ポケモンXY感想−88話目

第88話 「追憶のトレイン! シトロンとホルビー!!」


 ヒャッコクシティを目指して旅を続けるサトシたち。

 開始10秒で落ちた。



 ▲ ガードの固さに定評のあるセレナ。


 原因はロケット団な訳で、前回の落とし穴登場は前フリだったのか。
 しかも、クオリティが格段に上がっている。丸太の補強が入ってるし、……って言うより、とんでもない大きさの落とし穴だなオイ。


  サトシ 「ロケット団!」
  セレナ 「もぉ……泥だらけよ!」


 汚れを気にするセレナ可愛い。過去ヒロインって、案外衣服の汚れに関するツッコミが少なかった気がする。
 そう言えばセレナは落とし穴にハマるの初めてだっけ? これがロケット団の得意分野やで。


 とりあえず開始85秒でロケット団は退場。
 しかし直後、穴を掘った部分の地下が脆かったのか、穴の下が更に崩れたのだ。



 ▲ (視聴者への)ガードの固さに定評のあるセレナ。80話のヤンチャムに続き、これ見えてますわ。


 落下先は、どうやら廃炭坑のよう。
 原作だと、ヒャッコクの先、「終いの洞窟」に廃炭鉱があるが、そこと明記されていないので、位置の改変は無しと考えて良いだろう。地図をいじる手間が無くて良かった。

 さて、廃レールを辿って出口を目指すサトシたち。割と平然と歩き出したが、これ出口とは逆方向に進んでたら危なかったよなぁ。

 そんななか、ユリーカが切り出した。「前にもこんなことあったよね?」と。
 シトロンは とぼけるが、ユリーカはホルビーのことだと。当のホルビーもアピール。

 頭乗りホルビー地味に可愛い。

 以下、回想――。



 シトロンは焦っていた。
 シトロイドにジムから追い出され、なんとかせねばとミアレタワーの見取り図と格闘中。そう言えばそんな過去もあったっけ。
 空腹を訴えるシトロンに、ユリーカが実家から持ってきたのはリンゴ1個。そう言えば追い出されたこと、リモーネに隠してたっけ。

 過去にも関わらずユリーカの声が変わっているとか言うツッコミはさておき、そこに現れたのがホルビーだった。

 リンゴを奪取してダッシュ! なんと野生らしい目をしたホルビーなのだろう。

 向かった先は、ミアレでは廃止となっている地下鉄の廃駅。もうすぐ取り壊されるとのことだが、そこに残された車両の中に、ホルビーは入っていく。
 中の様子を確認するシトロンとユリーカだが……。


 仲間が居た。
 ホルビーがリンゴを奪った理由は、仲間たちに食べさせるためだったのだ。それよか、エネコロロ小さくない?

  ユリーカ 「優しいんだね」
  シトロン 「うん。きっと、みんなで力を合わせて生きているんだね」
  ユリーカ 「でも、なんでこんなところに?」
  シトロン 「ここなら雨が降っても大丈夫だし、季節を問わず気温が安定しているしね。都会に住むポケモンにとっては、安心して住めるところを確保するのが、一番大切なんだ」
  ユリーカ 「ホルビーたちにとっては、ここがおうちなんだね」

 ここの2人の会話に、アニポケならではの、ポケモンの生態を垣間見た。
 都会に住めば、残飯などで食料の確保に有利な面がある一方、住処は限られてしまう。シトロンの言うように、住処の確保が重要になってくるのだ。その辺は、野良猫に通じるものがある。
 ポケモンに関して言えば、街に住むポケモンと言うのは、あまり見かけない。ゲームでは水場を除いて街に野生ポケモンは現れないし、アニポケでも、おおよそトレーナーのポケモンである。そう考えると、野生の頃のロケット団ニャースは、街に住むポケモンの典型例と見ることが出来る。……実際野良猫か。
 個人的には、ポケモンレンジャーのゲームで、街、人と共存するポケモンたちの姿は、なかなか新鮮味があった。


 さて、地下鉄の廃駅と言う良い環境があれば、当然そこを住処にしたいポケモンは多い訳で、突然ホルードが現れ、ホルビーたちのリンゴを奪い取った。
 そろそろ顔で敵味方を決めるのは止めにしませんか?

 エネコたちは怯えるばかりだが、ホルビーは抵抗する。もしや、以前からホルードに食料を横取りされてきたのか。
 しかし、ホルードとの力の差は歴然、ホルビーでhあ歯が立たない。

  ユリーカ 「お兄ちゃん、助けてあげてよ!」
  シトロン 「でも、ポケモン持ってないし……」

 ジムリーダー、ポケモンいなけりゃ、一般人。

 しかし見かねたシトロンは、エイパムアームでホルビーを掴み、ひとまずホルードから逃げることに。野生ポケモンへの過剰は介入はアレだが、状況的に仕方ないだろう。
 もっとも、野生への人間の介入について投げかけたヌメルゴン離脱回は、この回想よりずいぶん後になる訳で、ここでシトロンがホルビーに手助けしたところで、矛盾は発生しないのだが。


 安全な場所(改札階?)に避難したところで、シトロンはホルビーの傷の手当てをしてあげた。
 電気タイプ以外はよく分からないとのことだが、傷薬にタイプなんて関係あるのかとツッコミたい……ところだが、シトロンの自信の無さを描いている可能性がある。
 サトシと出会うことで、前向きになり、大きく成長したシトロン。サトシに出会う前、特にシトロイドにジムを追い出されて情けない状況を踏まえれば、この躊躇いも納得だ。


 手当てが終わると、ホルビーホルードに挑むべく飛び出……そうとしたが、まわりに止められる。
 シトロンからも「力の差は歴然」と言われ、悔しそうな表情を見せるホルビー。こんな表情見せるとは、今とはだいぶ違っていたんだな。

  シトロン 「でも、勝てないことは無いよ」
  ユリーカ 「こう見えてもお兄ちゃんは、ミアレジムのジムリーダーなんだよ!」
  みな 「「「えぇぇっ!?」」」

 ジグザグマって立てるんだ……。

 多分、なんでこんなところにジムリーダー居るんやと思ったことだろう。
 どうもこう……、普段のシトロンを見ているとジムリーダーには見えないんだよなぁ。

 しかし腐ってもジムリーダー。真っ向から立ち向かわず、補助ワザを活用し、相手のパワーを利用したバトルに持って行くべきとアドバイス

  ホルビー 「……ほっびぃ?」

 しかしホルビーには難しかったようだ。
 そこでユリーカが提案、お芝居で教えてあげようと!


  ユリーカ 「アームハンマーるどるど〜!」
  シトロン 「ルパンダイブ〜!」


  シトロン 「こんな感じさ!」

 なんともコメントに困る芝居だった。

 しかし、耳を使った防御はこの時に編み出したようで、床のタイルを耳で持ち上げて防御する様は、フィールドを利用する、サトシのような発想だ。
 考えてみると、初めてサトシとバトルした際、ホルビーピカチュウの“アイアンテール”を耳で受け止めたのは、これがキッカケなのかもしれない。


 ホルードに再戦したホルビーは、シトロンとの特訓通り、“あなをほる”や“かげぶんしん”でホルードを攪乱する。
 ホルードを受け流して柱に激突させたり、タイルで防御して前歯にダメージを与えたり。そして上手いこと、弾き飛ばして壁に叩きつけることに成功した。

 が、ホルビーは やり過ぎたと思ったのか、うずくまるホルードに駆け寄り、握手を求める。やんちゃでも礼儀を弁えていると言うか、相手のことを心配する心を持っているのは、この当時からだったのか。

 しかし、ホルードは握手を拒否、地下鉄トンネル内へと駆けて行った。面目丸潰れか。野生ポケモンで、自分より小さい相手に負けたとくれば、黙ってその場を去るのみか。
 それよりエネコロロ小さくない?

  シトロン  「せっかく仲直り出来るチャンスだったのに、残念でしたね」
  ホルビー 「ほっびぃ」
  ユリーカ  「……なんかさぁ、お兄ちゃんとホルビーって、良いコンビだね」

 割と唐突な気もするが、笑顔を掛け合うシトロンとホルビーを見ると、もはやトレーナーとその相棒に見えなくもない。

 そんな時、突如響き渡る轟音、パラパラと崩れ落ちる天井の破片。
 どうやらこの廃駅の取り壊しが始まったようだ。
 誰も残っていないか確認してから崩せと思う一方、まだこれが本格的な取り壊しでない可能性もあるので、何とも言えない。

 逃げ道(改札階)は確保されているので、シトロンとユリーカはホルビーたちを連れ出そうとするが、彼らは戸惑っていた。

  シトロン 「そうか……離れたくないんですね、みんな」
  ユリーカ 「なんで?」
  シトロン 「みんな、この家(車両)が好きなんだよ」

 ……そう、野生ポケモンたちにとって、これまで暮らしていた環境が変わるのは、出来れば避けたいことだ。ここでもポケモンの生態に迫る描写があり、なかなか考えさせられる。

 ならばと、シトロンは車両ごとどこか遠くへ移動してしまおうと提案する。動かすための電力も……。

  シトロン 「このような局面を想定し、準備しておいたナイスなマシン、名付けて“ランニング発電機”! ローラーの上を走ることで発電する、画期的なマシンです!」
  ユリーカ 「よくあるやつじゃん!」

 ユリーカ、ナイスツッコミ。ホントその通りである。

 シトロンは発電機を床下機器に接続させ、電力を供給する環境を整える。そしていざ出発しようとした矢先……、巨大な岩が落ちて来て、線路を塞いでしまった。
 瓦礫ならまだしも、岩が落下してくるのは地下鉄的に危険な気がする。

 そんな状況を救ったのは、先ほど立ち去ったホルードだった。
 ホルードの力で、岩は簡単に線路からどけられる。そして当のホルードは、何か言いたそうな仕草。

  ホルビー 「ほっび! ほっびぃ」
  ホルード 「……ほぉるぅぅど」

 ついに2匹が仲直り。
 可愛くないポケモンでさえ可愛く魅せてしまうことに定評のあるアニポケだが、とりあえず、ホルードの赤面は可愛くない。

 ホルードも車両に乗り込み、発電機を全力で回し、準備は整った。

  シトロン 「出発進行!」

 この時のシトロンの操作だと逆にブレーキがかかることになるが、突っ込んだら負けである。

 車両は無事に動き、地下鉄内を進んで行く。
 途中で分岐器が逆方向に開通していたが、ホルビーが“マッドショット”を当てて転轍機を正しい方向に修正。この辺は、BW編のバトルサブウェイ編を思い起こさせる。

 そこそこの距離を走ったのち、遂に車両は、シトロンの目指していた場所に到着した。無事に停車できる訳が無いのだが、突っ込んだら負けである。


 そこは、森の中の廃車庫だった。いや、車庫が寂れていくうちに鬱蒼となったのか。
 シトロン曰く、ここなら再開発の予定は無いし、工事の手も及ばない。車庫の屋根があるし、木の実も沢山実っている。気温の安定を除けば、以前の廃駅と変わらぬ環境が整っているのだ。
 廃駅を取り壊すと言うのは人間の都合だが、今回のシトロンのチョイスは、ホルビーたちにとって最善のものだろう。野生ポケモンを守るための行動と言うのは、どんな形であっても素晴らしい事だ。


 名残惜しそうに、シトロンとユリーカは去っていく。
 名残惜しそうに、ホルビーは2人を見送る。

  エネコロロ 「行きたいんじゃないの?」
  ホルビー 「えっ!?」
  エネコロロ 「なら行くべきよ、ホルビー
  ホルビー 「でも……」
  その他 「「「大丈夫! 行ってこいよ!」」」
  ジグザ 「僕らにはホルードがついてるからさ! ねっ?」
  ホルード 「へへっ。よっしゃここはオレに任せろ!」
  エネコロロ 「ほら、私たちなら大丈夫だから」
  ホルード 「安心して旅立ってこい!」
  エネコ  「頑張ってね」
  ミネズミ 「今までありがとな」
  ヤブクロン 「忘れないよ」


  ホルビー 「みんなっ……ありがとう! 僕もみんなのこと忘れない! 元気でねっ!」


 ……そんな遣り取りがあったかどうかはポケモンで無ければ分からないが、そうしてホルビーは、シトロンと一緒になる道を選んだのだ。けどやっぱりエネコロロ小さくない?

 傷の手当てをしてくれて、バトルの手ほどきをしてくれて、仲間に安全で快適な住処を提供してくれた……。野生のホルビーにとって、シトロンほど惹かれる人間は居ないだろう。
 こうしたところで互いに惹かれ合い、絆が生まれると言うのが、ポケモンと人間の美しい関係である。種族を越えて信頼し合える関係になれるというのは、きっと相当に嬉しい事だろう。


 当のシトロンは号泣でホルビーはドン引きだが、ここからシトロンとホルビーの付き合いが始まった訳で、この直後、サトシと出会うことになる。
 その当時、ホルビーをゲットしたばかりと言いつつも的確な指示をもってピカチュウとバトル出来たのは、こういった過去があったからだ。バトルのレクチャーまでしてお互いを分かりあえていたからこそ、ピカチュウと互角に戦えたのだと、今になって納得である。

 これまで地味だったホルビーの意外な一面を知れた、心温まるストーリーだった。
 そしてこの回をキッカケに、ホルビーにスポットが当てられつつ進行するのだが、それはまた次回のお話しだ。

 あと多分、エネコがデカかったんだ今回。


● 総括
 ここに来てのシトロンとホルビーの出会い裏話。割かし真面目を貫いているホルビーも、実は喧嘩っ早かったと言う意外な過去を持っていた訳で、シトロンにゲットされてからのギャップが地味に可愛い。
 一方で、野生に生きるポケモンの生態にも言及された、単なるシトロン過去話に留まらない、奥の深いストーリーだった。あのホルードたちは、今も仲良くやっているのだろうか。


● 次回ひとこと予告
 → イーブイはひとみしり!? お花畑でつかまえて (物理)


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