ポケモンXY感想−83話目

 第83話 「雪山をこえて! マンムーユキノオー!!」


 レンタルマンムー
 アニメならではの移動手段だが、実はこれも原作要素。ただ、こんな立派なレンタル所は無く、雪山にマンムーが佇んでいて、ご自由にお乗りください状態だが。
 まぁ言えることは、アニメでも原作でも、マンムーの貢献度は高いと言うことだ。これポケモンを使った仕事って、ポケモンに対する報酬とかどうなるんだろう。

 ポケモンにとって苦役でなければそれでいいってところか。とりあえずユリーカ可愛い。

 さて、レンタルマンムーは2人乗り。小さいユリーカにシトロンが付くことは当然として、ならばサトシとセレナが一緒となる。

 すっごい嬉しそう。

 いざ一緒に乗ってみると……、すっごい嬉しそう。

 地味にサトセレ要素が入り込む米村脚本である。

 ところで、サトシたちの防寒服が似合ってるのなんの。
 シトロンはツナギより似合ってるし、ユリーカのデリバードは反則級である。こういう衣装を考えるのって、いったい誰なんだろうか。


 レンタル小屋を出発して暫く、ルートは山道に入る。原作では吹雪く平坦な道だが、やはりアニメなりのアレンジが入る格好だ。
 これがまた結構な急坂で、レンタルマンムーの通行ルートとは思えないレベル。
 こんな急坂をシトロンに任せるのは危険なので、まずはサトシが操るマンムーが先陣を切る。

  サトシ 「シトロン、まずはオレたちが登ってみる。後から続いてきてくれ」
  セレナ 「サトシ、無茶は禁物よ。ゆっくりでいいから、慎重にね」
  サトシ 「あぁ。セレナも しっかり掴まってろよ」
  セレナ 「うん」

 う〜む、恋愛要素と無縁だったアニポケとしては、これは普通の遣り取りのはずなのに、変に意識してしまう。やはりキャラのイメージって凄い。

 サトシはマンムーを慎重に操り、急坂を登って行く。
 しかしいくらマンムーと言えど、2人の客を乗せて坂を登るのは堪えるらしく、歩みが止まり、サトシが「もう一息!」と急かしたことで……足を踏み外した!

 危ねぇ!
 万が一これで事故になったら責任の所在どうなるんやとツッコミたいところだが、まぁ無茶は禁物だ。

 この急坂の突破は不可能なのか……するとセレナが手を上げる。自分がマンムーを操ってみると。

  セレナ 「忘れたの? サイホーンレーサーのママに鍛えられた、私の腕前を!」
  サトシ 「そっか。じゃあ頼むぜセレナ!」

 サイホーンレーサー設定まだ残ってたのか。
 確かに夢はポカロンに変更しても、体に染みついているレーサー気質は衰えない。

  セレナ  「よ〜し。行くわよマンムー。落ち着いて、ゆっくりね」
  マンムー 「よっしゃやったるぜ嬢ちゃん!」

 もう明らかにセレナのお陰でテンションマックスなマンムーが、再度、急坂に挑む。
 セレナもまた、優しくマンムーに声を掛けつつ、的確な指示を出していく。マンムーの背をトントンと叩く行為は、足取りのタイミングを合わせているのだろうか。あくまでマンムーのペースを大事にしつつも、それをサポートする彼女の手腕は、やはりサイホーンレーサーとして鍛えていただけのことはある。

 そして遂に、セレナ操るマンムーは急坂を攻略した。
 サトシがセレナを褒めるも、それを「マンムーのお陰」とするセレナには好感が持てる。ポケモンのことを一番に考えている証拠だろう。

 さて、シトロンとユリーカはどうするか疑問だったが、普通に上からロープで引っ張り上げていた。BGMからも分かるように、はなっからシトロンに期待はしていなかった。


 その後もセレナが先頭を切って進むが、ルート上に現れたのは木造の吊り橋。
 マンムーが通れるだけの幅がある、割かし大きいものなのだが、マンムーの体重は約290キロ。サトシたちの体重を考えれば700キロ近くに達するはずだが、耐荷重は大丈夫なのだろうか。

 そして揺れる吊り橋。

  セレナ 「いやぁぁぁぁぁ怖ぃぃぃぃぃ!」

 そう言えばセレナ、サマーキャンプでも吊り橋怖がってましたっけ。
 サンペイ回で断崖絶壁ルートを問題なく進んでいたことから(但し落ちた)、高所恐怖症という訳では無く、単に吊り橋が怖いのだろう。

  サトシ 「セレナ、落ち着け。風が止めば、揺れは収まる!」
  セレナ 「うんっ……」

 サトシさんイケメン。と言うより、何かしらの形でサトシからセレナに触れたのって、これが初めてじゃなかろうか。
 ……いや、大木や岩を越えるのにセレナに手を差し出したりはしていたが、こう、抱き寄せると言うか、意識してしまうような触れ方と言うのは、やはり初めてのような気がする。
 とは言っても、ヌメルゴン離脱回でセレナがサトシの両肩を触れたりしていたので、それの逆と思えばお互い様か。

 なお、特に吊り橋効果的な事象は発生しなかった模様。
 とりあえず吊り橋が怖くて涙ぐむセレナ女の子らしい。


 一方その頃、ロケット団は……。

  ムサシ    「あはははは……♪」
  パンプジン 「うふふふふ……♪」

 前回を引きずっていた。いや絆を確かめ合ったのは分かったから。
 サトシたちを追い求めて、マンムーも借りずに雪山へ。本当に彼らの努力と苦労だけは認めざるを得ない。
 しかしやはり寒さには勝てず、偶然見つけた洞窟に避難……しようとして、ユキノオーに蹴散らされるのであった。
 「うっそだー!?」と飛ばされたあたり、もう一度出番があるのだろう。
 そのユキノオーの背後、洞窟の中には、具合の悪そうなユキカブリの姿が……。



 さて、いつの間にかサトシとセレナのポジションが入れ替わり、その先ゆく道が、原作同様、岩で塞がれていた。
 まぁ原作同様、マンムーで破壊して進むのだが、マンムー、岩を破壊するなら客人を一旦下ろした方が良い気がする。確かに原作では乗ったまま破壊出来るけど、これとか下手したらユリーカ落ちてたぞ。


 岩を突破したその時、ピカチュウが何かに気付く。
 2匹のマンムーもそれに反応したらしく、サトシたちの制止を無視し、ルートを外れて歩き出す。地味にこれ問題じゃね?

 しかしルートを外れたのは ほんの少しらしく、彼らの前には洞窟が。そして顔を出すユキノオー
 先ほどロケット団を吹っ飛ばした張本人で、サトシたちを見るなり、立ち去れと言わんばかりに“ふぶき”を発射した。これ実際怖いだろうなぁ。

 しかしそれでも、マンムーは動こうとしない。もう少し客の安全を考えた方が良い気もするが、それには訳があった。

 洞窟の奥にチラリと見えたユキカブリ。体調が悪そうなことに気付いたサトシたちは、ユキノオーユキカブリを守っているのだと直感する。そして。

  サトシ 「ユキノオー! オレ達は敵じゃない! だから攻撃するのを止めてくれ!」
  ピカ 「ぴかぴかぁ!」

 ねぇ待ってサトシ。“ふぶき”に立ち向かっちゃアカンってフクジさんに怒られただろ。死にたいのかって怒られただろ。

 そんなサトシにセレナも加勢し、なんとかユキノオーを落ち着かせる。
 ねぇやっぱりこれセレナの力だよね。マンムーに続いてユキノオーもセレナに反応したよね。


 ユキカブリは酷い熱に うなされていた。

 当然解熱剤なんてもっていないが、シトロン曰く、ヤマギゴケ(コケ)とリュウモンカ(花)を煎じて飲ませてみようと。前者は温泉地帯に、後者は雪の中に生息していて……待って温泉!?
 フロストケイプの中には温泉があるらしく、そこで調達可能とのことだが、原作に温泉ってあったっけ……? いや、行ってないだけであるかもしれないけど……。

  サトシ  「よし。オレとセレナでヤマギゴケを探しに行こう」
  セレナ  「うん」
  シトロン 「僕はユリーカとリュウモンカを」
  ユリーカ 「うん。分かった!」

 野生に生きるポケモンへの干渉は、自然界で考えればそれほど良いものとは言えない。しかし、目の前にいる困っているポケモンを放っておくことなく、率先して、みなで力を合わせて助けようと動くサトシたちは、やはり良い子たちである。

 いざ出発しようとしたところ、ハリマロンが勝手にボールから登場。自分がこの場を、ユキカブリを看ていると言うのだ。踏んだんはトラブルメーカーでしかないのに、いざと言う時は進んで行動に出る……ハリマロン、見直したぞ。
 ピカチュウテールナーもそれに加わり、サトシたちは、お目当ての薬草を探しに、フロストケイプ内部へ、雪山へと繰り出して行った。


  
  ピカチュウ 「……熱い!? ユキカブリ凄い熱だよ! 冷やしてあげないと!」
  テールナー  「なら雪を使いましょう!」
  ハリマロン  「よっしゃ!」

  テールナー  「小さな雪玉にして、これを氷枕の代わりに……」
  ハリマロン  「ねーテールナー!」
  テールナー  「ん? ちょっとそんな大きな雪玉、大丈夫?」
  ハリマロン  「大丈夫大丈夫〜〜〜ダメでしたあああぁぁぁぁぁぁぁ」
  テールナー  「ちょっと……! 言わんこっちゃないんだから……」
  ハリマロン  「てへぺろ☆」
  テールナー  「はぁ……」

 前言撤回。ハリマロンはやっぱりハリマロンだった。



 一方、フロストケイプ内のサトシとセレナは迷っていた。
 自然の迷路相手に、どの穴を進めば温泉に辿り着けるのか。それは、難易度の高い選択だった。
 ……そこで、オンバットの出番だ。

  サトシ   「この先に温泉があるらしいんだ。お前の“ちょうおんぱ”で見つけられないか?」
  オンバット 「おんぎ!」

 ……おんぎ? オンバットのなにが可愛いかって、声が可愛い。
 早速オンバットは“ちょうおんぱ”を発し、温泉を検索する。実を言うとコレ、サトシの経験が物を言っている。
 と言うのも、生まれた時、洞窟内でロケット団を蹴散らした際も“ちょうおんぱ”を活用したが、サトシはそれを見ていない。即ち、サトシがオンバットの特性を見抜き、指示を出したことになる。こういったシーンても、サトシの奇抜ともいえるポケモンのワザの使い方が光る。


 そして温泉発見! 無事、お目当てのコケを入手した。
 さすがオンバット。まだワザは“ちょうおんぱ”しか見ていないが、単に雑用とは言わせない凄さがある。

 なお、こういったボディタッチに、サトシは無反応な模様。頑張れセレナ。


 シトロン&ユリーカ組も、やはり苦戦していた。
 雪の中から花を見つけ出すのは至難の業……と言うより、普通なら無理だ。
 そこでシトロンの発明、“ Finding Snow Flower ”。何故このような局面を想定できたのかは、甚だ疑問である。

 が、予想に反して、今回のメカは性能が良い。爆発もしなければ、センサーの感度も良好。
 すると、崖上にお目当ての花を発見した……のだが、高すぎてエイパムアームでも届かない。
 ならばと、ユリーカが自分が取に行くと言いだした。エイパムアアームである程度の高さまで持ち上げて貰い、そこからユリーカが花に手を伸ばす。
 怖いモノ知らず、サトシに次ぐアグレッシブさを持つユリーカだからこそ成せるワザであり、小さな体を活かしたワザでもある。単なる旅の同行者ではなく、小さいながら、こうして自分に出来ることを行動に移すユリーカ、親なら存分に褒めてあげたい。

 あとデリバード衣装かわいい。



 さて、コケと花を粉砕し、擦りおろし、ユキカブリに与える。
 私事ながら、こうやって草を大量に摩りおろす研究をしていた身としては、あの辛い経験が蘇る。アセトンの匂いを嗅ぎながら研究室で弁当食べてたっけ……。

 口の場所を突っ込んだら負けな気がするが、その時、何者かがユキノオーに捕獲ネットを発射した! 慌てて外に出ると、マンムーにも捕獲ネットが!
 いったい誰がこんなことを……!?

 まぁロケット団なんだが、今回の登場口上も、1フレーズくらい変化があるタイプだった。

  サトシ  「オレとピカチュウパンプジンを引きつける」
  セレナ  「じゃあ私たちは、その隙にユキノオーを助けるわ」
  シトロン 「了解です」
  ユリーカ 「お兄ちゃん頑張って!」

 ピカチュウパンプジンがバトルを繰り広げるなか、セレナ、ユリーカ、流れ的にサトシに付くと思われたシトロンが、崖上に移動してユキノオーを救出するタイミングを伺う。
 ……けどバレた!

 体を張ってユリーカを守るセレナは、良いお姉ちゃんだ。
 ちなみにシトロンは、ハリマロンを庇っていた。いや本来なら君がユリーカを助けるべきですぜ。

 しかしそのお陰で、迅速にハリマロンが攻撃に移る。
 “ミサイルばり”でマーイーカに攻撃を加え、ピカチュウも“アイアンテール”でパンプジンを攻撃。するとユリーカが雪玉でマーイーカの気を惹き、飛ばされてきたパンプジンと衝突! 地味にユリーカ凄い。
 さらにさらに、ハリマロンが“ツルのムチ”でテールナーを気球へ向かって投げ飛ばし、テールナーは“ひっかく”で捕獲ネットを切り裂き、ユキノオーを救出。流れるような連係プレー!

 救出されたユキノオーは、サトシに合図を送る。

  ユキノオー 「ゆきの! ゆきのぉおぉぉ!」 (意訳:あとはオレに任せてくれ! さっきみたいに吹っ飛ばす!)
  サトシ  「分かった! ピカチュウ、“10万ボルト”!」
  ピカ  「ぴっか!」
  ユキノオー 「えっ……ぁのっ……いいや“れいとうビーム”!」

 サトシがどの程度ユキノオーの言葉を理解したかは定かではないが、とりあえず“10万ボルト”と“れいとうビーム”の合体ワザでロケット団を蹴散らすことに成功した。
 「やなかんじー!」だから、今度こそロケット団撃退である。

  ユキカブリ 「ゆきぃぃぃぃぃゆっきぃぃぃぃぃ!」

 薬草の効果が早くも現れ、ユキカブリは回復したようだ。
 ユキノオーもその図体とは裏腹に体全体で喜び、一件落着だ。
 



  セレナ  「大変な目に遭ったけど、みんなの力で乗り切れたわね」
  サトシ  「あぁ」
  シトロン 「それぞれの苦手分野を、それぞれの得意分野で補って。僕たちは最高のパーティーですよ」
  ユリーカ 「うんうん。最高最高ー!」

 本当に、このメンバーは最高のパーティーだ。
 全部シトロンがまとめてくれたが、バトルはサトシ、マンムーへの指示はセレナ、薬草等の知識はシトロン、それらを的確にサポートするユリーカ。こんなにも安定したパーティー、今までのアニポケシリーズであっただろうか。

 深い絆で結ばれている、こうしたパーティーの安定は、そのままXY編全体の安定にも繋がっている。
 最高の仲間同士の今後の旅に、ますます目が離せない。


● 総括
 ごく普通の日常回かと思いきや、まさかのフロストケイプ経由。マンムーに乗っての移動、岩の破壊など原作要素を最大限に描きつつ、オンバットの活躍、久しぶりのセレナのサイホーンレーサー素質を魅せるなど、なかなか考えられたストーリーだった。
 各々の防寒着も似合っていたが、主人公たちの普段とは違った衣装を見れるのは、やはりアニメの特徴ではないだろうか。


● 次回ひとこと予告
 ……そんなこと考えてたら、特にセレナ、まさかの3回連続特別衣装である。