう。
サトシたちを倒そうとせず、あくまでプニちゃんの捕獲が優先と言うことか。その辺は任務に忠実と言うか、悪の組織らしい行動だ。
一方のユリーカたちも問題が発生。川越えで足を滑らせたせいで、プニちゃんと逸れてしまったのだ。
流されたプニちゃんは岩場で目を覚ますが、今まで一緒だったユリーカたちが居ないと分かると、ぴょこぴょこと移動を始めた。
これがユリーカを探すためなのか、単に自分が助かろうとしているのかは定かではない。酷な言い方をすれば、プニちゃんはユリーカに捕まえられて、勝手に仲間にされたようなものなので、ここで立ち去っても、プニちゃん的には問題ないのだろう。一度助けて貰ったことを、プニちゃんがどう思っているのかは分からないが……。
しかし、そう簡単には逃げれ無さそうだ。
バラ 「逃がさない。お前には実験の続きがあるんだからねぇ!」
新たな追手は、追加投入されたフレア団員、バラが率いる部隊。あっという間にプニちゃんは、デルビル、ニューラ、キリキザンに囲まれてしまった。
この場に自分を守ってくれる者は居ない――。
そんな絶体絶命の状態が、プニちゃんの秘める力を解放することになる。
プニ 「ぅるるるるるるるるぅぅぅっ!!!」
突然光りだすプニちゃん。
その光はプニちゃんを中心に、周辺の森へとリングのように広がって行き、あたりに散らばって生息していた“セル”と同調する。
セルは緑色の光となり、四方八方から、どんどんプニちゃんの元へ集まっていく。その数、ざっと50以上あったのではないだろうか。
そうして現れたのは、ドーベルマンのような生物。プニちゃんが変化した姿だ。
バラ 「なんだこれは……!? こんな報告受けてないぞっ!?」
所謂“10%ジガルデ”の姿だが、そのことを、フレア団側は知らなかったようだ。
……いや、“まだ”知らなかったのかもしれない。
先ごろの実験では、ジガルデのコアとセルを人為的に融合させようとしており、もしかすると、両者の融合によって姿を変えること自体は、フレア団は掴んでいた可能性もある。現に、Z-2は50%フォルムの状態で捕獲しようとしていたのだから。
そうすると、その実験は人為的に50%ジガルデを生み出そうとしていたことになるが、フレア団は、“50%ジガルデこそジガルデの完全体”と思っていたと推測できる。
そんなジガルデ・コアが予想外の姿に変化した訳だから、バラが驚くのも無理はない。
呆気に取られているバラを尻目に、10%プニちゃんは攻撃を放つ。
緑色の光を放ち、地面が割れ、まるで爆発のように緑色のエネルギーが発散した。
現時点で、この攻撃の正体は分からない。
だからこそ、この一撃でバラたち部隊は撤退を決めたのだろう。
攻撃を終えると、吸収されていたセルは再び緑色の光となり、各地へ散らばって行った。プニちゃん本体は、ボロボロになって倒れ込んだ。
いま放ったワザが反動を伴うものなのか、それとも姿を変えることに相当な体力を必要とするのか、本当に現時点では謎だらけである。
分かったことと言えば、コアの姿では攻撃出来ない、セルは割かしそこら辺に散らばっている――くらいだろうか。
その緑色の攻撃によって、サトシたち、ユリーカたちは、プニちゃんの居場所を知ることが出来た。
慌てて駆け寄るユリーカだが、プニちゃんの消耗は大きく、岩場でほとんど動かない。
しかしその時、朝日が顔を出す。太陽の光に当たると……なんとジガルデの傷が消えたではないか。
夕食時も太陽に当たって養分を得ていたプニちゃんだが、これ光合成と言うより、体力回復ワザの“こうごうせい”に近いかもしれない。とにかく、太陽光で養分補給、回復も出来ると言うのは凄い。さながらミドリムシだ。
ユリーカ 「プニちゃん……ごめんね。もう離さないからね」
ユリーカとしては、自分が川で転んでしまったせいで、プニちゃんを危険な目に遭わせてしまったと言う自覚があったのだろう。
いち早くプニちゃんの元へ駆けつけていたし、なによりこの安堵の表情を見れば、どれだけ心配していたかが分かる。
フラベベ、チゴラスで培ったポケモンを想う気持ちが、ここまでユリーカを成長させたのだ。
セレナ 「みんな無事で良かった……」
サトシ 「ショータ、一緒に戦ってくれて助かったぜ」
光彦 「僕とジュプトル、役に立てたでしょうか」
サトシ 「勿論だ!」
光彦 「ありがとうございます! 経験値、頂きましたっ」
ショータの経験値はさておき、彼は本当に成長したと実感した。謙虚さも相まって、こいつは大物になる予感がする……。
一方のプニちゃんだが、優しく抱きしめるユリーカに、身を預けていた。
完全に心を許した……とまでは行かないだろうが、少なくともプニちゃんにとって、人間への悪い理解を変えるキッカケになったかもしれない。
今後もユリーカたちと触れ合うことで、人間の優しさ、絆を感じ取って貰えるよう、祈るばかりだ。
所変わって、バラの部隊はコレアの舞台と合流していた。
この「アンタだって失敗してるじゃんやーねー」的なコレアの表情!
そして死にかけの下っ端が居るんですが……。
バラ 「Zに もう一つの姿があった……。オペレーションZに関わる重大な情報、本部に報告しないと……!」
“オペレーションZ”。ジガルデを使った作戦であることに間違いないだろうが、いったいどのような目的なのだろうか。
……まぁ世界征服なのだろうが、ジガルデはゲーム内では公式に未登場なので、どのようなストーリーを辿るかは分からない。
これはもしや……、ゲーム版Z(出るとしたらだが)よりアニメの方がストーリーを先行することになりそうだ。
そんな遣り取りを影で聞いていたロケット団。
彼らもまた、フレア団の野望に深く関わっていくことになるのだろうが、こちらも原作には無い要素となるので、どのような活躍を見せてくれるのか、非常に楽しみである。
サトシたち一行は、ショータと別れ、エイセツシティへと向けて出発した。勿論、プニちゃんも一緒に。
ショータは次はヒャッコクジムに挑戦するとのことで、フレア団との戦い、そしてジガルデとの出会いは、近いうちにゴジカに伝わるだろう。
ゴジカの予言の意味するものが、何か分かるかもしれない。
そしてその時、カロスを襲う危機が明らかになる――、か。
――― * ――― * ――― * ――― * ――― * ――― * ――― * ――― * ―――
話は少し遡り、場所はフラダリ財団。
メガシンカ使い10人抜きにチャレンジしていたアランは、最後の敵、パキラのメガヘルガーに勝利した。
パキラと言えば、四天王兼ニュースキャスター。先日(第92話)も日時計に関するニュースを読み上げていたが、その時とは違い、赤いグラスをかけていた。それは即ち、フレア団側の人間と言うことか。
フラダリ 「パキラを破るとは大したもんだ」
パキラ 「限界を超えた絆――、確かに見せて貰ったわ」
フラダリ 「メガシンカは、ポケモンだけでは出来ないと言うことだ」
アラン 「はい。オレたちトレーナーも、大きな覚悟をするものだと気付きました。感謝します! これでオレの大切なモノ、全てを守ることが出来ます!」
フラダリ 「ほぉ。大切なものとは……」
その時、部下がフラダリに異常事態を知らせた。
アランの“大切なモノ”が何か、結果的にフラダリとパキラに伝わらなかったが、その異常事態とは他でもない、ジガルデ・コア(Z-1)が脱走したことだろう。そして、ハリさんに異変が起きたことも。
財団内の治療施設で処置を施されるハリさん。それを見守るマノンとダイゴの元に、プラターヌ博士が到着した。
元々はマノンもプラターヌ博士の元から旅立ったのだから、ハリさんの異常を連絡したのだろう。
ジョーイ曰く、命に別状はないが、昏睡状態に陥っているとのこと。原因は不明で、今は経過を観察するしかないらしい。
プラターヌ 「何故こんなことに?」
マノン 「分からない……全然分からないの……」
フラダリ 「このままハリマロンは、財団で預かります。ウチ以上の施設はありません」
プラターヌ 「フラダリ代表ですね」
フラダリ 「初めまして博士。ハリマロンは責任をもって預かり、回復に務めます」
これは……、明らかにジガルデ・コアのことは隠されている。
マノンは現場を見ていない訳だし、唯一の目撃者ハリさんも、今は昏睡状態。実験に立ち会っていた科学者たちが口裏を合わせれば、ハリさんの異常の原因が例の実験だと、外部の人間が知る術は無い。
フラダリの、一見 責任感の強そうな発言、対応が、全てを物語っている。
ハリさんを心配してフラダリに泣きつくマノン。
そんな彼女たちの姿を、アランは影で、居た堪れない思いに苛まれていた。
大切なモノを守る? 何を綺麗ごと言ってるんだ。
現に大切なモノは、壊れてしまったかのように悲しんでいる。自分がバトル中に酷い言葉を浴びせてしまったせいで、こんなことになってしまった。
いったい自分は、何をしているんだ!?
アランの中で、何かが弾けた――。
フラダリ曰く、ハリさんを回復させるには、一日も早く、メガシンカエネルギーのシステムを確立する必要があるとのこと。
ジガルデの実験を語らずして、何がどうハリさんの異常に繋がるか説得力が無いが、今の状態のアランは、疑うことなくフラダリの言葉を呑み込んだ。
自分がやる、マノンの笑顔を取り戻すためにも――、と。
パキラ 「ホントあなたって人は」
フラダリ 「なにがだ?」
パキラ 「あんな純粋な男の子捕まえて、イケナイ人っ……」
フラダリ 「なにも嘘は言っていない」
パキラ 「まぁいいわ。あの子が好きな理由は分かったしね」
パキラに関しては、真実が伝えられていたようだ。
これでパキラがフレア団側の人間であることが確定した訳だが、パキラに隠れて不吉な笑みを浮かべていたフラダリを見るに、恐らく彼にしか知らないことが隠されていると思われる。
フラダリはアランを利用して、何を成し遂げようとしているのか――。そもそもアランを利用する意味とは何なのか――。アランである必要があったのか――。
アランが向かう先は、歩む方向からしてヒャッコクシティ。
メガシンカエネルギーの研究と言うことは、日時計に何かヒントが隠されているのかもしれない。
ハリさんを回復させ、マノンの笑顔を取り戻すと言う決意のもと、アランは動く。
それがフレア団の野望の一端を担がされているとも知らず、ただただ、大切なモノを守るために。
それは正しく、アランの“正義”。恐らくフラダリの研究を妨害しようとする者には、容赦なく立ち向かっていくだろう。
そして今、2つの“正義”が交わろうとしていた。
それぞれの信じる“正義”の想いが、カロスの危機にどのように作用していくのか、今後も目が離せない。
● 総括
Z編スタートの第1話目は、作画、演出、ストーリー、どれを取っても最高と言って良い出だしとなった。ジム戦レベルの作画を持ってくるとは、Z編への力の入れようが伝わってくる。
フレア団と対決するであろうことを予感させる展開、プニちゃんの不思議さ・魅力・隠れた強さ、その他フレア団がどう言った立ち位置か――などなど、今後も期待せざるを得ない内容が盛り込まれており、それでいて決して説明チックなストーリーで無かった点は、さすが冨岡脚本と言った所か。
特別編から直接ストーリーが繋がるのも面白い展開だったが、これ下手すると、サトシとアランが敵対関係になり兼ねず、その辺も含め、これからの進行を楽しみに見守りたい。
● 次回ひとこと予告
→ イーブイ可愛い。それ以外はどうでもいい。