ポケモンXY感想−31話目
ポケモンアニメの中で、ポケモンリーグやコンテストを除き、かつ「前編・後編」が題名に付かない場合での“アニメ内の同日時”の話は、何気に少ないのではなかろうか。
特に悪の組織と対峙する訳でもないことを考えると、けっこうなレアパターンかもしれない。
そんな訳で始まった、前回からの直接の続き。
メガ進化したルカリオ、メガルカリオの姿を見て、「カッコイイィィィ!」と駆け寄るコルニが微笑ましい。第一印象をそのまま叫んでいる感じだった。
マキタのじいちゃんが言った「シャラジムの将来も、これで安泰じゃな」という言葉が何かリアル。
それを覗き見ていたロケット団。時系列上ではついさきほど吹っ飛ばされたにも関わらず、もう戻って来たその行動力は、ホント評価に値すると思う。
ムサシ 「みんなメガ進化しちゃって……。アンタいつするのよ?」
ニャース「主役はいつも最後になるもんニャ」
ムサシなぜニャースに振った!? そしてニャースのその自信はどこから湧いて来たんだ!?
凛々しくなったメガルカリオに、さっそくバトルを申し込むサトシ。使うのは再度ピカチュウ。 恒例のカットインに、サトシからコルニへ円弧を取ってフレームを動かす演出がなかなか。
バトル開始で“ボーンラッシュ”と“アイアンテール”がぶつかる……が、ルカリオはまだ本調子ではないのか、“ボーンラッシュ”の具現化した骨を弾かれ、飛ばされ、山にぶつけ、爆発。……これ事故だろ。
サトシ 「外すなんてらしくないぜールカリオ!」
コルニ 「なぁにすぐにコントロール出来るようになるよ! 慣れちゃえば無敵無敵!」
ここでちょっと怒るメガルカリオ。
ピカチュウは“でんこうせっか”で攪乱させる作戦をとるが、メガルカリオはピカチュウを上回る速さ。
コルニ 「良いね良いね! どうしたーピカチュウ!」
サトシの発言への仕返しってところか。こういうことを普通に言い合える当たり、サトシとコルニの相性の良さを感じられる。
ムサシ 「何なのこれ……全然目が追いつかないんだけど」
コジロウ 「あのピカチュウがスピードで負けてる」
ニャース 「ニャーもメガ進化したらもっと早くなるニャ」
だからニャースは何をもってその発言を……。
― ロケット団の出番終了(開始約6分)―
そうこうしているうちに、メガルカリオが優位に立つ。“グロウパンチ”をピカチュウの目の前に落としたと同時に蹴り飛ばす!
ここでコルニの祖父ことメガ進化おやじ(以下“コンちゃん”)が反応する。そしてシトロンも「また勝手に攻撃した」と発言。前回からの伏線(=シトロンの反応の理由)が、ここにきて明確に表現された。
しかし、コルニは相変わらずそれを問題視しない。
コルニの“グロウパンチ”の指示の直後、メガルカリオはピカチュウの尻尾に噛みつき、力任せに振り回す。……やめたげて! 取れちゃう! 尻尾取れちゃう!
そして、勢いをつけて地面に叩きつけた。
メガルカリオ怖い! 子供泣く! これ絶対メガルカリオの人気落とす意図があるだろと勘ぐってしまうほど怖い。―――(1)
コルニの言うことも聞かず、ピカチュウを蹴飛ばす。興奮は未だおさまらない。ピカチュウを庇うサトシ目がけ、“グロウパンチ”を繰り出そうとするメガルカリオ。サトシなら喰らっても問題ないだろうという通説はさておき、コンちゃんのルカリオが、メガルカリオの攻撃を防いでくれた。と同時に、メガルカリオはメガ進化が解除され、その場に倒れこんだ。
ポケモンセンターに向かったサトシたち。
ピカチュウの回復は終わったが、ルカリオは体力の消耗が激しいらしく、まだ回復していない。
コンちゃん 「消耗するのも無理はない。始めのうちは、力に振り回されることもある」
コルニ 「その力って……波動のこと?」
コンちゃん 「………」(無言で頷く)
ここのコンちゃんの反応を見るに、波動を使いこなせていないルカリオの深刻さが伺える。
コルニ 「サトシ、ピカチュウ、ごめん……。私、どうしたらいいか分からなくて……」
サトシ 「そりゃぁオレ達もいきなりでびっくりしたけど、いきなり凄い力を持ったんだし、ルカリオも……苦しかったんじゃないかな」
ピカ 「ピィカチュー」
ピョコピョコと耳を動かすピカチュウが可愛い。
シトロン 「ポケモンは、進化すると言うことを聞かなくなる例が沢山ありますから、決してコルニのルカリオが特別と言うことでは無いと思いますよ」
ここでリザードンの話が出てくると思った人は、きっと自分だけでは無いはずである。そのままリザードンのメガ進化の話に進むのではと思いきや、リザードンの「リ」の字も出なかった!
そしてコルニのこの顔! 今まであんなに元気で はっちゃけてた子が……とにかく落ち込んだ時とのギャップが凄い。
サトシ 「元気出せよ! やっとメガ進化できたんだ。コルニとルカリオなら、きっと上手くいくよ!」
コルニ 「……そうだよね。私のルカリオなら、きっとすぐに力をコントロールできるよね!」
それでも前向きに考えられるのが、きっとコルニの長所なんだろうと思う。サトシの言葉に支えられた、というのも影響しているはずだ。
コルニ 「おじいちゃんのルカリオも、はじめはあんな風だったの?」
コンちゃん 「そうさなぁ、誰でも初めてと言うことはあるが……ただ……」
コルニ 「なに!? ただただ……なに!?」
コンちゃん 「さっきのバトルは、とても褒められたものじゃないぞ」
コンちゃんが厳しく言い放つ。それに おののくコルニだが、これからだと食い下がらない。
そこに、コンちゃんお待たせ、とやって来たマキタ。こののんびりとした感じ……マキタさん好きだわ(笑)
ここから座学タイム。
なぜルカリオはあぁなったのか。
コルニは、メガ進化したばかりでバトルに集中しすぎたせいだと言う。
バトルしたサトシの感想は、「最初にバトルした時とは全然違う感じだった」と。
デデンネとユリーカは怖がっているが、ワイルドになったんだと前向きなコルニ。
メガ進化するにも、ポケモンによって色々あるとコンちゃん。例えばカルネのメガサーナイトは、メガ進化前とは優雅さが増していた。一方のメガルカリオは、コルニの言うことを聞かなくなった――。その原因は、いったい何なのか。
コルニ 「私も知りたい。あの子が私の言うこと聞かなかったの、初めてなんだよ……」
コンちゃん 「それだけ、メガ進化の力が、お前のルカリオには強すぎたと言うことじゃ」
コルニ 「強すぎた……?」
コンちゃん 「メガルカリオは、波動の強さが極限まで高められると考えられている。バトルしている間は全神経を集中させていて、戦いのこと以外は考えない。その結果、強くなった波動が闘争本能を掻き立てた」
コルニ 「確かに、本能だけで戦ってた……」
マキタ 「非情な性格にガラリと変わってしまった例も、あるにはあるんだが……」
サトシ 「じゃあコルニは、その力をコントロールする必要がある……と」
コンちゃん 「そうだ。シャラジムのジムリーダーとして、無くてはならない力だ」
座学タイムここまで。
この間を読んで、皆さんはどう思いましたか? ルカリオが暴走してしまった原因が分かりつつあるという意味では大事なシーンですが、正直に言ってみてください。アニメ内の会話が続いて、いちいち読むのは かったるかった、と。
……おそらく、それはそのまま視聴者の子供に当てはまると思う。割と難しめな表現が出てきたうえ、動きがほとんどない。子供にとって、この数分のシーンはつまらなかったのではないだろうか。―――(2)
とここで、ルカリオ復活。
ストレッチャーに乗ってくる姿はこんなに可愛いのに。もう大丈夫と言わんばかりに、腕を振り回して屈伸する。
コルニ 「ルカリオ、メガ進化って色々大変だけど、私たちならきっとモノにできる。メガ進化したらもうこっちのものなんだから!」
それを聞いたコンちゃんは、コルニにバトルを申し込む。それを久々だと喜ぶコルニだが、「次こそメガ進化成功させるよ!」と意気込むコルニを見、コンちゃんは表情を変えた。
コンちゃん「お前にはまだ、メガ進化と言うものが分かっていないようだ。表出ろ」
コルニの、良く言えば前向きな、悪く言えば楽観的な発言に、コンちゃんは祖父として、お灸を据えなければと判断したのだろうか。
コル ニ「あんなこと言われて、黙ってられないよ。今までの成果、見せてやろ!」
バトルはメガ進化した段階からスタート。
コルニ 「見ててよサトシ! 私たち、おじいちゃんには一度も勝ったことないんだ。全然相手にならなくて」
サトシ 「そうだったのか……。でも今度は行けるぜ! メガ進化をしっかりコントロールしてさ!」
コルニ 「任せて!」
ここのサトシへの発言は、何かの伏線なんだろうか。
コルニのメガルカリオの“グロウパンチ”からバトルはスタート。コンちゃんのメガルカリオは、それを波動で弾き返す。トレーナー、ポケモンとも、相当な手練れでなければ成し得ない業だ。
コルニ 「あーもー! そうやってまた子ども扱いして! ちゃんと戦ってよ!」
コンちゃん 「戦っとるぞ! 波動使いらしいバトルだろうが!」
興奮気味に言うコルニ。これを見るに、コルニはこれまでのコンちゃんとのバトルでも、同じようなことを言っていたに違いない。しかしそれは、メガ進化前のルカリオの話。今はメガ進化している。言わば免許取得、大人の仲間入りと言ったところか。学生から社会人になるように、これまでの“甘さ”は通用しない。コンちゃんは、このバトルでそれを分からせようと言う魂胆なのか。
その後もバトルは続くが、力はコンちゃんのメガルカリオの方が断然上である。“はどうだん”を打ち込まれ、それを“ボーンラッシュ”で打ち返せずに終わる。
……そして、子供泣かせの覚醒スタイルに入ってしまった。声優さんの喉が心配になるほど声を荒げて指示を出すコルニだが、メガルカリオには届かない。
しかし、覚醒状態=パワーアップでは無い。コンちゃんのメガルカリオは華麗に攻撃をかわし、“はどうだん”を打ち込み、コルニのメガルカリオを容易くダウンさせた。
マキタ 「課題は、多いねぇ」
コンちゃん 「うむ……」
ここのたった一言の会話が印象的。マキタもまた、メガ進化について精通しているのだろうか。
コルニ 「……悔しいよ。……なんでっ!? メガ進化してるのに……これじゃ今までと同じだよ!」
メガ進化したのに勝てなかった。彼女の涙から、本当に悔しがっているのが見て取れる。念願のメガ進化が、意味をなしていないようなものだからか。
……そんなことよりメガルカリオが言うことを聞かないことを案じろなんて、泣いてるコルニには言いづらい。
コンちゃん 「何も変わらぬ理由は、お前たち2人にある」
厳しい表情で切り出すコンちゃん。
波動に振り回されてしまう理由、それは、自分たちの力を過信し過ぎていることが原因らしい。
ルカリオがコルニの指示以上に攻撃するのは、単なる自分勝手な行動だと突き放す。
コルニに対しても、それを良しとして気に留めないでいることは、ルカリオのことを理解しいていないことと同じことだと言い切った。
コンちゃん 「2人はあまりに一緒に居すぎた。そのため、お互いを分かっていると思い込むあまり、今以上に強くなる努力を怠っていたのではないか? これでは、シャラジムのジムリーダーとしてあまりにも未熟だ」
……何となく、残酷な結論だと感じた。コルニとルカリオの仲がいいのは、小さい頃からずっと一緒に過ごしていたからで、それは前々回の回想からも読み取れる。兄弟のように過ごしていて、それが当たり前のように思えていて、今更それが原因だなんて、悲しいにも程がある。
と同時に、これほどまでに上手い理由付けは、他に無いだろう、とも思った。要するに、ストーリーが凄く丁寧に練られている。子供のころからずっと一緒だったと言う、一見微笑ましい日常が、実は大きな障害だった――。それだけで、この課題を乗り越えることの大変さが伝わるのではないだろうか。
そんな想いを、コルニは口走ってしまったんだろう。
コルニ 「分かんないよ……全然分かんないよ……バトルしてたじゃん……」
物凄く同情するが、コンちゃんは一喝。
コンちゃん 「バカモンッ!」
そして、コルニに新たな修行を命じた。それは、ムスト山という場所に、コンちゃんがずっと世話になっていた、メガ進化ポケモンを持つ人物がいるらしい。その人の元へ行き、メガ進化の先に何を見るのか、学んで来い、というものだった。
コルニ 「分かったよ……」
しぶしぶと言った感じの返事だった。コルニはまだ、メガ進化がどういう意味合いの物なのか、完全には理解していない様子だ。
サトシ 「コルニ、オレ達も行くぜ! 一緒に修行しようぜ!」
サトシが横から提案する。そのシーンを見て、ローラーシューズを履くことによる身長差を実感した。
サトシ 「コルニ、ルカリオ、元気出せよ! 強くなるためだ!」
コルニ 「ありがとうサトシ……」
セレナ 「そうそう。皆で行けば、修行も楽しくなるよ!」
ユリーカ 「わたしも行く!」
シトロン 「当然ながら、僕も参加させて貰います!」
もう……みんな良い子! ホントこのメンバー良い子ばっかりで安心感が半端ない。
サトシ 「オレさ、最強のお前たちに勝ちたいんだ! せっかく手に入れたメガ進化、極めようぜ! それでオレ達と戦ってくれ!」
コルニ 「私たちがメガ進化極めたら、キャラジムのジムバッジをゲットできないよ!」
サトシ 「ゲットできるかどうか、やってみなくちゃ分からないだろ!」
しょぼんとしていたコルニも、少しずつ、いつもの調子を取り戻しているようだ。こういう時ほど、サトシの力を発揮する場面は他に無いだろう。まっすぐな心を持つサトシに、これまでどれだけの人が救われてきたことか。
さっそく出発するコルニたちに対して、コンちゃんは毅然とした表情。しかしその内心は、自分の孫の成長を願う、祖父の姿に他ならなかった。
● 総括
以上、(1)、(2)より、今回の話は子供向けでないことが証明された。
しかし、我々のようなポケモン第一世代にとっては、たまにはこういう話も面白い。何より話が本当に考えられていて、各々の理由付けにも、不自然な点は見当たらない。
しばらく続くコルニ編。ジム戦含め、どのような結末を迎えるのだろうか。
● おまけ
セレナの女の子らしい仕草がちょこちょこ入ったが、これデデンネの位置なら完璧に見えたよね。
……女性読者の方(いたら)ごめんなさい。