ポケモンXY感想−44話目

第45話 「シトロン対ユリーカ!? ニャオニクスできょうだいバトル!!」


 サトシ達の昼食からスタート……したのだが、椅子が1つ多い。珍しく、のっけからリュウジと言うゲストが登場している。
 そろそろセレナの料理シーンが出るのでは……と面出監督なので期待したが、そこはしっかりシトロン。もっとも、それには話の展開からきちんと理由があるようで。

 シチューのニンジンを残したことを注意するシトロンに、ユリーカはうんざり顔。お兄ちゃんだってグリーンピース食べれないくせに〜と食ってかかる。……うん、それでこそ妹だ。
 それを有耶無耶にするシトロンも良くないとは思うが、有無を言わさず食べなさいとシトロン。そんな時にハリマロンが森の奥へ入って行くのを目撃したものだから、当然ユリーカは追いかける。


 ▲ それでもきちんと食べて偉い


 ……そもそもハリマロンが勝手に行動した理由と言うのが、メスのニャオニクスの姿を見たため。メスポケに惚れるハリマロンは、ポッチャマミジュマルの血筋を順当に引き継いでいたのだった(哀)

 それでまぁ……迷いますわな。そして案の定! 悪役としてスピアーが襲ってきた! おいこれXY編で6回目だぞ。7話に1回ペースだぞ。

 そんなユリーカを助けたのは、ニャオニクス♀のトレーナーであるハジメリュウジの兄なんだとか。で、さっそくハジメリュウジの仲が悪い。
 それを横目に、シトロンとユリーカの関係も悪化する。シトロンはユリーカが勝手に行動し、しかもその理由を、ニンジンを食べたくないがためだと判断。普通に考えればそうなる。
 しかしユリーカにとっては事実無根、ハリマロンを追いかけただけだ。抗議しようにも、怒る兄に強く出れないユリーカの表情やその後の反抗的な態度は、兄妹のよくある風景を的確に表しているように見える。
 そして何より、兄妹喧嘩の発端としての出来事がなかなか現実的(ポケモンがいて現実的かよ等のツッコミは無し)だ。
 まぁ、シトロンが怒るのは、ユリーカを心配してのこと。サトシとセレナに「何かあってからでは遅い!」と強い口調で言ったことからも、それは読み取れる。


 ユリーカが怪我したことから、ハジメリュウジ家で手当てしてもらうことに。その家が大豪邸なもんだから笑えない。やはり良い家に住んでても旅に出るものなのか、この世界は。

 そこに父親が登場。何となく厳格な雰囲気漂う。
  父親 「2人とも、少しは逞しくなったようだな」
  リュウジ 「そりゃそうさ。この1年修行の旅をしてきたんだ。前のオレとは違うぜ!」
  ハジメ 「僕も精一杯修行に励んだつもりです!」
 17年間旅している人間が目の前にいると言うのに、たかだか1年の旅で偉そうなこと言うな!……と思ったのは自分だけではないはず。

 そしてあろうことか、客人の目の前で後継者選びをなんたら〜と話し始める父親。
  父親 「後継者選びは我が家に伝わる正式な方法で行うことになっている。/それは……宝探しだ」

 ……おい。
 そんなことで後継者を決めるのかよこの家系は。この先長く持たないぞ。
 なにやらこの屋敷のどこかに宝が隠されていて、それを先に見つけろと。しかも広いから誰かに手伝ってもらってもいいんだとか。……どう考えてもサトシ達に手伝えって言ってるようなもんじゃないか。

 そんなこんなで、ユリーカの提案でハジメ(兄)はセレナとユリーカを。リュウジ(弟)はサトシとシトロンを助っ人として、宝探しスタート。シトロンと別れてあっかんべーするユリーカが可愛かった。


  サトシ 「リュウジさん、宝物って何だと思います?」
 ……これあのパターンだよね。兄弟が仲良くすることこそ宝だ〜とか言うアレだよね。
 そもそも兄弟の仲が悪くなった原因は実に些細なことだった。兄は弟が心配で、ついつい口煩く言ってしまう。弟は言われなくとも一人で立派に出来ると強情になる。要するに、兄弟間のすれ違いだ。

 宝探しを、シトロンと弟、ユリーカと兄で組み合わせたことで、それぞれに弟(妹)の、兄の本当の気持ちを気付かせた訳だ。定番ネタだが、それゆえ安定しているし、シトロンとユリーカという兄妹がレギュラーである以上、一度は経験するであろう互いのすれ違いを、ゲストキャラを使って上手くまとめあげた格好だ。

 結果的に、宝物と言うのは案の定、兄弟間の絆だった訳で、それを分からせるため、悪役を買って出た父親のバクオングを兄弟で倒すと言う、シンプルなストーリーだった。
 シトロンがバクオングからユリーカを守ったことで、この兄妹間も互いの素直な気持ちを打ち明ける機会を得たようだ。セレナが勧める形で、シトロンとユリーカは無事仲直りした。

 全体を通して、シトロンがいかにユリーカを大切に思っているか、言葉とは裏腹にユリーカがどれだけシトロン好きなのか、そしてそんな2人を親のように見守るサトシとセレナの優しさが際立つ日常回だった。
 ついでに、ハリマロンの立ち位置が揺るぎないものとなった。


● 総括
 ごめんなさい。OP映像のセレナに全部持って行かれたせいで、割かし大人しめだったこともあって本編の印象が薄かった。


● おまけ
 で、そのオープニング映像が非常に意味深。コルニ達が消えてそのスペースをセレナが占める形に変更されたが、……なんだろう、OP映像にしてはテンションが低いというか、元気が無い。

 まず、元々はコルニとルカリオの木陰のシーン、そして、カルネのポスターを見てはしゃぐセレナのシーンが、丸々セレナに変更。
 しかし、彼女の顔は暗い。木にもたれかかり、なにか悩んでいるような印象を受ける。元がはしゃいでいたシーンなだけあって、この激変には驚きだ。
 そんな様子に気付いたサトシが手招きするも、セレナの顔色は変わらなかった。普通ならその時点で元気を取り戻しそうなものだが……。

しかもしかも、セレナはその手招きについて行かない。セレナを置いて離れ行く、サトシ、シトロンそしてユリーカ。その3人を何やら霞がかったものが覆っているのは、セレナの心情の表れなのか。3人が彼女から離れた遠くに行ってしまう、はたまた、セレナ自身が3人から距離を置こうとしているのか――。

 何にせよ、サトシたち3人とセレナの間に、明確に“違い”ができてしまったと推測できる。その“違い”が夢関連なのか、直近の目標なのか、ポケモンに対する想いなのか、それはまだ分からない。

 続いてサナたちのシーンが残っていることから、あの3人は今後また登場するだろうと予測できる。

 サビ過ぎてからのサトシVSコルニのシーンも、丸々セレナへ。ヒロインはコルニでは無くセレナだとアピールしているように見えなくもない。
 夕暮れの海岸に1人佇むセレナ。足元は海水に浸かり、何やら思い悩んでいるように見える。しかし、前を見つめ直して夕日を掴むところをみるに、悩みを振り切って新たな一歩を踏み出そうとしているようにも見える。

 その直後には、16日からメンバーに加わるであろうヤンチャムが一足早く登場。そして、トライポカロンを優勝してアイドルになったと言うエルが、監督テロップとともにしっかり登場。さらに、セレナの実家と彼女の母親であるサキも描かれていたことがまた意味深。

 前回のOP映像変更を見るに、OPに登場したキャラは近く本編に登場する可能性が高い。エルに関しては言わずもがな、しかしサキの登場は少々意外だ。何せサキの表情もまた、それほど明るくなかったからだ。これはいったい何を表しているのか――。

 登場機会としては、サトシたちの今後のルートを辿ると、ヒヨクシティを過ぎればミアレに向かう一択となるため、一行がセレナの実家に立ち寄る可能性は十分考えられる。その際に、家族で何か起こると言うのだろうか。
 セレナはトライポカロンを目指す方向に進みかけているが、サキとしては、自分と同じサイホーンレーサーへ進んで欲しいと思っているに違いない。そのことで対立、すれ違いがあるのか。はたまた、サイホーンレーサーにさせようというサキ自身の望みを諦めようとしているのか。たった数秒のサキのシーンから、様々なことが想像できる。

 ラストは、セレナたち4人が揃ったシーンで〆られる。歌詞に併せた黄色い花が咲く岬のような場所で、海にかかる虹を眺める4人。その時のセレナは、再度何かを決心したかのような表情を見せた。


 と、以上のようなOP映像だが、ポジティブに考えれば、OP映像はOP映像で完結したストーリー、と捉えられる。
 要するに、これまでのセレナの心情をOPに落とし込んだという面だ。始めは夢が決まっていない焦り〜中盤で決心〜ラストでサトシたち夢を持っている者と並ぶ、といった具合に。

 しかし、それだけで終わらなさそうなのがXY編だ。これまで何度も口にしたが、XY編はどうも“お決まりパターン”が通用しない節がある。
 そもそも初盤の、サトシが指し伸ばした手について行かないことが、非常に気がかりだ。これまでの話の中で、夢がまだ見つかっていないセレナに対して、サトシは程よい助言を続けていた。それを聞いてなお悩むようなセレナは、これまで描写されていない。
 何よりサキが登場したことが、大きな意味合いを持っているように思える。

 これは管理人の勝手な推測だが、このOPは、これから起こることを表しているように思う。
 セレナの興味、トライポカロンと、サキの望み、サイホーンレーサー。この2つを巡ってセレナが本当に悩むことになるのなら、「ゆっくり考えればいい」スタンスのサトシの助言について行かなくても納得できるし、ラストのサキの表情も説明がつく。

 この真実が分かるのは、少なくともセレナたちがミアレに到着以降になるだろうと思う。これが単なる考えすぎで、単なるOPの演出ならばそれでいいが、もし管理人の考えが当たってしまった場合、これまで上手くやっていたメンバー4人の関係が、微妙にずれてしまいそうで心配だ。

 本当に、XY編は先が読めなくて今後の展開が気になってしまうが、これだけセレナをアピールするOPに加え、EDもセレナをイメージしたものに変更されることから、セレナにスポットを当てたストーリーが訪れることは確実だろう。

 皆さんはこのOPで、どんなことを感じましたか?