ORAS発売直前ミニ特集 − その2

 “ポケモンレンジャー”とは、ポケモンの力を借りて治安維持を図ると言うか何というか、言うなれば自然の警備員。
 野生ポケモン達が安心して暮らせるよう、日夜尽力しているのである――。

 そんなレンジャーを主役としたゲームが、“ポケモンレンジャー”シリーズ。
 ポケモンの派生作品として、タッチペンを使ったアクションはDSシリーズにもってこい。
 登場ポケモンこそ限定されるが、背景や建物のリアルな描写、クスッと来る会話や言い回しなど、一味違ったポケモンを楽しめる。


 さて、“ポケモンレンジャー”シリーズだが、実はORASに通じる要素がいくつかある。
 ORASが“ポケモンレンジャー”を参考にしたと言っても過言では無いだろう。

 ここではレンジャーシリーズ3作品を簡単に紹介するとともに、ORASに通ずる要素を見て行きたいと思う。


ポケモンレンジャー

 2006年3月発売。ダイヤモンド・パールより半年早い。
 フィオレ地方を舞台に、ポケモン達と力を合わせて平和を守る、レンジャー初代作品。

 何より野生ポケモンが“そこら辺に普通にいる”と言うのが斬新。草むらに入ったらポケモンが飛び出すのではなく、本当に、普通にフィールドにいる。
 普通のポケモンシリーズに慣れていると、この仕様はなかなか面白い。
 ポケモンの大きさも正確に再現されているのも、特筆すべき点だ。


ポケモンレンジャー バトナージ

 2008年3月発売。アルミア地方と言う、北海道は渡島半島と青森の一部が舞台。故に、シンオウ地方とは陸続きとなる。

 基本的な仕様は前作から変わらないが、ムクホークで空を飛ぶ(町移動)、ドードーに乗って走る、フローゼルに乗って川移動などが追加。よりポケモンとの協力が強調された。
 特にドードーで走る要素は、XY編でメェークルに乗って走る要素に通ずるものがある。


 ▲ 川移動中のフローゼル。分かりにくいが、尻尾がスクリューする動きもある。


 ORASの公式サイトに、草むらから尻尾だけ出ているピカチュウの姿があった。
 同要素はまさしく“野生らしい”ポケモンの描写であるが、実は、この“バトナージ”で見られた描写だったりする。

 ORASほどはっきりしていないが、この描写がORASに影響を与えたと考えることもできるだろう。


ポケモンレンジャー 光の軌跡

 2010年3月発売。オブリビア地方を舞台とし、基本仕様は変わらずだが、タッチペンでサインを描き、ポケモンを召喚する機能が追加された。

 レンジャーシリーズ3作品目と言うことで、これまでの集大成的な作品である。
 細密な背景の描写も去ることながら、水の描写がひときわ向上。波打ち際の透明感など、思わず唸るものだ。


 そして面白いのが、所謂“ボス戦”のキャプチャの際、ポケモンのイラストが大きく表示される。
 この演出はなかなか面白く、それまで小さなドット絵だったポケモンが画面いっぱいに表示される様は圧巻だ。


 ▲ フリーザーもこの美しさ。

 なお、この描写は“ボス戦”で現れるもので、伝説ポケモンに限らず、例えばユキメノコドラピオンも適用されている。


 ORASで大きな売りとなっている“大空を飛ぶ”。
 メガラティに跨って、ホウエン地方を自由に飛び回る、これまでに無い新要素だが、実はこれ、“光りの軌跡”でおおよそ同じ要素が取り入れられていた。

 ORASと違い、眼下は雲に覆われているが、ラティアスorラティオスに乗って空を飛ぶ姿は、まさしくORASと同じ。
 下画面で操作し、上画面は地図と現在位置を表す。面倒だったら右下アイコンから指定の町へ直接移動も可能。

 眼下が雲と言う面ではORASが勝っているが、“光の軌跡”が勝っている面も。
 それは、空を飛んでいる他のポケモンもきちんと描かれている点だ。
 公式サイトを見る限り、ORASでは、空中のポケモンは影絵のような描写。それが“光の軌跡”ではご覧の通り。

 上はムクバード、下はポッポと、きちんと判別できる。加えて羽ばたく動きもポケモンごとに付けられていて、野生の鳥ポケモンの自然な姿を見ることが出来るのだ。
 この2匹の他にも、ペラップや、フワンテなんかも空中で出会うことが出来る。


 以上のように、ORASは、ポケモンレンジャーシリーズの影響を受けたのだろうと想像できる。
 そう言った意味では、地味なポケモンレンジャーシリーズも、案外名作だったのかもしれない。

 発売までもう間もなく。ポケモンレンジャーの要素を受け継いで、描写がさらにパワーアップしたORASに対面するのを、心待ちにしたい。