ポケモンXY感想−77話目
第77話 「挑戦ポケモンスカイリレー! 飛べ、オンバット!!」
ヒノヤコマとルチャブルをコーチとし、空を飛ぶ練習を続けるオンバット。
きっと、この1週間で血のにじむような努力をしたのだろう。メンバーたちが言うには、トレーニングの成果が出て、長く飛べるようになったらしい。
ホント、この1週間でどれだけ練習したのだろうか。
とその時、突風が吹き荒れる。
バランスを崩すオンバットだが、ルチャブルが“こうやるんだ!”と言わんばかりに、翼を広げて風に乗って見せる。
それを見たオンバットは、ルチャブルの動きをそのままに真似する。
翼を広げる構え、動き、ルチャブルの見た通り。これは素直で可愛い!
そしてこの笑顔!
サトシ 「もう飛べたも同然だ。いまの、ちゃんと覚えておくんだぞ」
はい、オンバット飛べるようになりました。
この1週間、どの程度の練習をこなしたのだろうか。
そんなオンバットは嬉し泣き。当然、“ちょうおんぱ”併用。
これは今後もそういうキャラで行くのだろうか?
サトシ 「よぉしよしよし。強くなった奴は泣かないんだ」
これ完全にサトシ親だ。
ルチャブルとヒノヤコマと言う頼りになる飛行ポケモンも傍に居るし、オンバットはサトシに拾われて幸せだろう。
そして、お陰でルチャブルとヒノヤコマは出番が増えた。やはりオンバット加入は大きな意味があると言えよう。
そんなサトシたちは、ムックル、ムクホーク、ムクバードの番いを発見。サトシも持っていたポケモンたちだ。
サトシ君、なにか思う所があるんじゃなかろうか。
さらにその先の道中、なにやらイベント会場らしき場所に辿り着く。
そこには飛行タイプのポケモンたちがたくさん飛び交っていた。
セレナ 「うわぁ……いっぱい居る!」
ユリーカ 「ピジョンにバタフリー、ココロモリもいるよ!」
ピジョン、バタフリー……。
サトシ君、なにか思う所があるんじゃなかろうか。
シトロン 「なにかの大会でしょうか?」
セレナ 「サイホーンレースにも似てる気がするけど……」
そんなサトシたちの前に現れたのは、オワゾーと名乗る老人。
この大会が“ポケモンスカイリレー”だと教えてくれた。
ヨルノズク……。
サトシ君、なにか思う所があるんじゃなかろうか。
サトシ 「ポケモンスカイリレー?」
オワゾー 「なんじゃ。知らないでこんなところまで来たのか?」
サトシ 「オレ達、旅してるんです」
自己紹介するサトシたち。
ルチャブル 「るちゃぁ!」
オンバット 「おんっ……おぉぅぅ!」
ヒノヤコマ 「やぁまやっ!」
ここでもルチャブルのマネするオンバット可愛いぞ!
完全に兄弟となりつつあるルチャブルとオンバット。本当、ここまでルチャブルにスポットが当たるとは、誰が予想したであろうか。
で、オワゾーが言うスカイリレーとは、3匹の飛行ポケモンがチームとなってレースするイベントらしい。
全国各地から集まった腕自慢のチームが、そのスピードを競うんだとか。
さきほどのムックルたちは、オルニスと言う、前回優勝したチームらしい。
こいつは見たことある。どっかで見たことある。あいつと雰囲気が似てるんだ……あの……、アレだ!
シュウとミツルを足して2で割ったような感じだ!
それはさておき、サトシのポケモンたちを鋭い目つきで眺めるオワゾー。
オンバットがルチャブルに隠れた可愛い!
これもう兄弟と断言していいんじゃないだろうか。
オワゾー 「気に入ったぞ。どうじゃ、お前さんたちも出てみないか、ポケモンスカイリレーに?」
サトシ 「オレたちが?」
オワゾー 「ワシのスカイリレーで優勝すると言う夢を、一緒に勝ち取ってくれるか!?」
サトシ 「おぉ、やってみる価値はあるかも!」
二つ返事で引き受けるサトシ。オンバット大丈夫か?
……と思ったが、サトシがそれを“試練”と説明すれば、やる気満々のオンバット。それなら問題ないだろう。
そんな話を陰で聞いていたロケット団は、オンバットの参加に懐疑的……と言うか、無理だろという表情。
しかし、オンバットがレースによって鍛えられ、レベルアップしてオンバーンに進化する……という可能性があると分かれば、ロケット団も黙っちゃいない。
スカイリレーに参加してオンバットを追いかけ、オンバーンに進化したところでゲットする算段を立てる……のだが。
コジロウ 「待て待て。スカイリレーは、空飛ぶ3体のポケモンで出るんだぞ!」
そう、そこが問題なのだ。
ニャース 「バケッチャとマーイーカは良いとして、あと1体はどうするニャ?」
いや、良くないだろ。バケッチャとマーイーカで参加しようとは思わないだろ普通。
ムサシ 「悩むことないわぁ。アタシたちロケット団には、最先端の科学力がある!」
待って、嫌な予感しかしないんだけど……。
さて。スカイレースに出場したかったが飛行ポケモンを3匹ゲットできなかったと言うオワゾーにスカイレースの極意を教わり、やってきたレース当日。
リレー順は、スタートダッシュが肝心の第1走者はヒノヤコマ。岩場が織り成す複雑な地形を進む第2走者はルチャブル。コースは単純でスピード勝負となるアンカーがオンバット。
消去法と考えれば、妥当なリレー順だ。
……待って。1匹足りない。
バケッチャかマーイーカ、もしくはニャースかソーナンスが扮する何かが居ない。
そんな疑問を感じながら、レーススタート。
ヒノヤコマは順調にトップを飛ばすが、コースが森の中に入ると、虫タイプの参加者が有利になる。ミツハニー、テッカニン、レディバに後続を迫られ、苦戦を強いられる……がだ。
環境破壊反対!
岩場に激突してサザンドラはリタイア。
しかしその弊害、激突した振動で木々の果物が大量に落下し、ポケモンたちの進路を阻む。環境破壊反対!
その隙にトップに躍り出たチルタリス。
森を抜け、第2走者交代地点直前での順位は、チルタリス→ムクバード→ヒノヤコマに……と思いきや。
バケッチャ 「ちゃちゃちゃちゃぁ〜!」
……おいちょっと待てぇい!
ロケット団チームの第1走者はバケッチャで、今までチルタリスの翼の中に隠れていたらしい……らしいのだが!
なぜチルタリスは気付かなかったんだ!? あんなデカいもの翼に入ったら普通気付くだろ!? そもそもいつ入ったんだよ!?
他力本願なバケッチャがトップで交代地点へ、ペリッパーinニャースにバトンタッチする。
ロケット団……、とんでもないメカ作りやがった。科学力とか言っておきながら足漕ぎなのはご愛嬌だが、メカであることを微塵も隠そうとしないロケット噴射をまでかまし、岩岩を破壊しながら独走する。
誰かおかしいと思えよ!
一方、それに遅れてヒノヤコマもルチャブルにバトンタッチ。
交代地点にはハネッコやドンカラス、ヌケニン等が待機。そしてピジョットも……。
サトシ君、なにか思う所があるんじゃなかろうか。
そしてハネッコでレースに参加する強者が居たとは。
確かに風に流されて漂うから第2走者向きだけど、逆風吹いたら終わりだぞ……。
とまぁ、そんな強風吹き荒れるエリアでは、ルチャブルも負けてはいない。
岩を蹴り飛ばして勢いをつけ、ペリッパーinニャースに追いつく。
しかし、トップを独走して良い気になっていたロケット団は、志高く優勝を目指すことになり、実力行使に出る。
ルチャブルに体当たり――妨害を始めたのだ。
実況 「ペリッパーが体を張っている! 懸命の応戦です!」
いや、反則にならんのかい!?
その様子は中継地点のモニタにも映し出され、ルチャブルがペリッパーinニャースに弾き飛ばされる姿を、オンバットも目の当たりにする。
オンバットにとって兄のような存在のルチャブルが、襷を繋ぐため、攻撃に耐えながらもレースを続ける姿……。
それはきっと、幼いオンバットにとって色々と思う所があったに違いない。
「兄ちゃん負けるなぁぁぁ!」と聞こえてきそうなオンバットの叫び。
ルチャブルにもそれが届いたのか、岩に激突寸前で、態勢を立て直す。
そして、再度迫りくるペリッパーinニャースを引きつけ、引きつけ……回避!
あっ……。
なんだかんだで、ロケット団たちは爆発して吹き飛んでいったのであった。
ルチャブルがオンバットの元に到達。いよいよアンカー、オンバットの登場だ。
ルチャブルから襷を受け取ったオンバットは、緊張しつつも真剣な表情。生まれて間もなく責任重大、きっとかなりの重圧を感じているだろう。
サトシ 「準備は良いかオンバット!?」
オンバット 「おぉんっ!」
サトシ 「飛べ、オンバット!!」
タイトル回収。助走を付けて、オンバットは大きく羽ばたいた。
なお、この交代地点には、他にオオスバメとバタフリーの姿が……。
サトシ君、なにか思う所があるんじゃなかろうか。
いつの間にか気球にセレナとルチャブルを乗せ、オンバットの行く先を見守るサトシたち。
オンバット、もう立派に飛べてるじゃないか。
しかし、前回優勝のチームオルニス、ムックルも負けてはいない。
逃げ切る体制のオンバットに喰らいつき、その差は僅か。
もう目の前にゴールは見えているが、ここで事態が急変する。
谷間の高低差が織り成す地形の特色から、突風が吹き荒れたのだ。
それに対応できず、大きくバランスを崩すオンバット。
ムックルは即座に翼をたたんで風の影響を逃れたが、オンバットは成す術なく、コントロールを失い、谷間に落ちていく。
セレナ 「オンバット! しっかりぃ!」
サトシ 「最後まで諦めるな! 飛べオンバット!」
ルチャブル 「ちゃぶちゃぶちゃ、るちゃぁぁぁ!」
みなの声を聞き、ルチャブルの目に闘志が湧き上がる。
アンカーを任せてくれたサトシの想い、ルチャブルに教えて貰った風に乗るコツ。それらが一瞬のうちにオンバットの脳裏をよぎり、奮い立たせたのだ。
演出的には、ルチャブルの叫びを聞いてハッとしたオンバット。
それは、ペリッパーinニャースからの攻撃を受けたルチャブルがオンバットの叫びでハッとしたのと、ちょうど対になる。
ルチャブルとオンバットの兄弟っぷりが、ここでハッキリと描かれていた訳だ。
そしてオンバットは、大きく翼を広げて風をうまく掴み、体勢を整えることに成功。
この動きは……そう、冒頭でルチャブルから教わったコツであった。
ルチャブルとオンバット、本当に良い兄弟である。
みなの想いを受け取り、ラストスパートをかけるオンバット。
ムックルと並び、追い越し、追い越され、ゴールまで目前。
その結果は……。
惜しくも2位に終わった。
しかし、前回優勝のムックルと互角に立ち会えたことは、大いに自慢できることだろう。
なにせオンバットは、生まれて間もないことに加え、飛べるようになって
いきなりのレース挑戦だったのだから。
嬉し泣きを見せるオンバットは、もう完璧に飛べるようになった。
次のステップはバトルだ。
こちらもルチャブルの得意分野であるので、ますますルチャブルとオンバットの兄弟っぷりが輝くだろう。
オンバットの今後の成長に、大きく期待したいところだ。
余談ながら、やはり飛べるようになるまでの時間が短かったと思う方も、多いのではないだろうか。
しかし、映画内でオンバットが飛んでいるシーンが映るとすれば、逆にこれくらい急がないとけなかったのかもしれない……。
● 総括
ここで優勝させなかったのは非常に好感が持てた――その一言に尽きる。
優勝こそできなかったものの、アンカーとしての役割を果たしたオンバットは、大きな自信に繋がっただろう。飛ぶことに不慣れなオンバットの成長を描くには欠かせない、日常回ながら非常に意味のあるストーリーだった。