ポケモンXY感想−47話目
第48話 「シトロン、想い出のキャンパス! 電撃の再会!!」
アニポケは、どうも現実世界の事柄と妙にリンクすることがある。
ナマズンと中越地震、プラズマ団と大震災、ドラミドロと沈没事故。
そして今回も微妙に……。
フレンドリィショップのアレンジBGMで始まり、とある街に到着したサトシ達。そこでミアレ兄弟がピカチュウとデデンネに勧めたのは、電気のシャワー。電気ポケモン向けの電気スタンドと言ったところか。
どうやらこれはシトロンが発明したものらしい。爆発の父とも呼べるシトロンが……。
そこに現れたのは、エクレール先生と呼ばれた女性。シトロンの母校である、電気ポケモン専門学校の教師らしい。
……シトロンいま何歳だよ?
ひっさしぶりにシルブプレをかましたユリーカだが、先生の方も満更でもなかった様子。そのうちシルブプレが通用する日が来ると言うのだろうか。
電気ポケモン専門学校では、電気ポケモンの生態から始まり、人間との共存をもテーマとする、アニメにしてはなかなか現実的な側面を見据えた設定を持ち出してきた。
適当に流すだけでなく、こういった拘りを取り入れることで、俄然リアリティが増す。……と同時に、こんな学校を卒業するとは、シトロン本当何歳だよ?
先生の話では、シトロンはなかなかの優等生だったらしい。在籍中の絵面からして10歳未満であることは確かなのだが、本当にシトロンは何歳で卒業したんだろうか。
そんな彼の卒業研究は、電気ポケモンの力で人とポケモンの未来を築くという、なかなか壮大なテーマ。
論文を書く上で重要なのは、背景と目的。これで論文の方向性が決まる。予備実験、本実験、結果、考察、今後の課題、と時間をかけて作り上げていくものだが、論文そっちのけでバイトやら就活やらに力を注いでいる人を見ると、正直つまらない人間だなと思う。就職のために大学に入ることが悪いとは言わないが、大学に入ったのなら、そこで学んだ証として全力で卒業論文に取り組むべきだと私は考える。要するに、優先順位が違うぞ、と。
その点シトロンは、なかなか考えているようだ。
考えて、悩んで、気分転換に散歩に出ると、校内で傷ついたコリンクを発見する。急いでポケモンセンターに連れて行くと、ジョーイさん曰く、土地柄、こういったことはよくあるらしい。
……そんな土地柄の場所に電気ポケモン専門学校を誘致するな! と、本気で突っ込んでしまった。
傷ついていた理由は、というか、こういった事態を避けるために、ポケモンが自由にエネルギーを吸収できる場所があればいいらしい。
そう言えば、無印編第2話の“たいけつ! ポケモンセンター”をはじめ、傷ついた電気ポケモンは、電気を補給すれば回復するという設定が昔から存在する。
それをここで出して来たのも、XY編が過去の流れを旨く表現している証拠の1つと言える。
で、完成したのが冒頭の電気シャワー、名付けて“シトロニックシャワー”。学校内で発生させた電気を、専用のケーブルを経由して、街中の電気シャワーへと供給する仕組みで、電気ポケモンはじめ全てのポケモン達が楽しく暮らせるようにととの願いが込められている。ほぼ街ぐるみの取り組みだ。
町長からも期待され、開通式の壇にも立つと言う超エリート的な研究である。
……それがどうして。今のシトロンになってしまったのだろうか(涙)
そんな話を聞いていたロケット団。
ニャース 「電気は高い。売れば儲かるニャ!」
さて、今回の放送日は10月23日。
実は9月24日、九州電力が管内全域で“再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度”に基づく新規契約を中断し、既に申し込みを受け付けた分についても回答を当面保留すると発表した。そして9月30日には、北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力でも、買い取りの新規受け入れを10月1日より管内全域で停止すると発表した。
放送日直近の10月21日、九州電力は出力50kW未満の小口案件の一部(住宅の屋根に付ける太陽光パネルなどが概ね対象)について、買い取り手続きを再開すると発表。その他の電力会社についても、東北電力が50kW以上、北海道電力と四国電力が10kW以上、沖縄電力は全ての案件について受け入れを停止している状況にある。
要するに、“電気を売れば儲かる”ということが覆されつつある時期だったのだ。脚本が出来上がったのは大分前のはずだから、こんな面で現実の事柄とリンクするなんて、スタッフは思いもよらなかっただろうな。
で、さっそく地下送電施設へ忍び込むロケット団。謎のノリはおいといて、機械をガチャガチャやっていると、ルクシオの姿が。……鳴き声可愛えぇ。
ロケット団が逃げたことから、ここの施設警備を買って出ているのかと思いきや、どうやら野生のよう。しかも、警備員が近づいても襲ってくると言う厄介者らしい。
駆け付けたサトシ達も敵と間違われるが、ロケット団が逃げたと話すと、それを追っていく。まぁ、警備しているのに変わりはないらしい。
それよか、いち早くセレナを守るサトシがイケメンだった。
そのルクシオを見て、思うところあるシトロン。
卒業の前日、研究のヒントをくれたあのコリンクと会う約束をしていたらしい。そして、自分のパートナーになって欲しいと伝えるつもりだった。
……が、町長が食事会を開くとかで連れて行かれ、会うことはできず。シトロンが約束をすっぽかしてしまった格好だ。
町長からの誘いを断る訳にもいかず、コリンクは裏切られたと思って姿を消し、シトロンはミアレに帰ってしまった。……子供心に残酷な仕打ちだ。
▲ 馴染みが早いヤンチャム
シトロンは、あのルクシオがコリンクの進化した姿だと確信していた。そして、地下設備で無視されたのは、自分に見捨てられたからと思った……。
こう、久々にアニポケでシリアス展開が来ると、どうしても見入ってしまう。
シトロンに悪気は無かったにしても、ちょっとしたすれ違いで、絆は壊れてしまうものだ。シトロンはそれを悔やみ、行動に……
……ってところで停電。
電気が大量に盗まれているとのことだが、まぁロケット団だろう。どうやら送電タワーが狙われたようだが……警備しろ。
そこにルクシオが登場し、ロケット団を攻撃する。やはり警備を担っていることは間違いなかった。
しかし、トレーナーのポケモンVS野生ポケモンとなると、どうしても野生が不利になってしまう。
御多分に漏れず、ピンチに陥ってしまったルクシオだが、そこにサトシ達が到着した。
傷ついた状態ながらも、ロケット団の口上を“待った上で”反撃に出るルクシオだが、やはり分が悪い。
ここでニャースの通訳によると、ルクシオが傷ついてまでロケット団に対抗する理由は、全てのポケモンが楽しく暮らせるこの街を荒らすことが許せないとのこと。
……そう、シトロンが卒業研究で言っていたことと、同じだった。
シトロンに見捨てられても、彼の考えに共感し、それをサポートしようと、これまで地下設備の警備を行っていた……。あんな別れ方をしても、心のどこかで、シトロンとコリンク、ルクシオは繋がっていたのだ。
それに気付いたシトロンは、ルクシオに発射された“シャドーボール”を、自身の体で受け止める。……それサトシの専門特化ちゃいますか?
そんなシトロンの行動が、ルクシオの記憶を蘇らせた。
一緒に遊び、寝て、研究した絆。昔のシトロンの面影が、今このシトロンの微笑みで、重なり合ったのだ。
この面影シーンが、個人的にとても泣けた。泣いてないけど、この表現は旨い。
ルクシオの瞳が潤むカットもまた、心のどこかで、シトロンに会いたいと思っていたんだと感じられた。
あとはロケット団を撃退して終了だが、街一つ分の電気を吸い取った機械が爆発とか、大事故だろこれ……。
ルクシオが地下設備に帰るさなか、シトロンは決心したかのように、ルクシオを呼び止めた。
シトロン 「ルクシオ、僕と一緒に行きませんか?」
ルクシオは無言で、横目でシトロンを見つめる。サトシ達も、黙ってそれを見つめる。
シトロン 「あの日僕は、君との約束を破ってしまいました。今度は、僕が君を待つ番です! あの日と同じ場所、同じ時間に、君を待ちます! だから……もし一緒に来てくれるのら、あの広場に来てください!」
ルクシオは無言で戻って行った。
翌日。
約束の時間になっても、ルクシオは現れなかった。
やはりルクシオは、シトロンのことを許していなかったのか。
諦めてもう出発しようとしたまさにその時、……ルクシオが現れた!
ここで見せたシトロンの涙。口の動きと言い涙を流す動作、表情と言い、とても丁寧に描かれていた。それゆえか、心情的にシトロンの想いが伝わり、思わずもらい泣きするところだった。
シトロンはルクシオをゲット。
正直言うと、“僕はもっと立派になるので、その時に必ず迎えに来ます”的な展開を予想していたため、このゲットは意外だった。
しかし、ルクシオは所謂“絆ゲット”。旧来からの友達だったのなら、相性もバツグンだろう。
久々のシトロン回は、絆と感動を大きく持ってきた、とても気持ちの良い話だった。
● 総括
全体的にリアル思考の設定を持ち出した話だった。シトロンの過去話を通じて、彼の発明を通じたポケモンへの想いを再認識できる、シトロンの内面に迫った一話。
ルクシオをゲットしたことにより、今後、電気タイプ使いとしての描写がより一層増えるだろう。ピカチュウとの絡みも楽しみだ。
そして、電気の街と言うことで、電線や、電線を保護する黄色いカバーなんかがリアルに描かれていたことも、一つの特記事項だろう。
● おまけ
メンバーが受けた攻撃一覧。
・サトシ
でんこうせっか、アイアンテール、10万ボルト、エレキボール、フライングプレス、おにび
・セレナ
多分なし
・シトロン
10万ボルト、シャドーボール ← NEW!
・ユリーカ
ほっぺすりすり
……うん。シャドーボールが一番危険な気がする(笑)