ポケモンXY感想−43話目

第44話 「シャラジム戦! ピカチュウVSメガルカリオ!!」


 コルニにと別れて約2か月。アニメ内換算で10日程度。とうとうサトシとコルニが激突する。
 前回予告から漂う大迫力の予感を、さすがXY、裏切ることは無かった。

 メガルカリオに焦点が当たりがちだが、3対3でのバトル。冒頭からラストまで時間いっぱいバトルすることを考えても、決して十分な時間とは言えないが、限られた時間の中で、いかに迫力ある動きを見せるか、キャラたちを魅せるかという点を考えれば、面白さを凝縮してくれると捉えても間違いではないだろう。


 さて、OP明けすぐにコルニと対峙し合う。前回のザクロ戦とは違い、時間いっぱいバトルに費やすことが出来る図だ。
 観客席には、お馴染みセレナ、シトロン、ユリーカ、そしてケロマツの姿が。
  セレナ 「ケロマツも、バトルしたかったのよね」
   「け〜ろ、けろけろぉ!」
  サトシ 「一緒にリズム戦法の練習してきたもんな。お前もそこでリズムを取って応援してくれ!」
   「けぇ……けろぉ!」
 終始(- -)な表情で応えるケロマツがかわゆい。

 この後、いきなりバトルに突入では無く、少々サトシとコルニの会話が入る。お互いこの時を楽しみにしていたことを感じ取れる、仕事で言えば取っ掛かり前の世間話。
  サトシ 「さぁ。リズム戦法。始めるぜ!」
  コルニ 「出たね、謎リズム!」
  サトシ 「謎じゃないぜ。昨日見ただろ?」
  コルニ 「ふふっ……見たから謎って言ってんの!」
  サトシ 「今日は思いっきりバトルしようぜ! でもってコルニに勝つ!」
  コルニ 「出来るもんならやってみな!」
 まぁ、ダンス戦法は酷い言われようである。昨日見たとき「ぽかん……」ってなってたもんね……。


 1体目はルチャブルコジョフー。案外可愛い。そしてサトシはコジョフーに挨拶。これまで見ないシーンだが、それだけこのバトルを楽しみにしていたと言うことか。

  ユリーカ 「サトシ楽しそう!」
  シトロン 「でも、リズム戦法の効果がどれくらい出るのか……」
  セレナ 「サトシのリズム感も心配ね」
  シトロン 「サトシは、コルニに会った瞬間にバトルに気持ちが移ってしまいました。その時点で、コルニにリズムを狂わされてしまったとも言えます」
  セレナ 「えぇっ……」
  ユリーカ 「んも〜! お兄ちゃんはどっちの味方なの!?」
  シトロン 「ジム戦は挑戦すると意識したその瞬間から、もう始まっているものなんですよ」

 シトロンの解説……ここは本当に感心した。リズムを取り入れた特訓をしてきたサトシは、早くバトルしたいと逸る気持ちでリズムが乱れる。負けフラグとも取れるが、サトシの未熟さを表しているようにも思える。サトシらしい性格が、自分の首を絞めてしまう結果となったのか……。
 そして、ジム戦の心得的なことを的確に説明するシトロンは、まるでジムリーダーのようだ。……あれ?

 いよいよバトルに入る。
 サトシはリズム戦法が未完成――主にサトシ自身が原因だが、ポケモンとトレーナーがリズムを合わせると言うスタイルを取れない。それで果たしてリズム戦法が上手く行くのか……。ぶっつけ本番で踊ると言うのか……。

 ……まさか踊り役をピカチュウにやらすとは!!!(そして可愛い)
 逆によくそれを思いついたものだ。出来ないものは出来ないでスパッと諦める、ある意味清々しい。そして、普段から外に出ているピカチュウだからこそ出来ることでもある。流石ピカチュウ。数々のエンディング曲で踊っていただけのことはある。
 ティエルノの趣旨とは大分かけ離れてはいるが、このリズム戦法で華麗な回避、そしてバトルの主導権を……

 握れなかったぜ!

  シトロン 「あのコジョフー、動きのキレが抜群だ!」
  ユリーカ 「ん〜見てらんない……」
 相変わらずユリーカ可愛いし、頭を撫でるシトロンも良いお兄さんや。


  サトシ 「なんでだ……ティエルノのゼニガメは、ちゃんと受けてたのに……!」
 サトシの顔に焦りの色が浮かぶ。リズム戦法どうこうより、この時点でサトシのリズムが大きく崩されてしまった。
  サトシ 「行けるかルチャブル。“フライングプレス”だ!」
  コルニ 「“スピードスター”!」
  サトシ 「格闘ワザじゃないっ……!?」
 コルニのノーマルタイプワザの指示で、さらにサトシのリズムは乱される。本番に強いとされるサトシがこうも追い詰められるとは。
  サトシ 「リズムでっ……」
 そんな指示届かず、ルチャブルは“スピードスター”が直撃して墜落。
  コルニ 「がっかりさせないでよサトシ! 決めるよ!」
 コルニの一言も、確実にサトシを追い詰めている。ティエルノに教えてもらい、セレナにもレクチャーして貰ったリズム戦法。特訓期間は短いにしろ、サトシなりに力を入れて来た戦法が全く通用しない現実。しかも場は長らく待ち望んでいたコルニとのバトル。これを絶望と言わず、どう表現するのか。
  サトシ 「どうすれば……勝てる……!?」
 思わず応援してくれているセレナたちの方に視線が向く。それは今の自分の情けなさから来るものなのか……。


 (サトシを心配そうに見つめるこのシーンとか、セレナ完全にヒロインだわ)

 ここでサトシは思い出す。前日のことを。
 回想シーンで語られる、サトシとセレナのダンス練習。セレナのお手本に対するサトシの動きがどう見ても盆踊りなのはさておき、セレナの見立てでは、どうもサトシにダンスは難しいらしい。
  セレナ 「だって……サトシのリズムは独特なんだもの……」
  サトシ 「オレの……リズム?」


 そしてサトシはハッとした。
  サトシ 「そうだよな。ティエルノのマネしたって、勝てる訳ないよな」
   「ぴぃか……?」
  サトシ 「サンキューな、ピカチュウ。もう踊らなくていいぞ」
   「ぴぃかぁ?」
  サトシ 「あのリズム戦法は、ティエルノだから出来たんだ。オレ達にはオレ達のリズムがある。なにも踊るだけがリズムじゃない! ルチャブル! 本当のオレ達のバトルを見せてやろうぜ!」

 この展開には、個人的に「おぉっ!」となった。
 まず、バトル中の大きな転機をセレナが作り出したことが一点。本当にセレナはこれまでのポケモンの中で群を抜くレベルのヒロインである。
 そして何より、リズム戦法をキッパリ捨てたこと。
 これに関しては「サマースクール完全無駄じゃねーかよ」とか言われそうだが、考えてみてほしい。そういった批判をする人は、一度練習したことなら、たとえ自分と相性が悪くても絶対に方針を変えないと言い切れるのか。それこそ例を挙げれば、転職する人を批判しているようなものだろう。
 セレナの言葉をキッカケとするこの判断は、決して悪い意味の物では無いし、ティエルノから教わったことが無駄になった訳でもない。
 “他人の戦法はあくまで他人の戦法。それが必ずしも自分に合うものでは無く、自分のバトルスタイルが一番”と言うことに気付けたのだ。

 ケロマツの“かげぶんしん”取得の際もそうだが、XY編は“お決まりパターン”(今回で見ればバトル中にダンス戦法を完成させる)を取らないので非常に面白い。お決まり展開に進まないことで、この先の展開を期待して見れるから。

  コルニ 「そんなにコロコロ戦法変えちゃって大丈夫?」
  サトシ 「あぁ! ルチャブルも分かってくれてるぜ!」
  コルニ 「分っかんないかなぁ……それじゃあ勝てないって言ってるの!」

 コルニ怒った……。
 確かに、酷いダンスを見せられて、相手にならず、ピンチになったらさっさり戦法を変える……。舐められてると思っても無理はないだろう。

 しかし展開は一転。
 コジョフーの“とびひざげり”を、ルチャブルはサトシの指示で回避する。それは、サトシが自分らしいバトルスタイルを取り戻したことを意味するのだ。
 最終的に、“フライングプレス”でコジョフーはダウン。バトルのリズムは、完全にサトシがリードする運びとなる。
  シトロン 「やっぱりいつものサトシのリズムが一番ってことですね!」
 まさしく、その通りだと思う。


 そんな流れのなか、コルニの2体目はゴーリキー。対するサトシはヒノヤコマにチェンジ。
 セレナたちの声援が降り注ぐフィールドを、フルCGによる臨場感あるカメラワークが盛り上げる。

  サトシ 「行くぜヒノヤコマ! “ニトロチャージ””」
   「ぴかぁ!」

 今回初めの方から感じていることだが、ピカチュウのに対する拘りが見れる。普通ならここでピカチュウの鳴き声は入れないだろうし、ルチャブル戦では不利な状況ながらもダンスを続けていた様、そしてサトシがわしゃわしゃと撫でる様子からも、今回の作画は、特段ピカチュウの動きを意識しているのだろう。

 空中戦ならではのカメラワークが続き、見ていて面白い。星の描かれた球体を集める某アニメの必殺技を彷彿させるゴーリキーの“きあいだま”を、“ニトロチャージ”で迫るヒノヤコマは華麗に回避する様は、まさしくサトシのリズム。これでゴーリキーも戦闘不能に。


  コルニ 「それじゃあ最後は……ウチのエース!」
  サトシ 「待ってたぜルカリオ……!」
   「ぴっかぴかぁ!」
 遂に、ルカリオの登場だ。コルニの親友にして強力なパワーを持つルカリオ。このバトルに、全てが掛かっている。

  セレナ 「いよいよね……」
  シトロン 「あのルカリオにどう立ち向かうか……」
 ……デデンネ寝とる!


  コルニ 「行くよ、ルカリオ!」
   「がうっ!」

  命!  爆発!  メガ進化!

 この色んな意味で気合が入ったシーン。コルニとのジム戦にどれほど力が込められてるか、ひしひしと伝わってくる。

 そして、久々に漢字が登場した! これだけでも相当珍しいことだ。今でこそアニメに内に登場する文字は、よく分からない何かがほとんど、良くて一部に英数字が使われている程度。しかし昔……無印時代には、町の看板などに“普通に”日本語、しかも漢字が使われていたことを、今の子は知らないんだろうな。


 ▲(参考)無印時代の日本語表記。左は“げきとう! ポケモンひなまつり”、右は“アオプルコのきゅうじつ”より。


 メガルカリオの波動の風が、フィールドいっぱいに吹き渡る。
  サトシ 「来たな……メガ進化!」
   「ぴかぴかぁ! ぴかぴぃか〜!」
  サトシ 「行くぜ!“ニトロチャージ”!」
   「ぴかぁっ!」
 ホント今日のピカチュウよく動いてしゃべるぞ!

 メガルカリオは“きんぞくおん”を発するが、ヒノヤコマは“ニトロチャージ”を押し通す。メガルカリオに直撃し、コルニ自身も「今のは効いた」と言ってはいたが、大きなダメージを受けたようには見えない。
 直後繰り出された“はどうだん”も、“はがねのつばさ”を使って上手く弾き飛ばす……と思いきや、背後にはメガルカリオが。“グロウパンチ”が直撃し、地面に叩きつけられたヒノヤコマはこれでダウン。さすがメガルカリオ。動きは機敏だし、ワザの威力も相当のものと見れる。

  コルニ 「どう? 久しぶりのルカリオは? アタシたち、メイプルさんとこで別れてから、今まで以上に、心を一つにするために頑張って来たの!」
 自信を持って発するコルニの言葉も納得だ。そして彼女がメイプルから教えられた言葉――「心は1つ、景色は2つ」――を、きちんと理解し、さらに高めようとしていることが伺える。コルニ自身、大きく成長したことを感じ取れる。

 続いてサトシはルチャブルを繰り出す。


 ……と、隙を狙っていたロケット団が動き出す。それにいち早く気付いたケロマツが、ロケット団の進路を妨害。ケロマツ格好良いぞ。そしてセレナたちギャラリーも、ロケット団の存在に気付く。
  ムサシ 「ジャリボーイ無しで!」
  コジロウ 「お前らに何ができる!?」
  シトロン 「………」(ジムリーダー)
 結局、ケロマツハリマロンフォッコの活躍で、ロケット団は簡単に撃退。空の彼方に飛ばされながら、ソーナンスが5秒くらい叫んでて苦笑い。

  サトシ 「……ん? なんかあったのか!?」
  セレナ 「ううん〜何にも〜!」
  ユリーカ 「ルチャブル〜ファイト〜!」
   「けろけろ〜!」


 ……ふつう気付くわ!


 そうこうしているうちにも、バトルは続く。“フライングプレス”で押すサトシだが、“はどうだん”を前にルチャブルも倒れてしまう。残りはピカチュウだけだ。

  サトシ 「ピカチュウ、お前の出番だ!」
   「ぴかぴぃか!」
  サトシ 「オレ達が今までやってきたことを、全部ぶつけようぜ。ルチャブルたちみんなの分もな! ピカチュウ、君に決めた!」
   「ぴかちゅう! ぴかちゅ〜!」
 まるで最終回のような発言である。そして、サトシがピカチュウに「君に決めた!」と言うのは、案外久しぶりじゃないだろうか。

  シトロン 「ピカチュウは、メガルカリオに〜〜〜どう戦うんだ!」
 そこ! デデンネあくびしない!

 サトシ、ピカチュウ、コルニ、メガルカリオ。両者なかなか動こうとしない。その理由は、まさしくシトロンが説明したことによるものだ。
  セレナ 「どうして動かないの?」
  シトロン 「ピカチュウルカリオも、負けたら後がないということを知っている……。だから迂闊に動けない。これは……心の駆け引きです!」
  セレナ 「こんなバトル……初めて」
  ユリーカ 「ユリーカも、どきどきしてきちゃった……」
 さすがシトロン、バトルの状況を的確に読むその洞察力は、さながらジムリーダーのようだ。……あれ?

 先に動いたのはピカチュウだ。“でんこうせっか”でメガルカリオに迫るが、ここのピカチュウの動きがまた躍動感があって凄い。そしてその勢いをつけたまま、“エレキボール”を放つ。
 対してメガルカリオは、“ボーンラッシュ”でそれを打ち返す。絶対使い方間違ってる気がするが、それはピカチュウをかすめて天井に直撃。それに怯まず“アイアンテール”を放ったピカチュウだが、メガルカリオは“ボーンラッシュ”でブロックする。
  コルニ 「蹴り上げて!」
 ……なんだって!?
 ケロムースを上回る都合の良い指示来たぞこれ!

 そんな体勢でも、ピカチュウは“10万ボルト”を直撃させる。
  コルニ 「あの状態からワザを!?」
  サトシ 「これもオレ達のリズムさ!」
 サトシ、さっそく彼らしいバトルのリズムを使いこなしている。
 しかしコルニも負けてはいられない。即座に“はどうだん”を指示し、自由落下中のピカチュウを攻撃した。ピカチュウにしてみれば蹴飛ばされた以外、初めて受けたワザだ。まだまだ倒れる訳にはいかない。
 この時、チャレンジャーであるサトシのことを見つめるコンちゃんの描写がなかなか良い。

 立ち上がったピカチュウを、今度は“きんぞくおん”が襲う。サトシはやはり力技、“10万ボルト”で“きんぞくおん”を打ち消した。
 しかしコルニは想定内と言ったところか、すぐに“はどうだん”を指示。特防がガクッと下がった状態で受ける“はどうだん”はマズい。

  サトシ「“アイアンテール”だ! “はどうだん”を叩きつけろ!」
 これはもしや……!?

  コルニ 「えぇっ!?」
  ユリーカ 「飛んだぁ!」
  セレナ 「あれは……!」
  シトロン 「ショウヨウジムで見せた、“りゅうせいぐん封じ”!」
  コルニ 「こんなことが出来るなんて……!」

 そう、シトロンに言われてしまったが、“りゅうせいぐん封じ”の活用術。鋼を纏った尻尾なら、どんな攻撃技だって跳ね返せる。「今までやって来たことに無駄なことは無い」――自身がサマーキャンプでセレナに言ったことを表しているような行動だ。

  コルニ 「飛べルカリオ! “ボーンラッシュ”!」
  サトシ 「“アイアンテール”!」

 大きく飛び跳ねた理由は、落下速度を付けた最大パワーの“アイアンテール”を当てるため。それに気付いたコルニはメガルカリオをジャンプさせ、あえて上空でそれを受けることで、落下速度による威力の加算を防いだのだ。よく考えられた戦略、よく練られた脚本である。

 そのまま地面に激突した両者、大きなダメージを受けたと見られるが、まだ立っている。
  コルニ 「やるねサトシ! ピカチュウ! こっちのワザを踏み台にして高く飛ぶなんて!」
  サトシ 「今ので決まったと思ったんだけどな。さすがコルニだぜ!」
 こう、お互いの強さを認め合っている会話は、本当に熱くなる。そして、最後の勝負に出る!

 “アイアンテール”と“グロウパンチ”が激突。威力は互角。

  サトシ 「“エレキボール”!」
  コルニ 「“はどうだん”!」

 全力でぶつかり合う。それはピカチュウメガルカリオだけでなく、サトシとコルニも一緒だ。心は1つ、景色は2つ――いま、サトシとコルニも激しいバトルの最前線に立っていると喩えても間違いではない。ポケモンと一体になって、全力でぶつかりに行ってるのだ。

  サトシ 「行くぞぉ! “10万ボルト”!」
 両者互角にぶつかった後、先に動いたのはピカチュウだ。彼の代名詞ともいえる、機敏に放った“10万ボルト”。“はどうだん”発射後の本当に一瞬の隙を突いたタイミングで繰り出したその電撃は、メガルカリオに直撃した。

 砂埃が晴れると、フィールドに横たわったメガルカリオの、メガ進化が解除された。


  コンコンブル 「ふん……ルカリオ戦闘不能! ピカチュウの勝ち! よって勝者、チャレンジャー・サトシ!」


 勝負は付いた。
 一度不利な状態に立たされたものの、自分のリズムを見つめなおし、それを信じたサトシの完全勝利だ。へたっと倒れ込むピカチュウも、飛びついてスリスリするケロマツも可愛い。それだけピカチュウケロマツも、このバトルの重要度を分かっていたと言うことだ。


 その背後では、コルニがヘタッとしゃがみ込む。しかし、その顔はむしろ清々しささえ感じられた。
  コルニ 「頑張ったね、ルカリオ……!」

 倒れたルカリオの目がアニメ的なグルグルで無いのも、ルカリオが全力で戦い、そして負けたことを表していた。

  コンコンブル 「コルニ……良いバトルだったぞ」
  コルニ 「それはサトシたちのお陰だよ。サトシもピカチュウたちもみんな熱い! アタシたちも、もっと強くならなくちゃ!」
   「がぁうぅ!」
  コンコンブル 「ほれ。ジムリーダーの仕事が、まだ残っとるぞ」
  コルニ 「うん!」
 この2人の会話も、なかなか感慨深いものだった。コンちゃんも、このバトルがコルニにとってどういったものなのか、分かっていたんだと思う。そして、負けたにも関わらずコルニを褒めたのは、孫娘の大きな成長を見れたからではないだろうか。

 コルニからファイトバッジを手渡され、いつもの決め台詞。ここでピカチュウがボロボロ、そして飛び跳ねずにサトシの肩で「ゲットだぜ!」と言うのも、なかなかのリアル志向。珍しいパターンに思えるが、あれだけのバトルを成し遂げた跡の姿にふさわしいだろう。


 別れの時。
 次に目指すのは、ヒヨウシティのヒヨクジム。ゲームの中では、起伏がある港町だ。
  コンコンブル 「あそこのジムリーダーは偏屈だぞぉ」
  コルニ 「大丈夫。サトシ達なら何とかするよ!」
  サトシ 「へへっ」
 その偏屈と言うアニメオリジナル設定がどうなるかは不明だが、コルニがサトシを認めたということが、このシーンで伝わって来た。

  コルニ 「サトシ。アタシはシャラジムを、もっともっと熱いジムにしてみせるからね! またバトルしに来て!」
  サトシ 「あぁ! 必ず!」

 サトシとコルニが、そしてピカチュウルカリオが、お互いを讃え合うかのようにグータッチ。同年代の者同士の熱いバトルを締めるのに、そして認め合った者同士の別れに、これほど気持ちの良いものはない。
 サトシとコルニの熱いジム戦は、こうして幕を閉じた。


● 総括
 裏切らない期待、納得の面白さ、最大級の迫力。スタッフがコルニ編にどれだ力を入れていたかが一目瞭然だ。
 フルCGだからこそ出来る臨場感溢れるカメラワークに、ワザの演出、そして何より、“ダンス戦法”の扱い。良い意味で期待を裏切ったサトシの言動は、これぞサトシ!と言えるもの。
 さらに、展開に無駄が無い。強いて言うなら、ラストの「つづく!」というナレーションから「To be continued」が出るまでの間くらいだ。サトシとコルニは勿論のこと、ロケット団を必要最低限で絡めることで、シトロンとセレナの活躍の場も作るという、思い切った流れだ。
 相変わらずユリーカの言動も可愛らしかったし、前回カットされて嘆いた人が多かったであろうセレナのダンスシーンを、回想で挟んでくるとはまた憎い(褒め言葉)。そしてジム戦におけるセレナの立ち位置が確立されたことが、3回目にして確証を持てた。セレナ完全にヒロインである。
 キャラたちの会話もリアル思考、と言うかよく練られており、思わず前のめりで見入ってしまった。
 ハクダン、ショウヨウ、シャラジムと、確実にレベルが上がっていて、この先が怖いくらいだ。
 とにもかくにも、大満足!