ポケモンXY感想−92話目

 第92話 「カロスの危機! 巨大日時計の戦い!!」


 Z編へと繋がる数々の伏線が描かれた今回、ほとんどが説明回と言う印象であり、正直これの感想記事を書くと言うのは難しいと言うかなんと言うか……。
 とりあえずこのジムは怖い。


 ひときわ存在感を放っているのは、ジムリーダーのゴジカ。ナツメと言い、エスパータイプのジムは何故にこうも怪しげな人物なのだろうか。

 しかしこの危なさとは裏腹に、予言は確たるもののようで、曰く、遠からぬ未来、カロスに未曽有の危機が起こるらしい。
 そして、それに関連する形で、“共に歩む者たち”としてサトシとピカチュウが。“道を示す者”としてプラターヌが、ゴジカの予言に現れた。

 これを見ると、カロスの危機にサトシたちが立ち向かうであろうことが、視聴者からすればおおよそ想像つくのだが、門下生の1人、キャリーは、変に勘違いしたようで……。



 さて、ポカロンから一夜明け、セレナは改めてプリンセスキーを眺めていた。イーブイ可愛い。

 イーブイのステップを取り入れたパフォーマンスによって、割かしダントツで優勝を飾ったセレナ。なんだか都合よく進み過ぎな気もするが、前回、迷子のイーブイが見つかった安心感から、全力を出し切れたと言う見方をすれば、彼女の優勝には素直に喜びたい。
 残るプリンセスキーはあと1つ。果たしてセレナは、この調子でマスタークラスへの鍵を掴み取ることが出来るのだろうか。あとイーブイ可愛い。

 本当に猫である。


 ピカチュウがジム戦に向けて気合を入れると……(但し出れるとは言ってない)。


 
 いや本当に可愛い。


 さて、早速ジム戦に向けて走り出すサトシ。“ジムまで競争”がサトシのデフォである。
 サトシたちが去ったポケモンセンターのロビーでは、大型モニタにモンスターボール工場のニュースが映し出されていた……のはいいとして、その次、日時計に関するニュースが流れていた。
 本当にどっかで見たことのあるキャラがキャスターとして映っているが、彼女はやはり、Z編の核心に迫るキャラとなるのであろうか……?
 ニュースでは、プラターヌ博士日時計の調査を行う旨が語られた。何やら日時計とメガストーンに深い関係があることが判明したらしく、それを調査を行うらしい。


 そして日時計前広場では……。

 ハイエースで颯爽とプラターヌ博士登場! 運転したことのある車が登場すると言うのは、なかなかテンションが上がる。
 そう言えば、ポケモンカーシリーズはトヨタ種車だったっけ。その辺の繋がりもあるのだろうか。

 で、調査の下準備を進めるプラターヌの元に現れたのは、先ほどの門下生、キャリー。問答無用で攻撃を当てに行く……女なのに容赦ない!

 プラターヌ事案、再び。
 “ミナミちゃん口説き事案”に始まり、もう本当にプラターヌを普通に見れなくなってしまっている。ここまで不信の目で見ざるを得ない博士、これまで居ただろうか(いや、居ない)。


 タイミングが良いのか悪いのか、そこにサトシたちが現れてしまったのだから話はややこしくなる。
 プラターヌとサトシ、ゴジカの予知で現れた2人がこの場に介してしまった訳で、キャリーはシンボラーヤミラミを投入してサトシとバトル!

 そしてサトシも容赦ない!


 これにてキャリーのポケモンはダウン。サトシさん強い。
 これで落ち着いてくれるのがポケモンバトルの定石だが、彼女は効く耳を持たず、さらにポケモンを投入しようとする。女性のこういうキャラは久々である。

 そんなキャリーを止めたのは、例の怖い人だった。

 普通に浮いてる!
 ここだけ見ると、サトシたちにとって、ゴジカが完全に敵のボスである。
 しかし、プラターヌ博士の発言によって、彼女をジムリーダーのゴジカだと判明。サトシたちの警戒は解けたのだが、シトロンはもう少しジムリーダーの顔を知っておくべきだと思う(逆にシトロンも知られていないのか……)。

 ゴジカ曰く、キャリーは自信が見た予知を変に解釈し、サトシたちが敵だと勘違いしていたらしい。迷惑千万であるが、謝罪を受けて誤解が解けたので良しとしよう。あと機材弁償な。

  ゴジカ 「……はっ!?」

 だからゴジカさん怖い。

 しかし……、唐突に彼女が見たものは、ゲコガシラの“とある姿”、ゲコガシラの未来だった。



 詳細を話すためジムに入ったサトシたち。クノエに続き、ジムの内装に凄い金かけてることが伺える。

 各々未来を見てみたいと盛り上がるが、そう都合よく行かないらしい。ゴジカは“ほしのこえ”に導かれ、未来が見えるんだとか。話は逸れるが、“ほしのこえ”と言う短編アニメ映画は凄いと思う。

  マーベラス 「じゃあ、あのホウエン沖の事件も……」
  シェリル  「えぇ。グラードンカイオーガの事件も、星の導きで、ゴジカ様は事前に予知しました。世界は異常気象に見舞われましたが、ここカロス地方は、予知のお陰で万全の対策を取り、大事に至らずに済みました」

 あの特別編、ホウエンだけの事件じゃなかったんだ……。
 時系列で行くと本編と並行なのだろうが、何となく実感が湧かなかったものの、こうして確たるリンクが語られると分かりやすい。
 ホウエン事件を予知できたなら他地方にも対策取るよう伝えろよと言いたいところだが、予知がどの程度ハッキリ見えたか分からないので、ここでは突っ込まないでおこう。それよりどんな対策したんだろう……?

  シトロン 「まさか僕たちに関係する危機とは、それに近いものですか?」
  シェリル 「それはこれからの解読次第です」

 ……なるほど、予知を見て解読に時間を要したから、他地方まで手が回らなかったと言った所だろうか。


  ゴジカ 「さて……。童が先ほど見た未来は、其方とゲコガシラのことだ」
  サトシ  「オレとゲコガシラの……?」

 初めて知ったのだが、“童”は謙譲語とのこと。かと言って男は使っちゃダメだよ!

  ゴジカ 「少年よ。童は、其方のゲコガシラが、過去から未来にかけ、数奇な定めを持ったポケモンだと知ったのだ」
  サトシ  「定め……」

 ゴジカは話を続ける。

 サトシのゲコガシラは、普通のポケモンとは違うらしい。その生い立ちを、ゴジカは映像化してジム内にプラネタリウムのごとく映し出した。地味に凄い。

 ゲコガシラの過去……、タマゴから孵る前に遡る。勿論、プラターヌ博士も知らない時のこと。
 初心者用ポケモンは必ずしも博士が育てている訳では無く、専門の育て屋が最低限度に成長させてから、研究所等に運ばれてくる。その編の描写はAG編で描かれていたが(ぬまじい元気かな?)、ケロマツも同じように、始めは専門の育て屋で過ごしていた。
 生まれたばかりのポケモンと言えば、仲間同士で じゃれ合ったり、一緒に遊んだりするものだが、サトシのケロマツは、群れることなく、ひたすら自分を鍛えるため、ワザの練習をしていた。ゴジカ曰く、“高みを目指す孤高の者”。

 しかしそれ故、仲間たちと交わろうとせず、揉め事が絶えなかった。
 そんなトラブルを乗り越えてきたケロマツだが、ある時、ポケモンは1匹では強く慣れないことを悟る。トレーナーが居てはじめて力が高まるのだと、ケロマツは、自分を治療してくれたジョーイから感じ取った。

 その後、初心者用ポケモンとして研究所に やって来たケロマツは、トレーナーに選ばれるのではなく、自分がトレーナーを選ぼうと決心した。相手は自分の全てを掛けるに相応しいか否か――。
 XY編初回に語られた、ケロマツの問題児設定、トレーナーの言うことを聞かず研究所に戻って来てしまうのは、こうしたケロマツの強い想いがあったからだと判明した。なんと90話越しの伏線回収である。

 そのためケロマツは、トレーナーに多くのことを望んで来た。彼が彼女が、自分の力を引き出せるのか。強くなるためのパートナーとして相応しいのか。

 しかし実態は、ケロマツの満足いくトレーナーには、なかなか出会えなかったらしい。それもそのはず、初心者用ポケモンを受け取りに来るのは初心者のみ。初心者が初めから、ケロマツの力を最大限に引き出せる訳が無い。

  ゴジカ 「ケロマツが求めたのは、もっと深いもの。童はそれを――“愛”と呼ぶ!」
  サトシ  「愛……」

 唐突の愛。

 実際に愛を求めていたかは分からないが、そうしてケロマツは、サトシに出会った。
 数々のリーグを経験し、幾多もの試練を乗り越え、伝説ポケモンたちとの遭遇率も半端なく、何度か死にかけても復活する不死身の少年――。
 体を張ってまで仲間のガブリアスを助けようとしたサトシは、ケロマツにとって、これ以上ないトレーナーだったのだろう。事実、ケロマツは自分からサトシのポケモンになることを選んでいる。

  サトシ   「オレがお前に選ばれたのか!」
  ゲコガシラ 「げごっ、ごろぉ」
  サトシ   「強くなりたいのはオレも同じだ。一緒に強くなってこうぜ!」
  ゲコガシラ 「がらぁっ」
  サトシ   「目指せ、リーグ優勝! そしてポケモンマスターだ!」
  ゲコガシラ 「げこげごぉ!」

 リーグ優勝と言う言葉が出てきました。ポケモンマスターの前にリーグ優勝が出てきました。
 これはサトシ、夢が現実的になったと言うか、正式な手順を踏んで夢を叶えることを理解したのだろう。そうなると、俄然、サトシがリーグ優勝するのではないかと言う現実味が帯びてくる。


  セレナ 「(いつかサトシが言ってた。ポケモンと見つける夢……!)」

 それは正しく、第40話、サマーキャンプポケビジョン回で語られたことだった。
 考えてみると、第40話は内容的に、順当に考えれば面出脚本だったはず(もしくは米村さん)。それをあえて冨岡さんが脚本担当したのは、ここに繋がるためだったのかもしれない。


  マーベラス 「ゴジカさん。それで、ゲコガシラの未来とは?」
  ゴジカ 「うむ。この者、さらに力を得る」
  サトシ  「その力って……ゲッコウガのこと?」
  ゴジカ 「うぬ、それは分からぬ。ただこの者の未来、誰も見たことのが無い新たな高みの未来へ、お前たち2人で、登ってゆくことになろう」

 2人で、と言うのがキーポイント。
 さすれば……メガシンカか!? (視聴者側からしたらメガシンカでは無いことは分かっているが)


  サトシ   「行ってみようぜ。その未来って奴に、オレと一緒に!」
  ゲコガシラ 「がらっ!」

 まさか、ゲコガシラにここまでスポットが当てられようとは、いったい誰が想像したであろうか。
 サトシゲッコウガと言う確定事項が出ているが、それは原作では“まだ”無い、アニメオリジナルの姿。こうも重要な変化をアニメで初発表、初実装とは、XY編、やはり力の入れようが明らかに違う!



 気合いも新たに、いよいよヒャッコクジムに挑戦だ。その時!


 無駄に怖い。

 日時計が危ういらしい。
 ゴジカはニャオニクス♂♀に対し、“てだすけ”と“みらいよち”を指示。攻撃は一旦、時空の狭間へと消えた。攻撃は5分後らしい。ターン制を採らないアニポケとしては、これが“みらいよち”の攻撃方法なのだろう。

  シェリル 「私にも見えました、日時計に、私欲に満ちた悪者の手が掛かります!」
  キャリー 「………」

 どうやらゴジカは、その“悪者”に向けて、予め“みらいよち”を放ったらしい。便利スキル。

 サトシたち一行も日時計に向かうなか、ゴジカは深刻な顔で言った。

  ゴジカ 「日時計を狙った者たちも、カロスの危機の渦に、役割を担う未来が見える……!?」


 役者は揃った――、とでも言うべきか。

 Z編で登場するフレア団、それによるカロスの危機。悪に立ち向かうのは、サトシとピカチュウゲコガシラ、プラターヌ、そして、今まさに日時計を狙おうとする悪人たち。
 この者たちが、カロスの危機に立ち向かい、カロスを救う存在になるのは言うまでもない。その重要な立ち位置となる悪人とは、いったい誰なんだ……!?




 彼らです!


 ロケット団がアニポケで重要なポジションであることは、もはや言うまでもない。

 しかし、関わり方が全く想像できないのだ。

 XY編のロケット団は、初代から続くギャグテイストを残しつつも、シリアスな作戦を展開することもある。
 そうなると、ただ単にサトシたちの味方をする――であったり、ただ単にフレア団を妨害する――、と言ったことは、少々考えにくい。ロケット団なりの信念に基づいて、きっと明確な存在意義を伴って、カロスの危機に立ち向かうのだろう(Z編の登場人物紹介にサカキが居ないのも気がかりである)。


 強力な“みらいよち”の威力を目の当たりにしたサトシだが、より一層、これから始まるジム戦への闘志を燃やすことになる。これが彼のポテンシャルだ。
 ティエルノも敗れ去ったゴジカとのジム戦、アニメでは色々と凄いことするエスパータイプに対し、サトシはどのようなバトルで向かい打つのだろうか。


● 総括
 Z編の導入とも言えるストーリー。いや、Z編と言うより、ゲコガシラ編が始まりそうな気がするほど、ゲコガシラについて深く掘り下げられた回だった。初回の設定がここにきて持ち出されるとは、長期アニメ・ポケモン、恐るべし。
 サトシ、プラターヌ、ゲコガシラが織り成すであろうZ編、何気にロケット団も重要な立ち位置になることが示唆されており、期待は高まるばかりだ。


● 次回ひとこと予告
 → メトロノームピカチュウとは……?