ポケモンXY感想−67話目
第67話 「ミアレジム戦! サトシVSシトロン!!」
サトシVSシトロン。
バッジを4つゲットしてからと言うシトロンの希望を、サトシが叶える形で先延ばしとなっていたミアレジム戦。それが今、ついに始まろうとしていた。
観客席には、セレナとユリーカ、それにリモーネも登場。
息子であるシトロンのジムリーダーっぷりを見学するための登場だが、この後、バトルの解説役となり、視聴者への優しさと家族の絆を一まとめにこなす、なかなか考えられた扱いだ。
シトロンの1体目はホルビー。それを見たサトシは、すかさずピカチュウを繰り出す。これはまさしく、第1話の再戦だ。
シトロン 「サトシ! 悔いなき戦いを!」
サトシ 「おう! 全力でぶつかり合おうぜ!」
バトルの流れも、まさしく第1話を踏襲。ピカチュウの“アイアンテール”をホルビーが耳で受け止める。
それに気付いたユリーカは、当時まだ合流していなかったセレナに、そのことを伝えた。
セレナ 「じゃあこのバトルは、その時の続きってこと?」
リモーネ 「こうも考えられる。ジム戦は、その時すでにスタートしていた」
リモーネの言葉が深く響く。サトシとシトロンが第1話当時のバトルを踏襲したのは、“バトルの続き”まで持って来たかったためか。
サトシ 「やっぱりそうこなくっちゃな!」
シトロン 「あの時は“エレキボール”で脱出されてしまいましたが、今回はそうは行きません。“ワイルドボルト”!」
なんとシトロン、ホルビーに“ワイルドボルト”を習得させていた。そうでなければ電気タイプのジムで何でホルビー出したんだって話だが、これには不意を突かれた形のサトシ。
さらにシトロンは、素早く“あなをほる”を指示する。
リモーネ 「なるほど。こいつは面白い!」
“ワイルドボルト”は反動を受けるワザだが、その際に生じる隙を、穴に潜ることで防いでるらしい。リモーネの解説が有難い。
“あなをほる”がピカチュウに直撃。ピカチュウが押される形となる。
サトシ 「(分かるぜ。離れてる間に、シトロンがどれだけ特訓したのか)」
シトロン 「(色々考えました。サトシほどの発想も意外性も無い僕が、サトシを迎えるに必要なモノ……それあ、分析と計画です!)」
2人の脳裏をよぎる考え。しかし、バトルは止まらず続く。
サトシ 「“でんこうせっか”!」
シトロン 「“あなをほる”です!」
穴に逃げ込んだホルビーだが、地面に“アイアンテール”を叩きつけると言うサトシの指示により、ホルビーは強制的に地上に戻される。
そのタイミングを狙って、再度、ピカチュウの“アイアンテール”が炸裂した。
舞い上がる岩の隙間を縫いながら放たれた“アイアンテール”によって、ホルビーはダウン。サトシが先に白星を上げる。
シトロンの2体目はエレザード。一方サトシはピカチュウを戻し、ヌメルゴンを投入した。
シトロンにとって、サトシのヌメルゴン使用は、恐らく想定外のはず。しかし、予めの計画に自信を持っていたのだろう。すぐさまエレザードに指示を出す。
シトロン 「走れエレザード!」
エレザードは素早い動きを見せ、“りゅうのはどう”を回避し、さらにヌメルゴンを翻弄する。
シトロン 「ヌメルゴン! そのスピードでは、僕のエレザードについてこれませんよ!」
……もしかしたらシトロン、ヌメルゴン進化も想定していたのかも。
さらにシトロンは、“フラッシュ”と“でんじは”を繰り出し、ヌメルゴンに攻め入る隙を与えない。現実だったら嫌らしいったらありゃしない。
これにはサトシも、ヌメルゴンを戻すしかなかった。
そしてスピードに対抗するため、3体目に(公式戦の勝率が芳しくない)ルチャブルを繰り出した。
素早い動きでエレザードに立ち向かい、ひとまず“からてチョップ”を当てたものの、エレザードの“パラボラチャージ”を直撃してしまう。素早さ的にはエレザードの方が上と言うことか。
“フライングプレス”で攻め込むも、“フラッシュ”で回避。アニポケだからこそ出来る戦法だ。
さらに続く“パラボラチャージ”により、ルチャブルにダメージは蓄積し、エレザードは回復する。
ルチャブルが圧倒的不利だが、ここでサトシは突破口に気付く。
サトシ 「ルチャブル! チャンスを見つけたぞ!」
そのチャンスとは、エレザードが攻撃する時、一瞬動きが止まることだった。首回りのパラボラらしきものを広げる動作なのだが、バトル中にそれに気付くとは、サトシの長年の経験、バトルの勘が活かされる形となった。
これでエレザードもダウン。
シトロンはラスト1体に対し、サトシはまだ3体残っている。数的にはサトシが有利だが、シトロンの最後のポケモンは……彼の一番の相棒とも言える、レントラーだ。
サトシはルチャブルを続投させ、レントラーに挑む。
手始めに“フライングプレス”を直撃させたが……。
シトロン 「今だ! “エレキフィールド”!」
子供泣く!
“エレキフィールド”によって、電気ワザがパワーアップ。ユリーカの「レントラーに超有利」という発言は、小さい視聴者を意識しての脚本と思われる。こういった配慮に抜かりないのも、アニポケの良い所だ。
直後、ルチャブルの“とびひざげり”とレントラーの“ワイルドボルト”が激突し、ルチャブルはダウンした。
サトシは続いて、ピカチュウを繰り出した。
シトロン 「お互い電気タイプ、絶好のフィールドです! ここをどう使いこなすか、見せて下さい!」
サトシ 「臨むところだ!」
レントラーに有利なら、ピカチュウにも有利なフィールド。それが“エレキフィールド”。
ピカチュウは“10万ボルト”を繰り出すが、それは、レントラーが“かみなりのキバ”で“10万ボルト”に噛みつくことで相殺。そんなこと出来るのかよ。
そして間髪入れず、“ワイルドボルト”で突っ込んだ。
これがシトロンの作戦なのだろうか。
“10万ボルト”に“噛みつく”と言う、超イレギュラーな方法を採ることで、サトシとピカチュウの意表を突く――。まさに、分析と計画の賜物と言えるだろう。
これによってピカチュウは早くもダウン。
50秒ほど前に「このフィールドをどう使いこなすか見せて下さい」とか言われてた気がするが、まぁいいだろう。
シトロン 「あと残り1体ずつ、これで決着が付きます。どっちに転ぼうと恨みっこなしですよ!」
サトシ 「当たり前だシトロン!」
シトロン 「(なんだか不思議な気持ちです。サトシにバッジを渡したいけど渡したくないっ。この時間がずっと続けば良い……そう思います)」
普段の爆発メガネっぷりとは打って変わり、真面目で誠実なジムリーダーとしてサトシの前に立つシトロン。
彼にとってサトシは、チャレンジャーである前に、かけがえのない仲間でもある。
バッジを渡したいけど渡したくないと言う言葉には、そんなサトシへの特別な想いがあるのだろう。
サトシのラストはヌメルゴン……だが、“でんじは”によってマヒ状態。相手はピカチュウをも瞬殺したレントラーかつ、“エレキフィールド”。いくらなんでもサトシに不利過ぎる。
▲ ピカチュウ元気そうなんですがそれは……。
シトロン 「ピカチュウでさえ太刀打ちできなかったこの“エレキフィールド”。さらに痺れの続くヌメルゴンが、どこまで通用しますか!?」
必死で打開策を見出そうとするサトシは、ヌメラと初めて会った時のことを思いだす。あの、水を浴びて輝くような瞳を見せたヌメラの姿を。
サトシ 「まずはフィールを味方にするんだ! “あまごい”!」
サトシの指示を受け、ヌメルゴンは大きな雨雲を発生させる。そして、一滴の雫が、ヌメルゴンの額に触れた。
直後、豪雨。
途端に“エレキフィールド”から電気が発散していく。
シトロン 「まさか……雨を降らせて電気を放電させるなんて!?」
完全に意表を突かれたシトロン。そしてそれは、リモーネも読み取っていた。
リモーネ 「シトロン、こりゃ一本取られたなぁ」
ユリーカ 「なんで?」
リモーネ 「ヌメルゴンの特性、“うるおいボディ”。雨の時、状態異常が回復する」
セレナ 「サトシは、それを知ってて!?」
リモーネ 「どうだろうねぇ!」
サトシ 「ヌメルゴン! これでお前の好きなフィールドになった! 思いっきり戦うぞ!」
リモーネの解説と、サトシの言葉。恐らくサトシ、“うるおいボディ”なんぞ知らなかったはずだ。
ただただ、ヌメルゴンが“喜ぶこと”を覚えていて、それを実行して、結果的に、マヒが回復した。ポケモン想いのサトシだからこそ掴んだ……いや、掴み取った展開だと言える。
シトロン 「(やはり、サトシの意外性には、僕の計画も意味を成さない……でも、これを待ってたんです!)」
そして、シトロンは言う。ここからは“アドリブ”だと。
“あまごい”で“エレキフィールド”を掻き消してしまうと言うサトシの突発的な行動を目の当たりにし、シトロンも吹っ切れたのだろう。計画によるバトルを捨て、その場その場の状況で進めるバトルへ。
それは、シトロンがサトシの戦法に影響された瞬間だった。
“スピードスター”を尻尾で打ち返すヌメルゴン。それに対して“かみなりのキバ”で攻め込むレントラー。
シトロン 「(もうすぐ終わってしまう……)」
サトシ 「“がまん”だヌメルゴン!」
リモーネ 「“がまん”だって!? この状態で受け身の体勢を採るのか!?」
それは、傍から見れば無謀な手段。しかしサトシの目に迷いは無い。
シトロン 「(もっとバトルしていたい……)」
“がまん”なら発動前に打ち消してしまえと、シトロンはレントラーに“ワイルドボルト”を指示。そして直撃。
ヌメルゴンは耐える。
シトロン 「耐えますか……だったら“スピードスター”!」
続いて“スピードスター”も直撃。しかしヌメルゴンは耐える!
サトシ 「(シトロン……、オレもこんな楽しいバトル、ずっとしていた。でも、勝ってバッジは貰ってく!)」
サトシとしては、この1発に全てを懸けていたようだ。
それは、ヌメルゴンの耐久と、攻撃を信じていた他でもない証拠。
サトシ 「今だ! パワーを解き放て!」
解き放たれた“がまん”の威力は相当なもので、フィールドに大爆発が起こる。
その風圧に巻き込まれて思わず身構えるサトシとシトロン。そして、観客席で思わず悲鳴を上げるセレナとユリーカ。
砂埃が晴れて、最後まで立っていたのは、ヌメルゴンだった。
サトシ 「ぃやったぜヌメルゴン! お前は凄いよ! はははっ!」
ヌメルゴンを讃えるサトシを見て、シトロンは静かに、レントラーをボールに戻した。
そして、サトシの凄さを改めて実感、まだまだ勉強せねばと誓い、ライバル同士、仲間同士のバトルは、終わりを告げた。
サトシ 「シトロン、ありがとな!」
シトロン 「いや……、僕はなにも」
サトシ 「ううん。シトロンのお陰で、すっごく楽しかった!」
セレナ 「おめでとう、サトシ!」
サトシ 「ありがとうセレナ!」
ユリーカ 「お兄ちゃん! 今までで一番カッコ良かったよ!」
シトロン 「えっへへ……」
リモーネ 「良いバトル見せて貰ったぜシトロン! 立派に成長しやがって嬉しいじゃねぇか……!」
もうみんなすっごい良い人!
シトロン 「サトシ。あの時からの約束、これでやっと果たせました。これが、ミアレジムに勝利した証、ボルテージバッジです!」
とうとう5個目のバッジをゲットしたサトシ。残るバッジは3つ、もう半分以上、旅が終わってしまった。
次のジムは、セレナの提案でクノエシティへ行くことに。久々にセレナのマップ係を見たような気がする。
リモーネ 「お前も行くんだろ」
シトロン 「勿論です!」
リモーネ 「やったぁ! お兄ちゃん、また一緒に旅出来るね!」
シトロン 「サトシには僕が必要ですよね」
サトシ 「えっ?」
シトロン 「サトシみたいなファイターには、僕みたいな冷静なタイプが付いてないと!」
サトシ 「へへっよく言うぜ!」
これまでのアニポケの中で、シトロンの役割的には医療とテント持ち運びくらいだが、確かに、時たま熱くなるサトシには、冷静な分析を得意とするシトロンが傍に居た方が良い。……セレナでも大丈夫な気もするけど。
シトロン 「また良い旅を続けましょう。サトシ」
サトシ 「おぅ! これからもよろしくな、シトロン!」
シトロン 「はい!」
セレナ 「私も!」
ユリーカ 「ユリーカもユリーカも! わたしたちは仲間よ。一緒は当たり前っ」
サトシ 「ユリーカ。セレナ。シトロン。よろしく頼むぜ!」
4人 「おおおぉぉぉ!」
もうホントに良い子たち!
これほどまでに微笑ましく、安定した、仲の良いパーティ、これまであっただろうか。
考えてみると、サトシはまだ喧嘩していないし、メンバーを怒ったこともない。それが、このパーティの素晴らしさを物語っている気がする。
そして、手を取り合ってからの「オー!」は、実に第3話ぶり。あの時はサトシ、シトロン、ユリーカの3人組だったが、今回は無事、セレナを加えることが出来た。
あの時の「オー!」はミアレ出発時。そして今回も、ミアレを出発するタイミング。
シトロンが旅に復帰したこともあり、一つの大きな区切りとして、ここが、サトシ達の新たな旅の始まりなのだろう。
単なるジム戦だけに留まらず、パーティの仲の良さ、絆を織り交ぜたミアレジム戦は、こうして幕を下ろした。
● 総括
第1話からの対決が、ついに結末を迎えた、サトシ対シトロン。まさかの作画枚数1万枚超えのバトルは、これまでに無いほどの迫力と臨場感を生み出し、一時も目が離せなかった。
シトロンパーティーのワザ構成見直しや、ヌメルゴンの新たな一幕など、新たな要素を織り交ぜつつスピード感溢れるバトルを織り成す様は、脚本と作画の素晴らしい連携の賜物だろう。
サトシのジム戦と位置付けつつも、シトロンの内面や成長を存分に描いていたほか、セレナやユリーカの言動が迫力に花を添え、XY編メンバー全員を魅せていたことも評価ポイントだ。
一つの大きな区切りを迎えたXY編。残りジムは3つだが、セレナのトライポカロンやフレア団関連のイベントも待機しており、引き続き、目が離せない展開が続く。
(テールナーどっちの味方やねん?)