ポケモンXY感想−59話目

第59話 「サトシとセレナ初デート!? 誓いの樹とプレゼント!!」


 さぁ、皆さんご一緒に。

 ……タイトルコール、シトロンかよ!?


 11月に発表され、多くのファンに生きる希望を与えてくれたデート回が、ようやく放送された。
 サトシの“デート”ということ自体、18年目を迎えるアニポケにおいて史上初。これは喜ばしいと言うより、逆にサトシがどんな反応をするかの方が楽しみである……が、サトシのイメージを壊してしまっては元も子もない。
 セレナのサトシ好き設定と、サトシの超鈍感設定。この2つを活かしながらのデートとは、いったいどのようなものになるのだろうか。


 ヒヨクシティのポケモンセンターで、セレナがトライポカロンへの出場登録を行った。これでもう後戻りはできない訳だが、セレナの決心は固いはずだ。
 で、早速サトシのことを見つめるセレナ。無意識のうちに、好きな相手に自分の決心をアピールしたのだろうか。それにサトシも無言で頷いた。


 外に出ると、なにやら街が賑やかで、建物には飾り付けが施されている。
 とそこに、フクジが登場。まさかの3話連続放送は、ビオラとザクロを追い抜いた。まさかフクジがここまでプッシュされるとは。……単にヒヨクシティだからなのか。


 フクジが言うには、今日はポケモンにプレゼントを贈ると言う祭りが行われるらしい。
 その昔、とある旅人がポケモンとの友情の印に苗木を贈ったことが始まりで(この旅人フクジかその先祖だろ)、それ以降、成長したその苗木の下でポケモンにプレゼントを贈ると、絆が一層深まるらしい。

 サトシ達も勿論参加する。セレナ曰く、港側に店舗の集合地区があるらしく、そこでプレゼントを買いに行くことに。



  ▲ ピカチュウも行く気マンマンだが……。


 一方、シトロンはプレゼントを自分で作るらしい。

  ユリーカ 「お兄ちゃん、また失敗しないでよ〜」
  シトロン 「大丈夫だよ! 僕だって、いつも失敗している訳では〜」

 ※ 25回ほどの発明のうち、成功した(シトロンによる原因で爆発しなかった)のは5回です。



  サトシ 「ピカチュウは留守番しててくれ」
  ピカ 「ぴぃかぁ?」
  サトシ 「だってプレゼントって、貰えるまで中身が分からない方がワクワクするだろ?」
  セレナ 「そっか……そうだねっ! フォッコヤンチャムも待っててくれる? きっと素敵なものを見つけて来るから」

 ……うん、それは勿論なんだけど、じゃあこの予告↓は なんなんだよ(笑)
 てっきり“お忍び的に”買い物に行くと思ったんだが……。


  ユリーカ 「だったら、私がみんなのお世話していい!?」
  サトシ 「あぁ。頼んだぜユリーカ」
  ユリーカ 「ぅん! まかせてっ!」

 とてもイキイキとしたユリーカの声。小さい女の子の言動は、なかなか癒されるものがある。
 ユリーカ自身は、モノレールに乗りたがっていたが、モノレールなんかよりポケモンを選んだと言う訳だ。そこは、ユリーカもポケセンに残ることへの上手い理由付けだと感じた。


 さて、サトシとセレナは買い物に出かける。ピカチュウもいない、完璧な2人きりで。


 ……実はコレ、サトシとヒロインが2人きりと言うのは、ポケモン始まって以来の出来事だったりする。そこんとこ、サトシはどう思っているのだろうか……。

  セレナ 「(サトシと2人っきり……これって……これって……デートみたいじゃないっ……!?)」
  サトシ 「セレナは何にする?」
  セレナ 「なっ……なににしようかなー」


 ……オレの知ってるポケモンじゃない(笑)
 完全に意識してしまっているセレナと、普段通りのサトシ。この時点で少々嫌な予感はしたが、まぁまだ始まったばかりだ。


 モノレールに乗り込み、丘エリアから港エリアへと移動する。森の中をしばらく走り、景色が開ければ、そこは港、大きな海。
 サトシと一緒に車窓を楽しむセレナは、見ているだけで分かる。とても嬉しそうだ。



 ショッピングストリートに到着した2人は、早速お店を見て回る。
 流石セレナは女の子。ショーウインドウ越しに良いモノをサトシに勧めるが、当のサトシはマイペースと言うか落ち着きが無いと言うか、ポケモンでは無い何かの置物を見てはしゃいだり、何かの付録かと思しき紙製の帽子を取って見たりと、セレナのことはほぼスルー!
 しまいには、「オレあっち見て来るから、駅で待ち合わせな」と、まさかの別行動!

 ……えっ!? デート終わりっ!?

  セレナ 「ちょっと……サトシぃ! ……もぉ〜!」


 ……可愛いから許す!

 じゃなくて。
 2人っきりのデートを予告しておいてこのぶち切り方には、少しガッカリ。
 けど、サトシの性格を考えれば、セレナの(女の子の)ペースに合わせて買い物なんて出来る訳が無く、ある意味妥当な流れとすら感じてしまった。
 “女の子と2人っきり”という状況を屁とも思わないサトシにとって、これ以上の絡みは難しかったのかもしれない。
 まぁ結論として、セレナが可愛かったから許す!


 買い物を終えたセレナは、サトシとの待ち合わせ場所に向かったが、サトシは何も買っていない様子。
 ひとしきり悩んでも決まらなかったらしく、これから考えるとのこと。セレナも「じっくり考えましょう」と声をかけるが、果たしてこの時間で間に合うのか?

 駅の改札を潜ると、何とサトシ、100万人目の利用者だからと、記念品を贈呈された。


  サトシ 「まさかオレの方がプレゼントを貰うとはなぁ〜」
  セレナ 「ねぇねぇサトシ、何を貰ったの? 見せて見せて」
  サトシ 「うん」

帰りのモノレール内で、記念品の封を開けるサトシ。
そこには、青いリボンが入っていた。……モノレール関係ねぇ!

  セレナ 「わぁっ……綺麗なリボンだね〜」
  サトシ 「あぁ。でも、あいつらが喜ぶプレゼントって……」
  セレナ 「そうだったね……」

なんか、今この時点の方がデートっぽく見えるのは自分だけだろうか。

  セレナ 「きっと、サトシが選んだものなら、ピカチュウ達、なんでも喜んでくれると思うんだ」
  サトシ 「そぉか〜?」
  セレナ 「サトシが貰って嬉しいモノってなに?」
  サトシ 「オレが貰って……嬉しいモノ?」
  セレナ 「だって、サトシのポケモン達、みんなサトシに似てるもの」
  サトシ 「オレに似てる……嬉しいモノ……そうだよセレナ! それだよ!」



  ▲ サトシ目線でのセレナ可愛い。


 何かに閃いたサトシは、駅に到着するなり、モノレールから下りて走り出す。
 モノレールが外開きプラグドアと言う謎のこだわりようは さておき、セレナは先に戻っていてと言うが早く、サトシはどこかへ行ってしまった。
 ……ホント、デートとは何だったのだろうか、と言うより、セレナが可愛そうで仕方ない。


 セレナがポケモンセンターに戻ると、フォッコが笑顔でお出迎え。
 フォッコは本当にセレナのことが好きみたいで、体いっぱいに愛情を表現すような行動は本当に微笑ましい。

 ……ところでお前は何をやってるんだ。


 そんななか、ユリーカは自分もポケモン達になにかプレゼントしたいと言いだした。トレーナーじゃないとダメかな……と弱々しく発する当たり、まだ自分のポケモンを持っていないという小さな女の子の描写が なかなかリアル。
 そして、プレゼントに似顔絵をチョイスしたのも、また可愛らしい。


 日は暮れて、夜になると、街はイルミネーションに包まれる。もう祭りの準備は整ったと言う訳だ。
 そこにサトシも帰還。なにやら大きな袋をサンタのごとく抱えているが、何が入っているのか……おおよそ察しがついてしまうのは、サトシの性格が真っ直ぐ(分かりやすい)だからだろうか。


 誓いの樹とは、ヒヨクジムの大木のことだった。そして、進行役はフクジ。……これ、絶対フクジ関係者が言い伝えの人物で確定だよね。

 プレゼントは一旦木の下に置き、フクジの開会宣言でイベントがスタート……と思いきや、大木の上方から、強力な吸引力でプレゼントを吸い込む何かが!



  ▲ スカートが危険なセレナ、帽子が飛ばないサトシ、謎ポーズなシトロン。


 ここでゲコガシラが何かに気づいたらしく、大木の一部分を攻撃。落ちてきたのはロケット団
 ポケモンへのプレゼント=ポケモンの役に立つ道具=奪えばロケット団の勢力になると踏んだらしく、この強奪作戦を決行したらしい。

 まぁそこんところはサトシ達の活躍で短時間で蹴散らした訳だが、吹き飛ばされた割には案外近くの木に引っ掛かったロケット団
 そこでニャースは、木にプレゼントが引っ掛かっているのを見つける。

  ムサシ  「あぁ、それアンタの分」
  ニャース  「ニャァ?」
  コジロウ 「これがマーイーカ
  ムサシ  「これがソーナンスバケッチャ
  マーイーカ 「いっか?」
  バケッチャ 「ちゃちゃぁ?」
  ソーナンス 「そ〜なんす?」

  ムサシ  「アンタたちにも少しは世話になってるからねぇ」
  コジロウ 「オレとムサシで用意しておいたんだ」


 おいこれ泣ける。
 デート回にロケット団が出ると分かった時点では嫌な予感しかしなかったが、こうも美しく飾ってくれるとは、嬉しい誤算だった。
 プレゼントを奪うことしか考えていなかったであろうニャースたちにとって、ムサコジからのサプライズプレゼントほど、嬉しいモノはないだろうな。そしてまた、ムサコジも根は良い奴なんだと改めて実感できた。
 涙ながらムサコジに飛びつくニャースたち。ホント仲の良いメンバーだこと。悪役ながら、とても微笑ましい一面だった。


 誓いの樹の下では、サトシ達がプレゼントを持ち主に返していた。こういった役目を進んで買うあたり、サトシ達の優しさと言うか、根が真面目なことが伺える。
 それを見て微笑むフクジも、また味が出ていた。アニポケのフクジの描かれ方は、なかなか好印象だ。



  ▲ 自分のプレゼントが戻り、安心のあまり涙するユリーカ。こういった描写も抜かりない。


 さて、気を取り直してイベントの再開。
 カウントダウンとともにフクジが何かのスイッチを入れると、誓いの樹全体が美しくライトアップされた。電気代……。

 そして、ポケモン達にプレゼントを渡す。

 ユリーカの似顔絵は、とても子供らしいタッチながら、特徴をよく捉えていて可愛らしい。特にフォッコの色使い。おそらく対応する色が無かったのか、近い色で塗られているのは子供らしい。


 セレナからは、ヤンチャムにサングラス。フォッコにはリボン。セレナ自身がデコレーションしたらしい。
 それを見て目を輝かせてセレナに飛びつくフォッコと、嬉しいんだろうけど恥ずかしいのかソッポを向くヤンチャムが、何か凄い可愛い。自然と笑みが込み上げてくる。


 シトロンが作ったのは、ルクシオハリマロンホルビーの人形が乗ったオルゴールだった。これはなかなかのセンス、3匹も満面の笑みを浮かべた。流石にこれは爆発のしようがないだろう(笑)


 そしてサトシのプレゼントは、大量の木の実だった。
 セレナに気付かされた、自分自身が貰って嬉しいモノ――。それはやはり、食べ物だった。決して食い意地とかではなく、純粋に、貰って嬉しいモノ。
 サトシのポケモン達は、大喜びで食べ始める。やはりピカチュウ達は、サトシに似ている。セレナの見立てに、間違いは無かったと言うことだ。



 ルクシオホルビーはオルゴールにウットリ。
 デデンネと地味にハリマロンは、サトシの木の実に御呼ばれ。
 セレナは、自分のプレゼントで着飾ったフォッコヤンチャムを見てご満悦。



 そんな思い思いの時間を過ごしていると、隅っこに、一つプレゼントが残っていることに気が付いた。
 誰かの渡し忘れなのか……しかし見てみると、それはセレナ宛てとある。中を見てみると……赤を基調とした、可愛いドレスが入っていた。

 驚く一行に近付くジョーイ。どうやらポケモンセンター宛てで届いていたらしく、送り主から、驚かせる方法で渡してほしいと頼まれたんだとか。
 それを実行するジョーイ、シチュエーションの選択は、サプライズプレゼントにピッタリだ。


 セレナはハッとして、ポケモンセンターに戻る。電話したのは、自分の母親。

  サキ 「気に入って貰えた? トライポカロンに出るなら衣装が必要だと思って。それで、ジョーイさんの所へ送ったの」
  セレナ 「ママっ……」



 そう、送り主はサキだった。
 サキ自身の夢……娘をサイホーンレーサーにすることを諦めてもなお、セレナの夢、カロスクイーンを応援する姿は、母親の鏡だ。
 セレナの本気を、サキも本気でサポートする……そんな微笑ましい親子愛に、思わずホロリ。セレナも涙して喜んでいた。


 そんな光景に、サトシとシトロンも顔を見合わせニコリ。ユリーカはセレナ同様涙しており、男の子と女の子の反応の違いが描かれていた。
 こういった描写があるだけで、とても丁寧に話が作られていると実感できる。



 ……と、外で花火が上がり始めた。
 ルイルミネーションの街、ライトアップされた誓いの樹、夜空で花咲かす花火。
 そんな最高のシチュエーションで、サトシはセレナに声をかける。



  サトシ 「これ、貰ってくれないかな?」
  セレナ 「えっ? なんで……?」
  サトシ 「セレナに言われなかったら、選べなかったよ、プレゼント。だからこれ、セレナに……お礼っ」
  セレナ 「……ありがとう! 大事にするねっ」



 ここでサトシが男を見せた!

 セレナの一言が、サトシにプレゼントのヒントを与えたわけだが、それは彼女が、サトシのことをよく見ていた証拠ではないだろうか。
 過去のジム戦でも、図らずも、セレナはサトシの手助けをしている。もしかすると、そういったこと全て含めての、サトシからのお礼なのかもしれない。

 サトシからリボンを貰たセレナの嬉しそうな顔といったら!

 セレナが言った、「サトシが選んだものなら、ピカチュウ達、なんでも喜んでくれると思うんだ」。
 これは、実はセレナ自身にも当て嵌まっていたのだろう。

 ほとんどデートが出来なかったヤキモキも、これで報われたんじゃないかな? セレナにとっても、視聴者にとっても。


 美しい花火を見つめるサトシ達。

 今回、“プレゼント”と言うのは、単に“対ピカチュウたち”だけでなく、“ロケット団からニャースたちへ”、“サキからセレナへ”、そして“サトシからセレナへ”という、まさかの4段構え。

 絆やキャラたちの心情を描く、質の高い、納得のストーリーだった。


● 総括
 悔しい……! 何が悔しいかって、サトシとセレナのデートと見せかけておいてそこまで盛り上がらなかったにも関わらず、全体を通して凄く良い感じに纏められてたもんだから悔しい!
 デート云々を抜きにして、キャラたちの魅力が存分に引き出されたストーリーだった。セレナに対するサトシの反応も、ある意味自然な振る舞いだったほか、ロケット団やサキを上手い具合に話に絡ませたのは、面出脚本ならではと言ったところか。
 “デート”を期待して視聴すると期待はずれだったかもしれないが、これはこれで、なかなかの良作だったことは間違いない。トライポカロンへと続く展開は、次回の放送をより期待させるものだった。


● おまけ1
 個人的、サトセレ良カット。


● おまけ2
 次回、セレナ、トライポカロン初挑戦!

 妙に作画の良いハサミだな。ハサミ……ハサミ、か……。