ポケモンXY感想−14話目

第14話「ぶきみな雨宿り! ニャスパーは見ていた!!」


 タイトルコールが……タイトルコールが……鬼太郎だ!

 ゲームもアニメも、各シリーズ必ずあるホラーイベント。XY編は14話にして訪れたが、それは早いのか遅いのか。

 雨宿りのため、古い屋敷に入ったサトシたち。電気ジムの妹なのに雷に怖がるユリーカはさておき、勝手に電気が付く、ドアが閉まるといった現象が続く。
 これをシトロンはセンサーやら隙間風と科学的に解明しようとするが、テンパり具合がむしろ笑える。BW編のデントを思い出すシーンだ。
 そしてセレナは、「この屋敷呪われてるんじゃ……」「おばあさんの亡霊が……」と、自分で言って自分で怖がると言う新しいキャラを生み出す(違)

 そんな怯えた雰囲気から、目の前にあった肖像画にも悲鳴を上げてしまうサトシたち。

 一方、ロケット団も屋敷に侵入して閉じ込められたところ、屋敷に響き渡る悲鳴。
 なんとか脱出しようと窓を破ろうと叩くもビクともせず。

 ……その音が屋敷に響き渡り、怯えるサトシたち。
 目の前にあった肖像画にも悲鳴を上げてしまう。

 ロケット団も怯えており、目の前にあった肖像画にも悲鳴を上げてしまう。

 ……その悲鳴が屋敷に響き渡り、怯えるサトシたち。

 お互いに怖がり会うサトシたちとロケット団。よく考えられた演出だ。

 サトシたちの前に現れたニャスパー。それを追いかけるユリーカだが、2人は忽然と姿を消してしまった。

 ユリーカ「あなたは誰? 幽霊さん?」

 めい「あなたはだぁれ? まっくろくろすけ?」
 ↑ふと、これが思い浮かんだ。

 それにしても、ユリーカは凄い。雷こそ怯えてたものの、全く怖がる様子がない。 そして、ニャスパーはただ遊び相手が欲しかっただけだと理解し、扉や電機など不可解な現象が、このニャスパーがやったことだと推理した。
 それならと遊びだすユリーカの、仕草がまた可愛らしい。嬉しそうに足をじたばたさせる動きとか、制作チームの誰かに小さい娘がいることを疑ってしまうレベル。

 そして、肖像画に描かれた老婆とニャスパーが、同じペンダントを付けていることに気付いた。それをしきりに訴えるニャスパー

 ここで翻訳機もといニャースの登場。
 どうやらお世話になったお婆さんに、ペンダントを返したいらしい。
 回想では、ニャスパーはお婆さんに遊んでもらい、気に入られたようだ。自分の大切なペンダントをニャスパーは預けられ、その日は別れた。しかし、お婆さんは体が丈夫でないみたいだ。
 あくる日訪れた屋敷に、お婆さんの姿は無かった。

 なんとかニャスパーとお婆さんを会わせてあげようと考えるサトシたち。その時、そのお婆さんの孫であると言う女性、エリーが現れ、ことのあらましを説明した。

 ……お婆さんは、亡くなっていた。

 回想シーンで既にウルッときてるのに、それは反則だ。そして、まさかポケモンアニメで“人の死”が出てくるとは、思ってもいなかった。
 自分が記憶している限り、無印編の“ゆうれいポケモンと夏祭り”で石になったとされる女性、AG編の“時を超えるハルカ”で事故死した育て屋の恋人……くらいしか思い浮かばない。しかも前者は言い伝え的なもので、後者はなんだかんで過去を変えて生還している。今回とは訳が違う。
 ポケモンの死、で考えると、映画“水の都の護神”でのラティオス。映画“波動の勇者”でのルカリオが挙げられるが、ともに“明確に”死、亡くなる、といった表現はされていない。

 そう言った意味では、今回のストーリーは非常に特異なものだったように思える。
 そして、どう転んでもハッピーエンドには出来ないのだが、やはりと言うか、そこも考えられていた。

 きちんと別れするために、お墓参りに向かったエリーとニャスパー。その車中。
 ユリー「やぱりこのペンダント、あなたが持ってた方が良い気がするの。お婆ちゃんもそう思って預けたんじゃないかな?」
 ニャスパーはペンダントを再び自分に付け、嬉しそうにする。その手には、一輪の花が。
 ユリー「可愛いお花ね」

 その花のアップで、今回は終了した。何やら意味深なラスト。

 後で知ったことだが、この花はアネモネ、色は紫。
 その花言葉は、“あなたを信じて待つ”らしい。

 ニャスパーは、きちんと自分の中で答えを見つけていたんだと思う。来る日も来る日も帰ってこない、お婆さんがどうしているのか。でも認めたくない。あなたを信じて、ずっと待っている。だから早く帰って来てほしい。
 ……そんな風に感じた。この日、ようやく願いがかなって、お婆さんの元へ行ける。あなたを信じて待っていました。それを伝えるために、紫色のアネモネを手にしたんじゃないかな。

 決してハッピーエンドじゃないけれど、とても考えられたストーリーだった。花言葉なんて一切語られない終わり方は、興味を持ってみてくれた人だけが感動できるという、制作者側の計らいなのかもしれない。

 ● 総括
 人の死を描いた特異回だが、内容は素晴らしかった。アニメの前半と後半で、話の雰囲気が大きく変わってるのも良い。XY編に入って新しい視点でアニメを描いているというのが、よく表れた回だった。