ポケモンXY感想−45話目

第46話 「どじっこプクリンVS暴走ボーマンダ!!」

 初っ端からロケット団、相変わらずピカチュウをゲットするため、野生のボーマンダを操ろうと考える。……こんな普通の森というか崖と言うか、こんな所に野生のボーマンダがいるっていうのも、なかなか危ない気がする。

 眠っているボーマンダにムサシが近付く。

  ムサシ 「こ〜わくなんか〜ないんだから〜……こ〜わくなんか〜ないんだから〜……」

 が……、起きる。

  ムサシ 「あっアタシは、アンタを眠らせてっ、捕まえようなんてっ、全然思ってないからね〜! ……アタシいま何て言った?」

  コジロウ 「ムサシ! 死んだふり死んだふり!」
 死んだふりって何やねん!? リングマか!? リングマのノリて行けるのかボーマンダって!?

  ムサシ 「あっ……うぇっうぁっうぇぇ〜〜」バタッ
 従うムサシもムサシだが……。
 倒れたムサシとバケッチャの様子を伺いながら匂いを嗅ぐボーマンダ……犬か猫かよ……。ボーマンダの新たな一面が垣間見れた。

 隙を突いて、ムサシは催眠装置をボーマンダに装着、色々あってバケッチャニャースだけが吹っ飛ばされると言う、案外珍しい展開に、話は進んだ。


 一方サトシご一行は、とあるポケモンセンターに到着。そこのアシスタントのプクリンが……こけた! ボールを拾い集めて再びこけた!
 ジョーイさんの話では、このプクリンは新入りとのこと。新入りなら焦っちゃっても仕方ないか〜……なんて、この時はまだ呑気に構えていた。


 すると突然、救急車が1台やって来た。運ばれてきたのは勿論ポケモンだが、色々注目のシーンだ。
 まず救急車でポケモンが運ばれるのは……管理人の放送見逃しが無ければ、無印編の“ラッキーのカルテ”以来ではないだろうか。だとすると、実に16年ぶりである。さらに、脚本担当も同じ園田さんだったりする。
 また、運ばれるのであれば、当然救急隊員もいる訳で、隊員とジョーイの連携は、アニメ始まって以来初めて目の当たりにした。病院のたらい回しが問題視されている昨今、躊躇いなく受け入れるポケモンセンターには頭が下がる。
 そして……救急車をCGにしたか。XY編ではCGの車が配されることで、街などのリアリティがグッと上がったが、少し映るくらいの救急車をわざわざCGにする当たり、一種の拘りを感じられる。

 ここでもプクリンはドジを踏んで、救急車の前でこける……が、ステップを踏み外してコケるという、妙にリアルな描写だった。

 セレナとユリーカが付き添いながら、プクリンポケモンを院内に運んで行った。
 シトロンがエイパムアームを出して完璧にスルーされたことはさておき、間を置かず、別の救急車が。

 ……隊員ロケット団じゃねーかよ。患者はニャースバケッチャかよ!? なるほど、こうやってロケット団ポケモンを回復させていたのか……。

 で、ニャースが乗ったストレッチャーと、プクリンが押していた空のストレッチャーが激突! 飛ばされたニャース! ロケット団と言えど患者は患者。この高さから落ちたら、症状が悪化してしまう!
 そこでプクリンが動いた。自分のせいでニャースが今まさに危険な目に遭っている。それを受け止めるため、無我夢中でジャンプした。ニャースを受け止めるために……!


 す て み タ ッ ク ル !! クリーンヒット!!

 ……なんとなく想像できた(笑)

  ムサコジ 「あぁっ!」
  コジロウ 「しっかり!」
  ムサシ 「ニャースさん……これはどいうこと!?」
  コジロウ 「大事な患者さんなんだぞ!」
 うん。凄い正論。もはやドジっ子では済まされない域なんだけど……お前らが言うな。……いや、正論なんだけども。

 程なくして、なんと3台目の救急車が登場。こりゃCG使いますわ。
 乗って来たのは、ヒメグマと、持ち主と思われるおばちゃん。
 ……ん? おばちゃんが救急車呼んだってこと? そうか、ポケモン世界には、ポケモン用の“119番”が存在するのか。


 治療を終えたポケモン達。プクリンがストレッチャーでヒメグマを運んできたが、コケる、ヒメグマ、宙を舞う。今度はきちんとおばちゃんがキャッチしたが、こうも失敗続きで、プクリンは落ち込んでいた。

 おばちゃん曰く、暴走したボーマンダにいきなり襲われた、とのこと。
  セレナ 「理由もなく、ボーマンダが暴れるなんて……」
 いや、暴れそうなイメージなんですけど。
 ジョーイはそれを、怪我か病気が原因なんじゃないかと分析。当然と言えば当然だが、状況を聞き出したり分析して症状を予測するなど、その仕事に対する姿勢は目を見張るものがある。

 一方、プクリンは浮かない顔。夜、一人で落ち込んでいるところをピカチュウが励ますシーンは、これまた無印編、キャタピーピカチュウの会話に通じるものがある。ポケモン同士の会話におけるピカチュウの可愛さ、重要さは、初代から変わっていないことを実感できた。


 一方センター内では、ユリーカとデデンネプクリンの絵本を発見。
  ユリーカ 「ねぇねぇ、プクリンの絵本が会ったよ! あジョーイさん、これ見ていい?」
 この辺のユリーカの言動も、子供らしくて可愛らしい。本人はもう大きいのに〜と言っているが、やっぱりまだ可愛い年頃だ。

 その絵本には、昔カロスで実際に起きたことが描かれていた。
 フライゴンが大量発生して暴れるたところ、1匹のプクリンがそれを撃退したと言うお話し。フライゴンがまるでトンボか何かのような扱いを受けているのはさておき、その際、プクリンは傷ついた野生のポケモンを癒したのだと言う。
 その伝承が、カロスのポケセンアシスタントにプクリンが選ばれた理由となっているらしい。
 いやはや、XY編始まっていら、プクリンポケセンにいることに違和感しかなかったが、こういう理由だったのか。XY編は、何事につけてもきちんとその背景・理由が語られており、非常に好感が持てる。

  ジョーイ 「きっと、うちのプクリンも立派に働いてくれるようになると、私は信じてるわ。/あの子はね、とっても心が優しい子なの。今はまだ新人だから失敗もあるけど、きっと大丈夫。私はゆっくり待つつもりよ。あの子が自分のペースで成長してくれるまで……」

 ホントこのジョーイさん良い人! 人間が出来ている!

 そして号泣するプクリン

    「ぷくぅ! ぷぐぷぐっ……ぷくぅ! ぷくぅ!」
ジョーイ 「あなたはもう十分頑張ってるわよ」
    「ぷぅぅくぅぅぅ……」
ジョーイ 「ふふっ。なぁに?」
    「ぷぅ……ぷぅくぅぅぅ〜ぷぅぅぅ〜」

 ……ヤバい可愛いぞ。表情もさることながら、声もまた凄い良い! 号泣しながらも、わたし頑張るから! ジョーイさんの役に立つために頑張るから! と言ってるようで凄い良い!
これフォッコの声優さんかな?


 次の日。

  シトロン 「完成しました! 名付けて、やる気満々マシーン!」

 また何か分からないもの出したぞシトロン。あくび魔人が出てきそうなデザインのそれは、付けるとやる気満々になるらしい。
  シトロン 「ユリーカ、ちょっと協力してくれるかぁい?」
  ユリーカ 「うん、いいよぉ」
 ……おいやめろ。妹を爆発させる気か。

 ≪ヤルキマンマン、ヤルキマシーン! ヤルキマンマン、ヤルキマシーン!≫

  シトロン 「このマシンは、付けた人のテンションを上げるため、人形が一生懸命応援してくれるんです!」

 ・・・。

  シトロン 「えっ……ダメですか!?」
  ユリーカ 「……お兄ちゃん、もういい」

 辛い! 真顔で言われてなお辛い! そりゃまぁ……心底どうでもいいマシーンな訳で。

 それでもプクリンは、そのマシンを付けてくれた。……そしてすぐさま、爆発した。

  ユリーカ 「お兄ちゃん、ダメだこりゃ」
  シトロン 「とほほ……」


 ここで盆回りが……ではなく、救急車が到着。患者かと思いきや、またまたロケッ団だった。

  ムサシ 「通りすがりの救命すだ」
  コジロウ 「爆発音さ聞こえたので来たがす」
 おいなんだその口調は。
  ムサシ 「負傷すぁば、すぐ運ぶべ」
  ジョーイ 「さっきの爆発は……」
  サトシ 「何でもないんです!」
 いや、爆発して何でもない訳ないよね、普通に考えて。
  コジロウ 「こぉ見えてもオレたつぃ、プロでがんす。まかせんしゃい」
  ムサシ 「あぁ、こちら負傷すぁ発見。んでば」
 そんで救急車に乗せるが……ポケセンの前でその作戦はどうかと思うぞ。止めないサトシ達もアレだけど。

 ……で、まさかの救急車で逃げた!
 しかも追いかける側も救急車を使うとは……。お前ら救急車を何だと思ってるんだよ。
 ……ってか逃げるから救急車CGだったのか!
 そして運転手ニャースかよ! 足届くのかよ!?
 でもって3人ともシートベルトしてて偉い!

 だめだ、ツッコミどころが多すぎる……。

 しばらく走ると、道の真ん中に大きな物体があり、ニャースは急ブレーキ。

 その物体とはボーマンダで、例の暴れている奴で、当然襲ってくる訳で……。

  ニャース 「逃げるニャァ!」

 きちんとバックギアにチェンジする描写が入り、全速力で後退!
 追いかけてくるボーマンダは何故か飛ばずに走ってくる! しかも“あくのはどう”的な何かを打ちながら。これはこれで怖いぞ!
 そしてニャースのハンドル捌き! この3人の顔! お前らホント救急車を何だと思ってるんだよ!


 とうとうワザが直撃……ではなく、爆風に巻き込まれる形で救急車ごと空に飛ばされ、ピカチュウプクリンが脱出した後、地面に落下……立ったぞオイ。何かシュールだぞコレ……。 
 そこにサトシ達も追いつく。
  コジロウ 「捕まえようとして失敗したんだよ〜」
  ニャース 「催眠マシンが効かなかったのニャ」
  シトロン 「催眠マシン……? じゃああの額についているマシンのせいで!?」
  ムサシ 「暴れてんのよぉ!」
 なぜそこでムサシ怒鳴った!? 逆切れや!

 そんなことはおかまいなく、ボーマンダは攻撃する。
 が、危険を顧みず、ジョーイはボーマンダの前に出る。
  ジョーイ 「苦しいのよね……。私が治してあげるから落ち着いてぇ!」
  サトシ 「ジョーイさん!」
  シトロン 「危ないです!」
  セレナ 「逃げてぇ!」
 ……いや、君たちの場所も相当危ないと思うけど。


 そして……ジョーイに向けて“はかいこうせん”が打たれた。
 その時、プクリンの脳裏には、ジョーイの優しさが走馬灯のように駆け巡った。自分の失敗を謝ってくれて、優しく励ましてくれて、期待してくれて……。
 これ死亡フラグじゃね?……と思ったが、プクリンはジョーイの前に立ち、“まもる”を発動した。

 隙を突いてサトシがジョーイを引き離したが(この時、サトシの服の一部がミスで透けていた)、プクリンはその場に留まる。その目に迷いは無い。

 苦しむボーマンダは、“りゅうのはどう”的な何かをプクリンに向けて放つ。

 しかしプクリンは、顔色一つ変えず、ボーマンダの元へと進んで行く。
 決意に満ちた顔……たとえ自分がボロボロになっても、苦しむボーマンダは何としても助ける。それがポケモンセンタープクリンの役目。
 ダメージは大きいだろうが、一歩一歩、プクリンボーマンダに近付いて行った。

  サトシ 「ボーマンダのワザが効いてない!」
  ユリーカ 「わはっ! 絵本のプクリンだぁ!」
  シトロン 「……そうか! プクリンはフェアリータイプ。ドラゴンタイプのワザは効かないんです!」

 この話を聞いて、思わず唸ってしまった。そう言えば確かに、フェアリーにドラゴン技は効かない。というより、そう言えばプクリンはフェアリーが追加されてたっけ。
 初代からポケモンに慣れ親しんでいた年代の人間にとって、プクリンがフェアリータイプだと言うことは、案外盲点だった。
 そして、新タイプをこんな形で活躍させるとは……今回の脚本はなかなか見せ方が上手い!

 プクリンはさらに“いやしのはどう”でボーマンダを落ち着かせ、催眠マシンを取り外した。ジョーイが見るに、大きな怪我はないと言う。
 とにかく、プクリンのお手柄だ。きっと、昨晩ジョーイに誓ったことを行動で表したのだろう。ボーマンダを助けるため、ジョーイを守るため、そして、自分自身に強くなるため。
 プクリンの勇気ある行動で、皆が救われたのだ。
 ロケット団は吹っ飛ばされた。


 無事にポケセンに戻って来た一行は、再び旅に出発する。
  ジョーイ 「サトシ君たちのお陰で助かったわ」
      「ぷっくり〜ん……」
  サトシ 「オレ達は何にも。プクリンが凄かったんですよ!」
      「ぴぃ〜かちゅ〜」
  セレナ 「大活躍だったもんね〜」
      「ぷっくぅ〜」
  ジョーイ 「プクリン、これからも、私がピンチの時は助けてね。頼りにしてるわ」
      「ぷくっ……ぷっ……ぷぅくぅっ……」
  セレナ 「プクリン……」
  ユリーカ 「泣かないで」
      「ぴかちゅっ! ちゃぁ!」
      「ぷくぅ……」
      「ぴかぴかぁ! ちゃぁ」
      「ぷくぷくり……」

 ……おいこいつら可愛いぞ!

 ジョーイとプクリンに手を振りながら、サトシたちは次の街を目指す。
 ここの屋根の上のボーマンダが、“となりのトトロ”終盤の猫バスっぽくて思わず苦笑した。


● 総括
 今回……かなり管理人のツボに嵌った。コミカルに見せかけて、良い話で、懐かしい要素も盛り込んできて……。
 プクリンと言うより、ポケモンセンターにスポットを当てた話だと言えよう。急患を受け入れる様子や、ジョーイの医師としてのスキル、そして何より、プクリンの表情や鳴き声、ジョーイとプクリンの絆にも好感が持てる。
 単なる日常回だと思っていたことを反省したいほどの良作だった。


● おまけ
 セレナさん、頭を押さえた方が安全だし嬉しいんですけど。