ポケモンXY感想−33話目

第34話「メガルカリオメガクチートメガシンカの絆!!」


 ムスト山に普通に到着したサトシたち。コンちゃんに言われたトレーナーに会いに、ヒマワキシティを連想させるようなツリーハウスを訪ねてみると……

 クチート鳴き声可愛いぃ!
 なにこの子!? クチートってこんなに可愛かったっけ!?


 で、クチートのトレーナーはよく分からない浮遊物体に乗って登場。それどうやって浮いてるの? マリオカートの反重力的な?

 メープルと名乗るそのトレーナーは、早速実力確認ということでコルニとバトルすることになる。
 いきなりのメガ進化からスタートし、ルカリオの攻撃を避ける避ける。これでもかってくらい避ける。見てて気持ち良いくらい避ける。もっとも、その間コルニの指示は無し。いつものルカリオ独断攻撃が続いていたのだが、今回はそれをサトシが諭してハッとするコルニ。……おい前回の成長どこいった?

 この後、メガルカリオは暴走モード&コルニの声を聴かず、“ようせいのかぜ”でメガルカリオはダウンした。やはり前回のように上手くは行かなかったか。

 特訓が始まると思いきや、メープルは生け花を指示。パートナと一緒に、と言うからには、何か理由があるのだろうけど。
  メープル 「よかったら皆さんも生けてみませんか?」
  セレナ 「いいんですか?」
  メープル 「構いませんよ。パートナーとご一緒に、やってご覧なさい」
  ユリーカ 「やろーデデンネ!」
 〜サトシ側へフレーム移動〜
  セレナ 「出てきてフォッコ!」
  「ふぉっこー」



 
 〜生け花中〜
  セレナ 「良いよね〜このお花! フォッコと同じ色だよ」
 〜ユリーカ側へフレーム移動〜
  「ふぉっこーふぉごふぉごぉ」

 ……フォッコの扱い雑じゃないか!?


 そして、今回のシトロンの発明はこちら!
 古今東西あらゆる芸術作品のデータを搭載し、究極に崇高なる芸術センスを有するマシン。名付けて……
  シトロン 「……生け花君1号です」(ドヤァ!)

 このシトロンの説明口調が地味に嵌りつつある今日この頃。
 最近のシトロンの発明と言えば、切り分ける奴、ポケモンの力を計る奴……と、機械本体が原因となる爆発を起こしていないものが出そろっている。今回は家の中だし、きっと大丈夫だろうと思いきや、普通に爆発した。人の家荒らすなよ……。
  セレナ 「せっかく作ったのに……」
  ユリーカ「 そーだよ、お兄ちゃんってば酷い!」
 今回は、みんなもっと怒っていい思う。それと、コルニ&ルカリオが爆発ネタに巻き込まれるとは思わなかったわ。あと、2号が無くて良かった(笑)


 夕方、各自の生け花が完成した。
  メープル 「このお花からは、サトシ君とピカチュウ、トレーナーとパートナーの心が一つになったような、力強さを感じます」
  サトシ 「ありがとうございます!」
  メープル 「これって、コルニさんとルカリオ、それぞれが生けたのかしら?」
  コルニ 「そうだよ! 素敵でしょ?」

 コルニ&ルカリオの作品は、同系統の色の花ながら、別々のものが生けてあった。これは……2人が各々の意志で作り上げても、向かう先は同じ、と言うことの表れだろうか。

  メープル 「えぇ。貴方がたが似た者同士で、深く理解し合っていると、この作品からも伺えますわ」
  コルニ 「でしょ〜。あたしたち、小っちゃい頃からずーっと一緒で、固い絆で結ばれてるの!」
  「がるがうー」
  メープル 「なるほどでは、明日もいい作品が出来るように頑張って下さい」

 ……セレナたちの評価は!?
 なにやら、生け花はまだ続くらしい。修行したいと言うコルニだが、しぶしぶといった感じで了承した。

 
 翌朝。今度は行ける花も自分で取ってくるらしく、各々かごを持って外へ出かける。
 ……と、メープルがコルニを呼び止める。
  メープル 「山の景色をじっくり見ると良いわ。パートナーのルカリオと一緒にね。そうすれば、きっと良いことがありますよ」

 言われた通り、外へ繰り出したコルニとルカリオは、山の景色をじっくりと見て回る。小川のせせらぎ、花咲き乱れる草原、遠くに見える白い山――。美しい自然だ。
 しかし、コルニとルカリオに、その真意は分からない。加えて視聴者側にも、真意は分からない。強いて言うなら、このBGM良いなぁ!

 この日の終わりにも、メープルは明日も生け花見せてと言う。生け花はもう結構ですと強く言うコルニだが、メープルはもっと見せて欲しいと言う。静かに微笑みながら。


 その後もメープルの言いつけを守り、山の景色を見ながら花を集め、生けるコルニたち。ふと、崖の上にスズランらしき花が咲いているのを発見し、それを生けることに。
 コルニが登って落ちる。ルカリオが登って落ちかける。ならばと、コルニがルカリオに、崩れやすそうな場所を避けるルートを指示。見事、スズランっぽい花の元に辿り着いた。

 こう、2人で1つの目的を達成したことは、大きな一歩になるのではなかろうか。バトルでは……全く協力していないとは言わないが、ルカリオが自らの意思で攻撃を繰り出しているところを見ると、“本当の意味での協力”を遂げたようにも感じる。
 それと、ここのマスタータワーをアレンジしたBGMがかなり良かった!

 スズランの生け花を見て、にっこり微笑むメープル。遂にここまで来たわね――と言わんばかりの表情だ。
 余ったと思われるスズランを腕飾りにしているあたり、コルニはやっぱり女の子なんだなと実感した。
 ……ところで、花瓶にスズランを挿しただけのものを、果たして生け花と呼べるのだろうか?


 ツリーハウスでダレるセレナは、そろそろ生け花に飽きて来た模様。女の子でも飽きるほどってどれくらい……満月ってころは前回から1か月か。そりゃ飽きるわ!

 1人外に出て、ルカリオと月を眺めるコルニ。
  コルニ 「意味不明だよ……有り得ないよ……このままじゃ、いつまで経っても波動を制御できない」
 「がるぅ……」
  コルニ 「特訓、いつになったら始まるのかな……」
 こう、たまに出るコルニの現代っ子っぽい言葉が妙に親近感を覚える。

  コルニ 「今日の月もあの時と同じだね。ルカリオも見てたのよね」
  「がぁう」
 ……やっぱり1か月か。

  メープル 「まぁ綺麗なお月様……。心配しなくても大丈夫ですよ」
  「がぁう……?」
  メープル 「あと一歩です。あなた達が波動を制御できるようになるまで」
  コルニ 「あたしが波動を……やっと教えてくれるんですね!? その方法を!」
  メープル 「もう教えていますわ」
  コルニ 「えっ……?」

  メープル 「パートナーと共に景色を眺め、お花を生ける。あなたにとって、もっとも効果的な訓練だったのです。あとはあなたが、どれだけ広い視野を持てるかにかかっているわ。あなたとルカリオは、とっても仲良し。同じように考え、行動してきた。だからバトルの時も、ルカリオは自分で判断してワザを出す。それを当然のことと考えていた。トレーナーとポケモンは仲間。同じ目的を目指すパートナー。でも、それぞれ役割は異なる。たとえ同じ景色でも、見えてくるものは違うんじゃないかしら? 心は1つ。景色は2つ。2つの景色を束ね、力に変える。あなたたちなら出来るはずよ」
  コルニ 「心は1つ、景色は2つ……」

 おばあちゃん、凄い良いこと言ったけど、けっこう語ったなオイ……。
 けど印象的だったのは、ルカリオが勝手にワザを出したことを、当然のことと言いつつも、暗に違うと諭していること。コンちゃんとは違うアプローチだ。
 バトル中、相手を倒すと言う目的はポケモンもトレーナーも1つだが、視点は違う。前者を心、後者を景色と例えたこの表現は、なかなか深い物を感じた。


 と、その時。
 ガラスが砕け散り、空が赤く染まり、2つの悲鳴が! ……これ絶対誰か死んだだろ。
 そんな突拍子な演出は置いといて、なんとロケット団ピカチュウクチートを捕獲したらしい。残り10分と言うことは、それなりの動きがあるはずだ。

 すぐさまコルニとルカリオは戦闘態勢に入る。いきなりのメガ進化で。
 しかし、バケッチャマーイーカの攻撃を受け、いつもの暴走モードに入るメガルカリオ
  コルニ 「どうしたら……」

  メープル 「あなたならできる」
  コルニ 「………はい」
 意思を固めたような、しっかりとした返事だった。

 その間も勝手に動くメガルカリオは、さらに攻撃を受け、マーイーカの“たいあたり”で地面に叩きつけられた。まさかの“たいあたり”で。
 なおも暴走するメガルカリオに、コルニは必死で打開策を見出そうとする。

  コルニ 「(心は1つ、景色は2つ……状況を良く見て、ルカリオを助けてあげるのよ!)」

 ロケット団に突っ込んでいくメガルカリオの前に、コルニは立ち憚った。その眼に迷いは無い。
 構わず突っ込むメガルカリオは、コルニの腕に噛みついた。


 ……痛い痛い痛い痛い痛いっ!
 ……と思ったけど、よくよく見たらキバは食い込んでいなかった。こう……甘噛みと言うか、唇だけで噛んでると言うか。

  コルニ 「ルカリオ聞いて。心は1つ、景色は2つ」

 スズランの腕飾りが揺れる。
 これまでのコルニとルカリオの軌跡が、旅が、戦いが、走馬灯のように2人の脳裏を駆け巡る。

  「2つの景色を束ね、戦う力に変える――」

 色の無い真っ白な回想が、短時間のうちに早送りで映し出されていく。


 スズランの腕飾りが揺れる。

  「ルカリオ……ルカリオ!」

 だんだんと色味を帯びて行く回想は、コルニの声と想いがルカリオに伝わっていく表れか。

  「あたしたちの心は1つ! 波動に……身を委ねて!」

 スズランの腕飾りが散り行く。
 ルカリオは気が付いた。コルニの声が、届いたのだ。


 ……なんだこのシーン、カッコ良すぎじゃないか!?
 前回のような、ただ単に声が届いたから、という訳ではなく、2人の力を合わせて1つの目的へと向かう意味合いを、コルニとルカリオ、それぞれが理解したために想いが届いたのだ。

 仕切り直しだ。
 今度はコルニの指示で、ロケット団へと向かうメガルカリオ。そこに、バケッチャマーイーカの攻撃が入る。

 (心は1つ、景色は2つ……状況を良く見て、ルカリオを助けてあげるのよ!)

 まさにコルニは、今の状況を瞬時に理解する。トレーナーが見る景色、それは、ポケモンへ的確な指示を出す、言わば道しるべ。その指示の力を最大限に見出すのが、ポケモンが見る景色。
 空中での攻撃回避に、バケッチャの“シャドーボール”を“ボーンラッシュ”で打つことで体を反らすと言う、的確な指示、高度な反射能力で、コルニとルカリオは対処する。もう、ルカリオ任せでは無い。

 そして、気の毒なほど殴られたバケッチャロケット団の気球にぶつかり、ピカチュウクチートは解放される。……セレナに受け止められたクチートの声が可愛すぎてヤバい。

  ニャース 「容赦はしないニャ!」
  メープル 「その言葉、そのまま返しますわ。メガ進化!」

 おばあちゃんの本気を見た。
 メガ進化したクチートは、“ようせいのかぜ”でバケッチャを跳ね返す。
 マーイーカの“サイケコウセン”を、ピカチュウの“10万ボルト”が押し返す。
 そして光に包まれるメガルカリオの拳。

  コルニ 「それって……覚えたのね! お見舞いしてやろう! “波動弾”!」

 ここできました“波動弾”! ルカリオの段階で覚えてないので何かあるかと思いきや、最後の最後で出してきましたか!
 コルニとルカリオの想いが通じ合ったこと、そして波動を制御できるようになったことを表すのに、これ以上のことは無い。
 藍色の夜を切り裂くようなその光は、ロケット団を撃退するのに十分すぎるほどの力だった。

  ムサシ 「やなーーー」
  ニャース 「感じーーー」
  コジロウ 「ア゙ァァッァァ……」
 ……おいやめろ。なんだコジロウその断末魔は!? 今のでここまでの感動全部持ってかれたぞ!


  サトシ 「2人の気持ちが、“はどうだん”の形になったんだ!」
 さすが主人公、上手く纏めたな!


 一夜明け、波動をコントロールできるようになったコルニは、シャラシティへと戻ることに。
  メープル 「波動を制御できたからと言って、安心してはいけませんよ。さらなる高みを目指して、これからも頑張って下さい」
  コルニ 「はい! 頑張ります!」
  メープル 「うん」
 なんでもいいが、XY編はおじいさんやおばあさんが良い人過ぎて見ていて暖かくなる。

  サトシ 「コルニ、ここでお別れだ」
  コルニ 「えぇ?」
  ユリーカ 「ねぇねぇ、どうして一緒に行かないの?」
  セレナ 「このままシャラジムに行って、コルニに挑戦すればいいのに」
  シトロン 「そうですよ」

  サトシ 「再来週は映画の公開なんだ。まだ一緒に居たら、劇中と辻褄が合わなくなるだろ?」
  セレナ 「あっ!」
  ユリーカ 「そっかぁ!」
  シトロン 「なるほど、それもそうですね!」


 嘘です。

  サトシ 「コルニとルカリオは、波動を制御できるようになったからな。オレ達も鍛えなきゃ。鍛えて強くなって、ジムバッジ、ゲットしてみせるぜ!」
  「ぴぃか!」
  コルニ 「うん! サトシ達とのバトル、楽しみにしてるよ!」
  「がぁぅ!」

  コルニ 「みんな、またねぇ!」
 あっさり! あっさりし過ぎじゃないかコルニ!? すぐシャラジムで会うにしても、せめてお礼くらい言った方がいいんじゃないかコルニ!?
 サトシも唐突に切り出すし、マジで映画前で時間が無いから別れさせた感が半端ないんだが……。

 でもまぁ……波動を制御できるようになったコルニの気持ちを考えると、いち早くコンちゃんに報告したいって思いもあるんだろうな。


  〜 コルニ編、完 〜


 ● 総括
 5話にわたって描かれた、コルニとルカリオのメガ進化の絆。その最後を締めくくる演出は、納得のものだった。回想を入れること自体、ポケモンアニメにとってそう多くは無いことだが、その回想にも一工夫されていて、思わず唸る話の展開だった。全体を通して見ても、コルニ編はストーリーが非常に良く練られていたし、あっさりした別れが少々気になるが、スペシャル版で一挙放送しても良いレベルではないだろうか。
 さて、成長したコルニに、サトシはどんな戦法でバトルを挑むのだろうか。
 それと……、OP映像どうするんだろ? メープルはもう出ないだろうし、コルニのシーンも今後も使うとなると微妙になるし……。


 ● おまけ (細かい画像なのでPCからの閲覧推奨)



 ピカチュウ:6kg
 クチート:11.5kg

 落下速度 V=√(2gh)
  g=重力加速度(9.8m/s2)
  h=高さ(15mと仮定)
   V=√(2×9.8×15)
    =√294
    ≒17.15(m/s)

 衝撃力F=mV/t
  m=物体の質量(ピカチュウ=6.0kg,クチート=11.5kg)
  V=落下速度(17.15m/s)
  t=減速時間(受け止める場合なのでここでは0.1秒とする)
   ・ピカチュウの場合
    F=6.0×17.15/0.1
     =1029(N)
   ・クチートの場合
    F=11.5×17.15/0.1
     =1972.25(N)

  ここで、1(N)=0.102(kgf)より、
  ・ピカチュウ
   1029×0.102=104.958
         ≒105(kgf)
  ・クチート
   1972.25×0.102=201.1695
          ≒201(kgf)



  ※ 空気抵抗は面倒なので考慮していません。