ポケモンXY感想−73話目

第73話 「ファッションショーでバトルです! タツベイVSシュシュプ!!」

 クノエシティに到着したサトシたち。
 ……京都や! これ京都や! なんかキノコ生えてるけど京都や!

 早速クノエジムに挑戦しようと、サトシは気合十分。
 6個目のバッジをゲットすれば、カロスリーグ出場資格の3/4の達成することとなり、リーグがグッと現実的になる。逸る気持ちも当然だ。

 セレナもセレナで、早くクノエジムに行きたい様子。

  ユリーカ 「セレナも張り切ってる〜」
  シトロン 「そんなにジム戦が楽しみなんですか?」
  セレナ 「だってあのマーシュさんに会えるんだもん!」

 いや、そこはさ、こう……、サトシの夢は私も応援してるから〜的な言葉を期待しましたよ、うん。流れ的にも、そういうこと言うと思いましたよ、はい。


 けど、ナビ端末を全員では無く、サトシに向けてるところが案外可愛かったり。

 どうやらマーシュはデザイナーも兼任しているらしく、ジムに直営店があるらしい。ジムリーダーってそんなに自由で良いんかい。
 そしてセレナは、そんなマーシュの大ファンで、ファッションについて話を聞いたり、直営店を見たいんだとか。
 髪を切ってから大人しかったセレナだが、久しく女の子らしい一面……と言うか、観光要素を持ち出して来た気がする。

  セレナ 「サトシのジム戦終わったら、直営店、見て来ても良い?」
  サトシ 「あぁ」
  セレナ 「やったぁ!」

 けど、ポケビジョン回とは違って、サトシの本来の目的を優先させている点は、セレナの成長と捉えるべきか。
 自分の希望は後回しにし、かつサトシに確認を取るところが、セレナにとってサトシは大切なパートナーなのだと感じさせる一面だった。


 クノエジムも、原作を再現しつつ、アニポケらしい佇まい。
 中に入ると、何やらゴタゴタ騒がしい。そんななか、受付でジム戦させてくれと熱望している少年が。

  ショータ 「どうしてもジム戦したいんです! お願いします!」
  受付 「そう仰られても、本日はイベントの関係で、ジム戦はお受けできません」
  ショータ 「そんなぁ……」

 こいつは……ピカチュウや!? ピカチュウが喋ったりよったぁ!

  サトシ 「そんなぁ……絶対に絶対に出来ないんですか!?」
  受付 「申し訳ありません……」
  サトシ 「なんで……せっかく来たのにっ……」

  光彦 「君もジム戦に?」
  サトシ 「あぁ。タイミングが悪かったぜ」



 ▲ ピカチュウの顔合せ


  ユリーカ 「うちのお兄ちゃんをシルブプレ!」

 ……と、目を離したらユリーカはこれである。最近大人しかったと思ったらこれである。
 まぁ、可愛いっちゃ可愛いが。

  シトロン 「ユリーカ! それはやめろって言ってるだろ!」
  ユリーカ 「えぇぇだってあの人きっと優しいよ!」
  シトロン 「そんなこといいんです。恋人くらい自分で探します!」
  ユリーカ 「いつ〜」

 シトロン、無理言うなや。


 とここで、ショータがシトロンに気付く。そう言えばシトロンが帰宅中にミアレジムに挑戦してたっけか。

  光彦 「あでも、シトロンさんはどうしてここに?」
  シトロン 「ジムはシトロイドに任せて、サトシと一緒に旅に出ることにしたんですよ。サトシと一緒に旅をして、僕も良い経験が出来ればと思って」
  ユリーカ 「サトシって凄いんだよ! お兄ちゃんにも勝っちゃうし!」
  光彦 「そうなですか!?」
  ユリーカ 「バッジも5個も持ってるし!」
  光彦 「5個も!? 凄い! 僕も早く追いつけるように頑張らないと!」

 凄まじいまでのサトシプッシュ!
 ホント、XY編のメンバーはサトシが好きなんだなぁ。

  サトシ 「いやぁ。オレももっと頑張るぜ!」

 ここで天狗にならないのも、サトシが成長している証拠だ。
 まぁ実際、サトシのバッジはカントーオレンジジョウトホウエンシンオウイッシュカロスの一部で、計49個なんだけどね。


  シトロン 「この後、どうしましょうか?」
  セレナ 「それじゃあ、先に直営店行こうよ!」
  サトシ 「そうだな。行こうか」
  セレナ 「やったぁ!」

 サトシ、ジム戦出来ないことをグズることなく、セレナの提案を快諾。本当に快諾。セレナも嬉しそうだ。

 直営店では、マーシュがデザインしたとされる振袖が、多数飾られていた。
 ポケモンの姿をデザインに取り込んだ振袖は、なかなか魅力的。
 現実世界ではブイズのTシャツがラインナップされたが、そういうプリントデザインではなく、着ることでポケモンの姿を彷彿とさせる振袖だ。

  セレナ 「これどう? 素敵じゃない?」
  テルナ 「て〜な〜っ!」
  ユリーカ 「凄い綺麗! セレナに似合いそう!」
  セレナ 「そう? ありがとう!」


  シトロン  「あの女子のパワーにはついていけないですね」
  サトシ   「でもセレナたち、楽しそうで良かった」
  ピカチュウ 「そうですね」
  ショータ  「ぴぃ〜かぁ〜」

 ……サトシ純粋や! イケメンや!
 自分のジム戦が出来ず、ベンチに座って待ってるだけなのに、文句も言わず、セレナが楽しんでいることを良しと思っている。
 本当に、XY編のサトシはイケメンである。

  サトシ 「……なぁショータ。ジム戦出来なかったし、あそこでバトルしないか?」

 しかし、サトシはやっぱりサトシだった。

 直営店を見て回っているセレナたちを置いて、サトシたちはバトルしに外のフィールドへ。
 それに気付かず、セレナとユリーカは振袖見学に夢中だ……が、そんな2人を影から見つめる、振袖2人の姿が……。


  セレナ 「そうだ! このドレスを一緒に来て、トライポカロンに出たら良いと思わない!?」
  テルナ 「てなてぇなぁ!」
  ユリーカ 「それすっごく良いアイデアだと思う!」
  セレナ 「ねぇ、サトシはどう思う!?」

 ……と、まずはサトシに意見を求めるセレナが可愛らしいのだが、肝心のサトシは、外でショータとバトル中。

  セレナ 「もぉ〜すぐにバトル始めちゃうんだから……」
  ユリーカ 「しょうがないよ、サトシだし」
  セレナ 「そうね。サトシだもんね」

 それはサトシだから……。
 たったそれだけで理由になってしまうのだから、サトシがどれだけバトル好きなのか、セレナもユリーカも理解しているのだろう。
 呆れた、と言うよりかは、しょうがない子だな〜、といった、サトシへの愛おしさすら感じる反応だ。

  セレナ 「私たちも見に行きましょうか」
  ユリーカ 「うん」

 とそこに、先ほどの振袖2人が、セレナたちに話しかけてきた。
 ちょっと話があるんだとかで、セレナとユリーカは、ジムの中に案内された。


 その頃、庭園を眺めるとある部屋で、マーシュは悩んでいた。そんな彼女を心配そうに見つめるポケモンたちも。

  ニンフィア 「ふぃぃあ……ぁふぃふぃふぃぁ」
  シュシュプ 「ちゅぷ……しゅぷぷ……」
  マーシュ  「みんな……。ぁふぃふぃあ、しゅしゅしゅぷふぃぁ」

 ……おいどうした!? 唐突のポケモン語が登場したぞ!?
 しかもよくよく考えてみると、ポケモンは人間の言葉を理解できるわけだから、ポケモン語で話す必要性と言うのが果たして疑問だぞ!?
 ……しかし、ポケモンからの信頼と言う面では、非常に効果的かもしれない。


 セレナとユリーカが案内されたのは、そんなマーシュの元だった。

  セレナ 「あのっ! お会いできて光栄です! 私、マーシュさんのデザインされた服の大ファンで……!」

 ……“服の”大ファンだったのか。

  マーシュ 「そうなん? おおきに」

 マーシュと会えて感激のあまりフワフワするセレナ。
 しかしユリーカはと言うと……。

  ユリーカ 「うちのお兄ちゃんをシルブプレ!」
  マーシュ 「しる、ぶぷれ……?」

 だからせめて本人が居ない所でやるなと……。

 その時、マーシュのシュシュプニンフィアが、ユリーカのポシェットを気にしだす。

  デデンネ 「でね?」
  ニンフィア 「ふぃぁ〜」

 どうやらフェアリータイプのニンフィアに反応したらしい。

  マーシュ  「あら、デデンネ。その子もフェアリータイプやねぇ。 でででね、でで〜ね」
  デデンネ 「ねっでねでね!」

 だから唐突にポケモン語へ突入はストップ! 傍から見ると笑っちゃうから!
 それと初見の人は不審がるから!

  セレナ 「なに!?」
  ユリーカ 「デデンネ語!?」
  マーシュ 「ふふっ。……ところで、あなたたちに来てもろたんは、お願いがあってのことなんや。聞いてくれへんやろうか?」
  セレナ 「えっ……お願い?」

 ここで気になったのが、マーシュがポケモン語を話す理由というのが、語られなかったことだ。
 セレナとユリーカは気付いているのに、それに意図的に触れない……。これはジム戦の伏線になるのではないだろうか。こう、ポケモン語で指示を出して、作戦を悟られない、的な。



 一方、サトシとショータで行われていたダブルバトルは、ゲコガシラキモリに勝利したところ。相変わらず描写的に優遇されているゲコガシラ

 まだ続くと思いきや、ジムの外の騒がしさに気付いたサトシたちは、バトルを中断。何やらお立ち台の回りに女性たちが集まっている。

 その群衆の元へ行ってみると、ちょうどお立ち台の上の灯篭と提灯が燈った。フランスなのに。

  さっきの受付 「これより、デザイナー、マーシュの、振袖コレクションを始めます!」

  サトシ 「あのっ、いったい何が始まるんですか?」

 ……振袖コレクションって言ってたぞ。

  モブコ 「マーシュ様の新作コレクションを発表するファッションショーよ」

 うん。タイトル通り、ファッションショーらしい。


 どれもポケモンをモチーフにしたデザイン。直営店で取り扱う前のお披露目会といったところか。
 個人的には、チリーンの振袖がシンプルで可愛い。


  シトロン 「セレナたちにも教えた方が良いですよね?」
  ショータ 「来てないんでしょうか?」

 そんなことを言ってる傍から……。



  サトシ 「セレナ!?」
  シトロン 「ユリーカ!?」


 そりゃぁそういう反応になりますわ。
 とりあえずテールナーデデンネが場違いだということは分かった。

  セレナ 「サトシ!?」
  ユリーカ 「見て見てー可愛いでしょー!?」
  シトロン 「なにしてるんだよユリーカ!?」
  ユリーカ 「なにってモデルだよ」
  シトロン 「だからどうしてモデルをしてるんだぁ!?」

 そりゃぁ兄としては、突然妹がステージに立ってたら驚きますわな。
 とりあえずユリーカの場馴れと言うか堂々と構える性格は分かった。

  光彦 「セレナとユリーカはモデルだったんですかぁ。ジムリーダーとモデルと旅してるなんて羨ましぃ!」
  サトシ 「いや、違うって……」

 そりゃぁ傍から見たらそうなりますわな。
 とりあえずショータが正直と言うか少し子供じみてることは分かった。


 どうやらセレナとユリーカ、来れないモデルの代役となっていたらしい。
 セレナはフラージェス、ユリーカはリーシャンの姿をデザインした振袖を着ているが、コスプレに通じる可愛さがある。
 ……そう考えると、ポケビジョン回のフォッコ衣装はファンサービスだったんだなぁ。


 ステージ上で普通に会話していることはさておき、デザイナー本人、マーシュがステージに登場した。

  セレナ 「わぁ……マーシュさん素敵……!」
  光彦 「ホントに素敵です……」

 ……これ、ショータ実はタケシ枠とかそう言うオチない?

  マーシュ 「皆さん、本日はウチのショーにようこそお越し下さいました!」

  マーシュ 「ウチのデザインは、ポケモンをモチーフにしたもの。それは、自然の中にこそ、真の美しさがあると思うからです。そして、ウチのデザインした服は、バトルの時こそ最も美しゅぅ映える」

 なるほどなるほど。
 機能美……という訳ではないが、自然界にあるもの、それは、自然と上手く調和、適応、共存できるよう、長い年月をかけて進化してきた、言わば最適の姿。
 ポケモンも同じ。大きさ、タイプ、特性、色合いなどなど、その土地に生きることに適応した姿形となっている。
 それこそ“真の美しさ”。自然が生み出した美しさと言う訳だ。

 で、“バトルの時こそ映える”ことを証明するためか、ファッションショーの場では、ステージ上でポケモンバトルをすることが恒例行事らしい。勿論、ジムバッジを掛けたジム戦として。


 その役割に指名されたのは、ショータだった。
 思わぬ形でジム戦に突入となったショータは、チャンスとばかり気合十分。
 1対1のバトルで、ショータはタツベイ、マーシュはシュシュプを繰り出した。

 ……これアカンやつや。
 フェアリータイプにドラゴンワザが効かないのは、ドジっ子プクリン回で視聴者はみな知っている。
 そんな最悪の相性で、こんなステージの上で、大勢の女性に見られている中のバトルとは……。

 シトロン 「これは難しい戦いになります!」

  × : 難しい
  ○ : 不可能

 ショータは諦めずに攻める。
 習ったばかりの連続“ずつき”とは、サトシのルチャブルの連続“からてチョップ”を参考にしたのか。

 ……しかし、シュシュプは機敏な動きでそれらを回避。反撃に出る。

  マーシュ 「ほな今度はウチの番どす。美しく華麗なバトル……いざ、シュシュプ!」

 空高くに浮かび上がったシュシュプタツベイに放ったのは、“マジカルシャイン”。フェアリータイプのワザだ。
 モーションを見る限り、いわゆる相手に“ぶつける”ワザではなく、その場に発生した輝き自体が、相手にダメージを与えるらしい。
 回避が難しそうなワザだ。サトシはこれを、どのように対処するのだろうか。


 で、タツベイ、ダウン。
 いまいち振袖の“バトル中の美しさ”を感じにくかったが、言いたいことは分かったから良しとしよう。

  マーシュ 「おおきに」
  光彦 「……ありがとうございました!」

 マーシュ、余裕の表情、余裕の足取りで退席。この場だけ見ると、相当性格悪そうに感じる。


 ただ、フェアリータイプ使いとしての実力は、サトシには十分伝わったようだ。
 まわりの観客が歓声を上げる中、サトシは無言で、マーシュを見つめる。
 これから対戦するジムリーダーに、闘志を燃やしながら。


 ファッションショーはお開きとなり、その夜、ポケモンセンター

  ……京都や! これ京都や! なんかキノコ生えてるけど京都や!

  光彦 「今日も色々と勉強になりました。いつか必ずリベンジして見せます!」
  シトロン 「その意気です!」
  ユリーカ 「頑張ってね!」

 ……和食や! 掘りごたつ式テーブルや! 座布団や! 格子窓や! ここフランスなのに!

  サトシ 「ごちそうさま! よし! 今から特訓だ!」

 さっさと夕食を食べ終えたサトシは、マーシュとのバトルに備え、特訓を始める。食べる時間も惜しいということか、実にサトシらしい。

  光彦 「あのっ! 僕もお付き合いします!」
  サトシ 「おぅ! 頼むぜショータ! お前の協力も必要だ!」
  光彦 「はいっ!」

 ショータを従え、サトシは表に出る。
 ショータのやる気、バトルへの熱意を買ったのだろう。ショータにしてみても、自分より遙かに実力の高いサトシに必要とされ、とても嬉しそうだ。

  セレナ 「ちょっと2人とも……。もぉ、ご飯くらい落ち着いて食べればいいのに」
  シトロン 「強い相手を前に、じっとしてられないんですよ、サトシは」
  セレナ 「……ふふっ」


 そんなサトシの姿を見て、セレナは、女の子としては珍しく、ご飯をかっこむ。

  セレナ 「ご馳走様! 私も応援しなきゃ!」

 ※ 箸は箸置きに戻すのがマナーです。


  ユリーカ 「私もっ! ……ごちそうさま!」
  シトロン 「ユリーカまで……。まったくもぉ……待ってくださぁい!」

 ここを見ただけでも分かる、セレナ、ユリーカ、シトロンの、サトシへの信頼感、仲間意識。
 特にセレナは、陰ながらサトシに想いを寄せている女の子そのものだ。


 マーシュのバトル、初めてのフェアリータイプジム。そんな、決戦前夜的な今回のお話し。
 ショータと言うライバル(後輩?)とも対面し、いよいよXY編も役者がそろい、佳境に入ったといった感じか。
 次回のジム戦がどう転がるか何とも言えないが、サトシのジム戦への気合が感じられたことに加え、パーティのサトシ好きを改めて感じられた回でもあった。


● 総括
 XY編恒例の、“ジム戦前にジムリーダーを魅せる”――。マーシュの強さは、ショータとのバトルで明らかにされたし、サトシの勝つ気合いも十分高まったと言えるだろう。だが、マーシュが普通にポケモンと会話してたり、ピカチュウが喋ったりと、気になる点が他に有り過ぎて、“マーシュのバトル”のインパクトが薄かったような……。
 まぁそれも含めて、初のフェアリータイプジム挑戦。果たしてサトシは、どんなバトルを見せてくれるのだろうか。


● 次回ひとこと予告
 → ここで勝つか負けるかで、映画までの展開予測が変わってくるで!


● おまけ
 クノエシティ到着。案外早く、ミアレ出発後の移動は4話、実質3話分。